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校長室から

425 トトロ(24.6.3)

 庭に緑と黒茶2種類のカメムシを発見しては退治する週末。報道によると、全国30の都府県で大量発生するカメムシ注意報が出されています。カメムシをおびき寄せて捕獲する器具もあるそうですが、私の場合はカメムシ退治に特化したスプレー剤。家族が言うには、ゴキブリ用だと瞬殺に近いとか。まだまだ格闘が続きます。

 虫といえば、3年生男児2人が校長室に来て、「アゲハの幼虫はいませんか?」と尋ねます。急な訪問に驚きましたが、レモンの葉につく卵や幼虫を「今度持ってきてあげるね」と返すと喜んで去っていきました。すると翌日、「持ってきてくれたぁ?」と朝一番に問われました。「ごめん!休みの日にしか捕まえる時間がないんだ」と答えましたが、カメムシを持ってきたら喜ぶかなぁ?

 5月のカンヌ映画祭で、スタジオジブリが名誉パルムドールに選ばれ、表彰会場は総立ちとなって祝福される場面がテレビに映し出されました。『となりのトトロ』は大好きですが、それ以上に宮崎駿&高畑勲コンビが手がけた『パンダコパンダ』が好きです。日本がパンダに沸いていた1972年公開ですから、ジブリという会社設立前かもしれません。天真爛漫な主人公の女の子とパンダ父子の不思議でユーモラスな生活が描かれています。初期の作品ですから、ストーリー性より娘や息子と一緒になって「かわいい」と言いながら観ていたこと自体が好きだったのかもしれません。

 不思議なキャラクターのトトロとサツキ・メイの姉妹の心温まる交流を描いたアニメ『となりのトトロ』が、36年の年月を経て舞台化され、海外公演でとても人気だといいます。あの不思議な世界観を舞台で表現するのは、役者も大道具も大変だと想像しますが、ニュースで目にした「まっくろくろすけ」の動く様には感嘆の声を漏れそうでした。

 大トトロ・中トトロ・小トトロがなんとも愛らしいアニメですが、初期の段階で大トトロは「ミミンズク」と名付けられ、1302歳といいます。ちなみに中トトロは「ズク」で679歳、小トトロは「ミン」で109歳の設定らしいのです。「ミミンズク」という呼称から連想するのは「ミミズク」。それがトトロのモデルかなと思いながらも、似ても似つかないような気が…。

 なかよし広場でチョウを追うことも林間学校で富士の大自然に浸る時間も、都心の子供たちには有意義で貴重な体験だと思います。

424 所作(24.5.31)

 今日行われる将棋の「叡王戦」の第4局に注目しています。藤井八冠が1勝2敗とリードされ、負けると伊藤七段にタイトルを獲られてしまうからです。「黄信号」と報道されますが、ここからの巻き返しも期待できます。

 一方、先日の「名人戦」では、豊島九段との対局でした。4勝1敗で藤井棋士が初防衛を果たしましたが、将棋盤上で駒をさばく際の澄んだ駒音が好きという人も少なくないようです。NHK『美の壺』でも「駒と盤」が取り上げられたことがあるほどです。

 なぜこんな話を始めたかというと、駅の自動改札でSUICAやPASMOなどのICカードをタッチさせる際に、「パチン!」という音を立てる人を時々見るからです。どうもタッチの仕方に性格あるいは気分が表れるような気がします。翳すだけで通過する人もいれば、私のように静かに面タッチする人もいます。極たまにですが、「これでもか!」という具合に強く叩きつける人もいます。時には反応せずに赤く点滅する改札機に、イライラを隠そうともせずにバシバシ押し付ける場面も。それが、なぜかしら将棋の「王手!」のような駒音に聞こえるのです。

 さて、所作が美しいと好感がもたれ、魅力的に見えるものです。所作とは、立ち振る舞いや身のこなしですが、椅子に座ったり物を取ったり歩いたりするすべての動作に通じます。私たち日本人は、そうしたことに敏感であるともいわれます。少し意識するだけで周りの印象を変えることができるなら、子供にあっても大切にしてほしいものです。

 そういう目で藤井名人の一挙手一投足を見てみるのも面白いかもしれません。

423 歯磨き(24.5.30)

 一日のうちで、「今」に意識を集中している時間、「今」を感じている時間はどのくらいあるのでしょう。そうした間には、物事のマイナス面(後悔や不安、心配事など)が頭の中に入り込む余地がなくなるといいます。例えば、スマホから離れて「ながら行為」をしない時間は、不安などから解放されるとともに、聴覚・嗅覚・視覚・触覚が研ぎ澄まされるといわれます。

 さて、昭和の腹痛薬といえば、ラッパのマークの「正露丸」というのが、私の中の既成概念?!真っ黒で丸々して、まるで消しゴムのかすを丸めたような錠剤です。主成分がクレオソートというものなので、そのまま呼ぶ人もいるみたいです。手の上に出して飲むと、しばらくは掌が正露丸臭になります。これを歯に詰めて歯痛を抑える使い方もあったのです。幾度となく歯に詰められて、苦虫を潰したような顔になっていた経験は、知る人のみぞ知るといった感じ。一時的に痛みが治まる効果はあるようですが、治療薬ではありません。

 先週、偶数学年の歯科検診が行われました。6年生女児2名が「健歯児童」に選ばれて、虫歯予防大会の審査に臨みます。虫歯や歯周病がなく、歯並びがキレイで汚れがないなんて、正露丸にお世話になった者としては羨ましい限り。一方、歯磨きを疎かにして歯垢が目立つ子も少なくないようです。「ながら歯磨き」ではないにしても、上の空で歯ブラシを咥えているだけ、動かしているだけという姿も想像できそうです。ブラシの先が歯のどこに当たっているのかをイメージしながら歯磨きすることが大事であると学校歯科医は話してくれました。そのためには、歯ブラシの持ち方を「鉛筆持ち」にすることが望ましいといいます。

 『ノンタンのはみがき』という幼児向け絵本があります。「はみがきハ~ミ~、シュコシュコシュッシュ」と、子供が小学2年生くらいまで歌いながら仕上げの歯磨きをしていたのを思い出します。学校歯科医の先生曰く、8歳くらいまでは、親が子の歯磨きに気を配る必要があるとのこと。一生使う歯だからこそ、親も子も口腔衛生に関心を持ってほしいと思います。さぁ今日は、奇数学年の歯科検診です。

422 初夏(24.5.29)

 シャポーの花屋の前に「紫陽花」「芍薬」という文字が、少し前まで見られました。学校のアジサイは徐々に色づき始めてこれからが楽しみです。蕾で買ってきたシャクヤクも見事です。花弁の多さと繊細さには驚かされます。終わりに近づくと、その花びらが小さな塊になって落ちます。テーブルに重なる花弁は、まるで薄く小さく剥いた玉ねぎのよう。

 1ドルが160円を超えたときにはビックリ。30数年ぶりの円安とも言われます。では、30年前と今とでどれだけ違うのかを比較してみました。消費税(3%→10%)、ディズニーランド(4,800円→最大10,900円)、ビッグマック(210円→480円)、セブンスター220円→600円)、郵便はがき(50円→63円→85円)と、ざっと挙げただけでも驚異的な物価上昇率です。学校給食も例に漏れません。決められた金額の中で必要な栄養価を維持し、品数や見た目、味にもこだわりたいはず。これを担う栄養士にとって物価高は胃が痛くなる社会現象以外の何物でもありません。

 キャベツも高い!スーパーでは一玉300円強。気軽に使える金額ではありません。キャベツの千切りやご飯のお替り自由のとんかつ屋がありますが、お詫びの貼り紙だってありそうな気がします。

 運動会前にはたくさん生っていた平田小のサクランボは、食べる前に全部落ちてしまったようです。一方、スーパーではアメリカンチェリーが出始めました。その一角に「佐藤錦」と書かれた、握りこぶし程度の量かつ高価なサクランボが数パック。必然的に色が濃くて安価な方が買い物かごに入れられます。そして、ヨーグルトに数粒入れて食べるという経済的な食し方になってしまいます。最近の果物は種無しばかりになっています。チェリーと同じくらいの大きさのブドウもそうですから、種を出すのを忘れそうです。ある時、手の上に乗せた錠剤を、チェリーの種と間違えてごみ袋に捨てそうになったことも。あぶねぇ~。

 子供たちの目には、今の季節がどんなふうに映っているのでしょう。花でも野菜でも果物でもよいのです。大人になっても感覚として思い出すような豊かな感性をはぐくんでほしいと願います。

421 color(24.5.28)

 自宅近くに栗林が点在します。細長く花を咲かせて、独特の匂いを振りまきます。特に、今日のような雨の日は…。近づいてその花をじっくりと見てみましたが、花の季節が終わると、黄緑色の実をつける頃まで関心が失せてしまいます。だから、どうやってあのイガイガトゲトゲの栗の実になるのだろうと不思議でなりません。先日、栗の花を接写してきました。1週間ごとに写真に収めて、実になるまでを観察記録にまとめようかと思ったくらいです。

 さて、栗にも和栗と洋栗があるようで、晩秋になると和栗を使ったケーキが出回ります。そんな「和」「洋」ある中で、「わしょく」という響きは、頭の中で「和食」という文字に一瞬で漢字変換されます。ワープロ変換も和食一択です。しかし、「和色」という言葉が存在することを、ひょんなことから知りました。日本の伝統的な色の名前とカラーコードが一目でわかる色見本『和色大辞典』なるものがあるのです。そこには、桜色に始まり暗黒色までの465色の名前が載っています。さらに、原色として140色、洋色には285色が取り上げられています。

 先の栗の花の色を和色で例えるなら、「蒸栗色」「女郎花」「枯草色」「淡黄」あたりかと…。どれも聞き慣れない色言葉ですから、栗の花を知らない人にはイメージできないかもしれません。ただ、歴史の流れの中で名づけられた和の色の名称は、どれも美しく風雅です。

 昨日、プール脇の道路沿いにビワの実を見つけました。オレンジ色のビワがたくさん生っていることに気づいたのです。体育館脇のサクランボを食べ損ねた私は、ビワとザクロ、そしてヤマモモの実を食すことを今楽しみにしています。このビワをオレンジ色と表現しましたが、洋色だとほかに「マンダリンオレンジ」「マリーゴールド」が近いかもしれません。和色では「金茶」「蜜柑色」「黄赤」「黄丹色」あたりかと思いますが、自然の作り出す色を表現することは、和・洋の言葉でも絵の具でもとても難しいものです。

 初土俵から7場所目という最速優勝を果たした大の里関にあっては、どんな色の相撲を見せてくれるでしょうか。