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564 落とし物(25.2.7)
教室を見て回ると、必ずと言ってよいほどある落し物。鉛筆や消しゴム、プリント類など様々です。そして、拾い上げて近くの子に「あなたの物?」とさりげなく問います。落とし主の子は、無言でそれを手に収めます。しばらく待ったあと、その子に「どういたしまして」と小声で言って、「ありがとう」の言葉が返ってくるのを待つことも…。まるで、「ごちそうさま」を忘れて催促される自分を見ているようです。
読みながら思わず笑ってしまった新聞投書。頼まれて醤油瓶を取ってあげたおじいちゃんは、孫がお礼を言わないので醤油瓶から手を放さないまま、「こういうときは何て言うの?」と尋ねたそうです。その孫はしばらく考えてから言った言葉が、「手を放してください!」だったと。
話は変わりますが、低学年の児童が教室で魚の絵を描いています。どうも図工の作品のようです。サメもいればシャチも小さな魚もいます。何匹も泳ぐ絵もあります。でも、ふと気づきます。ほとんどの子が描く魚の頭が、左を向いていることに。突然、「魚の絵を描いてください」と言われたらどうでしょう。私の魚も左向きとなります。これはほかの動物にも共通しているようです。正面や上を向く絵を描く人は、単なるへそ曲がりか才能か?
ある統計では、98%の人が左向きに魚を描くといいます。料理屋で焼き魚を頼むと、たいていの場合、左向きに配置されます。これらは、日本語の文字の書き方と密接な関係があるとする説。旧来の縦書き文字は右から左へと読んでいきます。巻物にすれば、右から左へ文字が流れます。必然的に、巻物に描かれる魚や動物も左向きとなるというものです。左向きの絵が多くなれば、それが刷り込まれていくことになるわけです。逆に、左右入り混じった構成が自然とできる子がいたとすると、才能に恵まれていると考えてもよいのかも。そうした才能をどこかに落としている者はおらんか~?なまはげが問いかけます。今日から「秋田なまはげまつり」が始まります。