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校長室から

195 心動く(23.4.14)

 駅から学校へ向かう途中、ジャスミンの香りが漂ってきます。どこだどこだと人目を気にしながらキョロキョロ。見つけて気持ちが落ち着いた不思議な感覚です。

 4月1日早朝から所用で仙台へ出かけました。常磐道で約4時間半。途中の福島県では、道路脇に放射線量を示す掲示板の数値や景色などに、原発事故がまだ終わっていないことを改めて感じました。仙台で1泊した翌日は、震災遺構に指定されている仙台市立荒浜小学校を訪ねました。100mも歩けば砂浜に出られるような場所にありますが、ここでは津波の怖さを実感しました。2階でも大人の膝近くまで浸った跡が残ります。屋上から周囲を見渡すと、未だ人の生活している様子は見られません。そして、流されなかった松の木がまばらに残っています。校舎内に設置された掲示には、次のようにありました。

 

 地震発生時、1~3年生は下校途中で、4年生以上が校舎で授業中でした。地震がおさまってから、児童・教職員を4階に避難させました。1階昇降口で、地域の人に3,4階への避難を呼びかけていると、「すぐそこまで津波が来ている。早く上がれ!」という声をかけられ、急いで上階に逃げました。しばらくすると2階東側のドアからは、静かに水が流れてきました。そのうち、ガラスを破って瓦礫と一緒に水が勢いよく流れ込んできました。同じ頃、教職員の誘導によって、住民を屋上へ避難させました。当日は吹雪。落ち着いてきてから、3階や4階へ移動してもらい休んでもらいました。小学校への避難者数は、児童71人、地域住民233人、教職員16人の320人でした。17時30分頃、救助のヘリが来ました。(以下省略)

 

 全員救助されたと結んでありますが、読んでいるうちにドキドキしてくるのが自分でもわかります。その後、津波が押し寄せた海岸まで足を運ぶと、信じられないくらい穏やかです。ただ途中、放置された鉄柵に書かれた、「親愛なる日常」という文字に目が釘付けになります。安穏としている心に突き刺さる文字。映像を見たり話を聞いたりすることも大切ですが、実際に目にすることで実感できること、心動くことってあります。そんな貴重な時間を学校でも子供たちに用意し、心を揺さぶる本物体験を…と考えています。

 そう言いながらも、やっぱり牛タンをお土産に買って帰ればよかったと悔やむ私は、まだまだ未熟者!

194 ヘルメット(23.4.13)

 我が家の近くに中学校があります。学区が広いので、自転車通学の生徒がたくさんいます。自転車置き場が整備され、生徒は避難訓練で使用するタイプの白ヘルメットを被ります。下校時には校門に立って安全指導をする職員の姿を見かけることもあります。田舎なのでしょうが、万一事故に遭ったときはヘルメットの有無が生死を分けますから…。そんな私も自分用のヘルメットを持っています。頭は天然ヘルメットのように見えますが、それではありません。クロスバイクに乗っていた時のもので、サドルに座った尻が痛くならないパッド付インナーパンツとともに必要不可欠なアイテムでした。

 さて、今年4月1日から道路交通法の改正により、自転車に乗車する時のヘルメット着用が「努力義務化」されました。交通事故の発生件数自体は減少しているようですが、すべての交通事故における自転車事故が占める割合は年々増え続けているといいます。警視庁のデータでは、事故時のヘルメット未着用は着用していた人に比べて2.2倍の致死率であり、亡くなった人の6割が頭部損傷ということもわかっています。つい先日も、京都府のサイクリングロードで自転車同士が正面衝突して、ヘルメットを着用していなかった1名が亡くなっています。

 ヘルメットを着ければ絶対に大丈夫というわけではありません。ルールを守り、危険回避が第一ですが、頭部を守るという意識は誰もが持ち合わせたいと思います。ヘルメットが普及するには、降車後の扱いが課題になりそうです。スポーツバイクに乗る人は収納場所のあるリュックを活用する場合があります。「これなら被ってもいいかな」と思えるような、SGマーク付帽子型のヘルメットもあるようです。少し前に学校近くで見かけた小学生は、ヘルメットを被って運転していました。「ひらたっ子の生活」の中にもヘルメット着用の下りがありますから、うちの子かなぁ?

 ところで、仮面ライダーは仮面自体がヘルメット?だったらバッタの仮面を外すと、本郷猛や一文字隼人の顔がそこにはあるのでしょうか?

193 進学した「君」へ(23.4.12)

 マイカーの後部座席には、大きなスヌーピーが鎮座しています。安全のためにシートベルトもしっかり締めています。座高が足りず、そのままでは首にベルトが当たるので、クッションも敷いています。私自身、乗ったらすぐシートベルトを着用します。取り締まりがあるからとか警察官につかまるからといった理由ではなく、自動車に乗ったらシートベルトを締めるのが習慣に。数十年前の自分からは考えられないことです。逆に、シートベルトをしない子供が車内で動き回っていたり、助手席で親が乳幼児を抱きかかえていたりする姿を見ると心配になります。

 バスで校外学習に出かけるときも、子供たちは自然とベルトを締めています。だから、昔のように席を移動したり後ろの席を向いたりする姿を担任が頻繁に注意する場面はなくなったように思います。

 今日は、市川市公立中学校の入学式です。第八中学校にはメッセージを送りましたが、私立を含めて違う中学校へ進学した子供たちもいるので、この場を借りて掲載します。見てもらえて、少しでもこの想いが届いたらうれしいなぁ。

 1年生の皆さん、入学おめでとうございます。卒業式で皆さんに、「失敗する勇気」「間違う勇気」をもって挑戦してほしいと話しました。中学校では、これまで以上に活躍できる場面がたくさんあるはずです。だからこそ欲張らず、自分の気持ちに正直であってください。そして、間違えたと気づいたときは、「引き返す勇気」も必要です。

 さて、私が少し前からウクレレで練習している曲があります。難しいのでなかなか先に進みませんが、秦基博さんの『ひまわりの約束』という曲です。ドラえもんの映画『STAND BY ME』の主題歌でしたから、皆さんも耳にしたことがあると思います。歌詞の中には、「僕」と「君」が登場します。この「君」は、大切な友だちかも知れませんし、親、兄弟、恋人など、長く一緒にいる大切な存在なのかもしれません。また、日常を「ガラクタ」と、そしてその中で育まれる人間関係を「宝物」と表現しています。

 一人一人が鮮やかな毎日を過ごすために、大切な人・宝物を増やし、優しく温めていってください。そして、自分の思いをしっかりと「君」に届けられる大人になってほしいと願っています。今のあなたにとって『君』は誰ですか?皆さんの素敵な出会いを応援していますね。

  君に幸あれ!

192 スイッチON(23.4.11)

 今日は入学式です。75名の新入生がどんな姿を見せてくれるか楽しみです。明日から見守り等でお世話になる学校運営協議会の皆さんにも参加していただきます。昨年度は巻物にした絵を使って、「たんぽぽの根」の話をしました。1年生やたんぽぽ学級があった廊下に1年間貼っておいてくれました。今日は、梅田俊作さんの絵本『がまんだ がまんだ うんちっち』を読み聞かせする予定です。これについては、来週発行予定の学校だより第3号で触れたいと思います。

 さて、一昔前に個別指導の学習塾のCM。子供の頭上でやる気のスイッチが入る映像だったように記憶しています。この「やる気スイッチ」は勉強でもそれ以外でも大事にしたいもの。そこで先週の始業式では、東井義雄さんの『心のスイッチ』という詩を読みました。夢に向かってチャレンジしていくためのスイッチは誰かが押すこともできますが、自らスイッチを押してくださいと呼びかけました。そして、スイッチを入れたら次は自分の足で歩きだすこと、行動することが大事だと。焦らず、一歩一歩自分のペースで歩き続けてほしいと思います。一方私たち大人は、子供たちの無限の可能性を少しでも引き出すための支援を心がけていきたいと思います。子供の行動を先取りしてしまわず、我慢して待つことも大事です。先取りされると、子供は必ずこう言います。「あ~、今やろうと思ったのに~」と。私もその天邪鬼のひとり!単に反発したいだけなのですが…。

 1年生はいろいろな所にスイッチを隠しているかもしれません。見つけ出してあげること、気づかせてあげることは大人の役目。今日はそのスタートです!

191 願いを実現する政治(23.4.10)

 3月後半からテレビ番組再編成の時期です。今週から春の新ドラマが始まりますが、それまでの間、撮り貯めていた草薙剛さん主演『罠の戦争』を観ました。代議士の秘書が国会議員となっていく中で様々な陰謀や罠が張り巡らされます。何が本当なのかわからない、きれいとは言えない世界を垣間見たような思いです。実際の政治の世界もきっと似たようなものかもしれないと考えると悲しくなります。

 さて、昨日は千葉県議会議員選挙の投票日でした。有権者として夕方、一票を投じてきました。選挙のたびに投票率の低迷が取り沙汰されますが、今回はどうだったのでしょうか。2週間後には市議会議員選挙が控えます。街頭での演説が聞こえてきても、選挙区が違ったり市川市民でなかったりする私は、申し訳ない気持ちでスルー。ただ、選挙が近い時だけ駅前に立って手を振ったり政策をアピールしたりするのではなく、普段から身近に感じられる存在であってほしいと地域関係なく願っています。

 先日のニュースで、フィンランドの選挙候補者の1割が18~29歳であると報じていました。候補者の年齢層が高く、比較的若くても40代位という日本とは大違いです。また、議員の40%以上(日本は15%強)が女性だといいます。さらに、若者の政治参加と関心の高さには目を見張ります。

 先週、子ども家庭庁で行われた、13人の子ども記者(小6と中1)による政策担当相の記者会見。性別と制服の関係や賃金の性別格差是正、子ども家庭庁のPR方法などについて質疑が行われたといいます。昨日の天声人語によると、会見では「選挙のためのアピールでなく、私たちが大人になるまで続きますか」という鋭い質問もあったようです。

 今後、政治を身近にとらえられるような授業や取り組みが一層大事になります。社会や政治に携わる者の工夫もまた然り。私たちも子供たちも関心が自然と高まる試みをあちこちから!

190 失敗する勇気(23.4.7)

 3月下旬、某百貨店のトイレや高速道路のSAではジェットタオルが復活していることに気づきました。感染防止策として、一気に使用停止が進みましたが、ガイドラインにある「利用停止」の項目を経団連が削除したのは2年も前のこと。そもそも世界の主要国では、新型コロナ拡大後もジェットタオルを使用禁止にしてはいなかったようです。いずれにしても、これまでの3年間とは少し違った始業式を迎えられます。手洗いや換気はしっかり行いながら、令和5年度の教育活動を進めていきます。

 さて新年度のスタートは、子供も大人も新たな気持ちで臨むとともに緊張します。特に転入児童やその保護者、そして新しく平田小にやってきた職員も同じです。何回異動を経験しても慣れるものではありません。新規採用者にとってはなおさらです。完全アウェーの雰囲気の中に身を置きます。そんな時にさりげなく声をかけてもらえることがどれほど安心感につながることか。

 教室を見て回りましたが、学級の子供たちを迎え入れるための準備が整っていますし、温かなメッセージも見られます。子供たちの目の輝きが1年後にはもっと眩しく感じられるように、職員一同努めていきます。私自身、苦しい時や辛いときに助けてくださったのは保護者の方々でした。だから、教員を支え育て、学校を盛り立てていくのは、保護者や地域の方々のバックアップがあってこそ。挑戦をすれば、失敗することだってあります。それを論(あげつら)うか、見て見ぬふりをするか、克服のための方策を一緒に考えるか。

 昨年度、職員室前に掲示した2枚のメッセージ。今も貼ってあるのは「“ありがとう”を口ぐせに」ですが、その前には「失敗しなかった一日は、何もしなかった一日だ」という言葉。年度末に異動をした佐塚先生の言った「見逃し三振より、空振り三振」もやらずに悔やむより挑戦することに意義を見出しているものです。

 一日の終わりに、「今日は何かあったっけ?」なんて思い出せないような日がないように、今年度も学校に関わる皆さんの力強いバックアップを支えに前向きな挑戦をしていきます。よろしくお願いします。

189 出会いと別れ(3/24)

 54年にわたりタラちゃんの声を担当していた故 貴家堂子さんに代わり、2代目タラちゃんは声優の愛河里花子さん。「初代タラちゃんの声は今日で最後だよ」と言われたのに番組を見逃したのはいつだったか。そのあとちらりと見ましたが、代わったことに気づきませんし、新しい出会いに違和感がありません。『サザエさん』一家は、徐々に声優交代がされてきましたが、すぐにその声が当たり前に感じられるようになります。慣れって怖い!ちなみに、サザエさんには日本一有名といっても過言ではないペットが登場します。「タマ」です。この声をエンディングで探しますが出てきません。数十年にわたって変わらぬ声で鳴き続けているように聞こえますから、まさにミステリー?

 つい最近まで観ていた広瀬すず・永瀬廉主演のドラマ『夕暮れに手をつなぐ』で、「Don’t remember days. Remember moments」というコレクションテーマがありました。訳すと、「日々ではなく、瞬間を思い出して」となるでしょうか。多くの人と私の出会いは、面や線、流れの中ではなく、瞬間や点、瞬きであり、その時々の集合体の中で自分が生かされてきたのではないかと思ってしまいます。

 今日は、今年度末をもって退職あるいは異動する多くの職員の離任式があります。異動先を含めて、本日発行の学校だより(HP掲載なし)では写真入りでお伝えします。たとえ1年間であっても一緒に力を合わせた人との別れは寂しいものがあります。「出会いは偶然、別れは必然」という言葉がありますが、私たちは「縁」で結びつながっています。子供たちも同じ。あの日あの瞬間を思い出し、ほっこりした気持ちになれる時間を共有したいと思います。

 さて、WBC日本代表の「ペッパーミル・パフォーマンス」を選抜高校野球に出場したチームが喜びの表現としてやったところ、審判から注意を受けました。高野連もそれを尊重しています。歯止めが利かなくなる恐れはありますが、受け止める度量や柔軟さも忘れないでいたいものです…なんて、勝手気ままに綴ってきたこのページも今日でおしまい。1年間ありがとうございました。

188 世界で一番(3/23)

 緑門で登校時の挨拶をしていると、歩道橋を下りて真っ直ぐこちらへ向かってくる下学年女児がいます。私の前にきて止まったと思うと帽子を脱いでお辞儀をしてくれます。まるで修身の教科書をみるようですが嬉しくなります。

  嬉しいといえば、WBCの優勝!最終回は大谷選手がマウンドに上がりましたし、準決勝のメキシコ戦の9回裏逆転サヨナラも強烈なインパクトを与えてくれました。

 さて、話は逸れますが、以下は海外の求人広告です。多少言葉を変えて紹介しますが、どんな職種でしょう?

 職  種:Director of Operation(現場総監督)

 勤務時間:基本24時間(135時間以上/週7日) いつ呼び出されても対応可能であること

 休  憩:ほとんどなし(食事や睡眠の時間を確保できない時もあり)

 必須能力:交際力・交渉力・医学・栄養学・金融学・忍耐力

 特  徴:①複数のプロジェクトを担う ②立ち仕事で体力を使う仕事が多い  ③常に周囲に注意を払う必要がある

 給  与:0円(完全無給のボランティア的感じ) 職に就いた最初の年は、年収3千万円相当に匹敵する仕事量

 そ の 他:①休日やクリスマス、正月は仕事が増える ②この条件で仕事を経験した人は、数十億人いる

 これは、「世界で一番過酷な仕事」と書かれた求人広告の内容で、ビデオチャット面接を実施した様子が動画になっています。実は、グリーティングカードのメーカーが撮影するために設けたフェイクの面接。語られる労働条件に呆れる人ばかりですが、その仕事が「お母さん」だと知ったときの表情が印象的です。 私自身、母に対して、そして口喧嘩をしても弁当を持たせてくれる妻に、改めて感謝の気持ちです。「母の日」にだけ感謝の言葉や花を贈るのではなく、今年度の「ありがとう」を、今この瞬間の「ありがとう」の気持ちをきちんと伝え合いたいとは思いませんか。

187 バタフライ効果(3/22)

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺があります。あることによって、直接因果関係がなさそうな意外なところに影響が出ること、つまり当てにできそうにないことを期待するたとえに使用されます。

 風が吹けば埃が立つ ⇒ 埃が目に入って失明する人が現れる ⇒ 眼が見えなくなったので三味線で生計を立てる ⇒ 三味線を作るための猫の皮が必要になる ⇒ 猫が減ってネズミが増える ⇒ 増えたネズミが桶をかじる ⇒ 桶の需要が高くなって桶屋が儲かる、という流れだったように思います。こじつけというか強引な感じがしますが、一見関係ないことでも物事が連鎖して、思いもしないところに波及することを言い伝えています。

 これに近いものに「バタフライ効果」があります。ブラジルでの蝶の羽ばたきが、遠方のテキサスに竜巻を引き起こすかという気象学者の演題に由来するようです。「些細な出来事が、のちの大きな出来事のきっかけになる」という意味で使われますので、先の諺とは多少ニュアンスが異なりますが…。「自分一人では何もできない」と悲観するより、ちっぽけだと思われる個人の力でも、もしかしたら自治体や国家を変えることができるかもしれないと受け止めるくらいの気概を持ちたいものです。そこまで壮大でなくても、「自分が行動することで、周囲も変わっていくはずだ」と思い続けたいと思います。ふと「先ず隗より始めよ」なんて言葉を思い出しました。あれは高校の漢文だったか古文だったか?

 ところで、「寿司テロ」とも言われる迷惑行為は今に始まったことではありませんが、SNS上に流して喜ぶ輩は後を絶ちません。また、線路に向かってパイロンをつなぐバーを投げて、「♯やり投げ大会」といって衆目を集める行為なども理解に苦しみますし、好き勝手なことをやっている姿を煽る人も少なくないのは残念でなりません。こうした負の連鎖が大きな事件や事故につながらないこと、平穏な生活への悪影響にならないことを祈ります。少なくともいま目の前にいる子供たちが今後、こうしたことを平然とやってのける人にならないように多くの目で見守り、声をかけていきたいと思います。

186 あっ、こんなところに(3/20)

 父や私が収集していた切手帳の整理をしました。その切手帳に懐かしくも金銭的な価値はないものを2つ見つけたのです。今となっては捨てるのは忍びない。

  その1つは、ロッテの板ガムの包み紙です。コーヒーガムやイヴ、ローラなど蒼々たるメンバーです。見たこともない種類があるかもしれません。最近は、「ガムを噛む」という習慣がほぼなくなりましたし、ガムは手軽に買えて、リフレッシュ効果だったり生活に潤いを与えてくれたりする代表格だったのは一昔前のこと。ここ20年でチューインガムの生産量は6割減にもなるといいます。粒ガム主流となったあとから、板ガムを目にすること自体なくなったように思います。そんな中、(株)明治がガム事業から撤退するようです。

 眠気覚ましや口臭ケア等を謳ったガムもありましたが、「ガム離れ」が進んだ要因は何でしょうか。おそらく最大の欠点は、噛んだ後のゴミが口に残り、捨て場に困ることだと思います。だから、ガムに代わってタブレットやグミ、エナジードリンクに移行した人はきっと多いでしょう。包み紙やティッシュがないからとガムを路上に吐き捨てる人がいたのも事実。靴の裏にガムが付いた経験のある人だって少なくないはずです。そういえばここ何年も、ガムを踏んでしまって沈んだ気持ちになることはないような…。

 そしてもう一つが切符と高校・大学の通学定期。切符に関しては、高尾登山電鉄や筑波山ロープウェーに始まり、「S50.1.1愛国駅から幸福ゆき」の切符ほか様々です。ただ「JR」ではなく「国鉄線」とあり、切符鋏が入れられていますから歴史を感じます。なんでこんな物をとっておいたのかはわかりませんが、個人的には希少価値いっぱい。

 思いがけないところから懐かしいものを発見する機会に恵まれるのは、整理整頓をする年度替わりの今。そんなことを思っていたら、今年度のスケジュール帳の1ページ目に、4月に児童からプレゼントされた四つ葉のクローバーが貼られていたのを見つけて、改めて嬉しさが込み上げてきました。児童登校もあと4日!

185 卒業の朝に想う(3/17)

 最近、にわかベースボールファンが我が家のテレビの前に陣取っています。ワールドベースボールクラシック(WBC)を観るためというか、大谷翔平選手を応援するためです。その大谷選手やダルビッシュ、村上宗隆選手、佐々木朗希選手など、話題性とともに活躍が期待される選手がたくさん登場します。予選は危なげのない試合ばかりでした。そんな中、ヌートバー選手が大活躍ですが、正直名前すら知りませんでした。カージナルス所属だそうですが、打ってよし守ってよし走ってよしの三拍子揃っているうえに愛嬌があって一躍注目を集めています。土日曜日に練習している野球少年少女も、いつも以上に気合が入っているように見えてしまいます。昨晩のイタリアとの準々決勝も楽しみ、勝利を喜んだのは言うまでもありません。大相撲も始まっています。さらに、今年はラグビーワールドカップも控えます。スポーツで日本が一つにまとまったり、スポーツが人々を元気にしたりする場面が増えそうです。ニューヒーローの誕生をみんなが待ち望んでいます。

 さて、今日は卒業式。桜はもう1週間待つ必要がありそうですが、スポーツが日本を元気にするように、卒業生の笑顔や凛々しい姿は保護者や職員を元気にしてくれます。後輩にもよい刺激を与えます。だから、教職員全員で素敵な時間を共有できるように努めます。私自身、数えきれないほど6年生の担任をさせてもらい、校長としても何度も壇上で話をしてきましたが、一度たりと慣れることはありません。毎回新鮮で、そして緊張です。今日も何か失敗して無様な姿を見せてしまうかもしれないと考えると冷や冷やものです。ただ、私たちが卒業式を何度経験していても、子供たちにとっての小学校卒業式はただの一回限り。そのことを肝に銘じて臨みます。一人一人がヒーロー・ヒロインになれるように…。

184 よりよいものを求めて(3/16)

  “おかげさまで50周年の▲▲。自然なおいしさを、いつまでも。”

 新聞掲載の広告にあった文面ですが、「▲▲」には何が入るでしょうか?ヒント!“▲▲は、素材をさらにシンプルに。ミルクと抹茶は、こだわり素材でよりおいしく。”と続きます。正解は「あずきバー」です。 50年前に「ぜんざいを凍らせたようなアイスが作れないか」という発想から誕生した商品。昨年度の年間販売本数は3億本を突破したといいます。砂糖の量や種類を見直し、添加物を使用していないあずきバーは、安全なアイスとして愛されてきました。節目に当たってリニューアルされたといいますからまた食べてみようと思います。冷凍庫から出してしばらく置いて、ほどよい硬さになったころに…。

 さて、毎週のように足を運ぶ道の駅ですが、今年で誕生から30年を迎える公共施設です。この道の駅が生まれる出発点は、ある街づくりの会合で「鉄道のように道路にも『駅』があっていいんじゃないか」という提案をしたことから。こちらも何気ない発想が原点になっています。そこから地域性を生かした多様な施設となり、最近では一日では遊び尽くせないような大型化傾向にあるようです。その数1198か所、千葉県内だけを眺めても29も…。中には温泉施設もあってそれぞれに特色があります。明治期に建立した廃校をリニューアルした、鋸南町の「保田小学校」は遊び心満載ですし、「発酵の里こうざき」は発酵食品に特化。南房総の「おおつの里 花倶楽部」は園芸好きにはたまらない場所かもしれません。一日かけて県内の道の駅巡りをするとか、夏休みの課題にガイドブックにまとめるとか、楽しみ方は色々です。そういえば4年生の社会科学習で千葉県の特色について学びますので一石二鳥?

 私が子供だった頃、家族旅行や遠足で立ち寄ったのはドライブイン。響きに古さを感じますが、今も修学旅行の昼食やお土産は日光市内のドライブイン的な場所です。一方、高速道路はサービスエリアが充実しました。「どこどこのSAに○○を食べに行く」という目的で車を走らせる人もいるようです。道の駅も含めて、立ち寄り先から目的地に変わっているようです。暖かくなってきました。名物ソフトクリームを食べに出かけたいのは何処?

183 備えあれば(3/15)

 昨日は、5年生も参加をして卒業式の予行でした。在校生が参加しなくなって3年目?の卒業証書授与式です。ですから、翌年度のために式の雰囲気や流れを知るとともに、一足早く6年生を祝福する意味もあっての見学です。卒業式やその練習になって初めて間近でマスクなしの顔を見るということがここ数年続いています。「マスクの下にそんな素敵な素顔を隠していたのね」と思うのですが、本番に備えてその顔がさらにまぶしく輝けるように取り組んでいます。

 さて、ある晩帰宅すると、寝室の様子が大きく様変わりしています。入口脇にあった大型スチールラックが隣の部屋に移動しているのです。漫画本置き場も変わっています。仮に大きな地震が起きたとすると、ラックが倒れて部屋の出入り口を塞いでしまう可能性があるからだとか。一人で2時間以上かけて様々なものを動かしてしまう行動力に脱帽です。2階のガラスなどが割れるとスリッパでの避難が危ないということで、クローゼットに普段履かない靴も忍ばせたといいます。

 南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡から宮崎にかけての海沿いでは震度7となる可能性があるそうです。また、隣接する周辺の広い地域でも震度6前後の強い揺れになると想定されています。千葉県は比較的離れているように感じますが、他のプレートへの影響や首都直下型地震の可能性を考えれば決して安全圏とはいえません。正直怖いですが、最新かつ正しい情報を知ることが、自分の命・家族の命を守ることにつながります。使い古された言葉ですが、「備えあれば憂いなし」でありたいと願います。

 学校は、明後日の卒業証書授与式に向けて、教職員と在校生みんなが万全の想いで門出を演出します。同時に、学校や家庭、地域の防災も万全を期すことを忘れてはなりません。

182 拒否反応(3/14)

 カブトムシ、イモムシ、アリ、ハチ、バッタ、イナゴ、コオロギ、セミ、カメムシ、さなぎ、幼虫などに共通するものは何でしょう。そう、世界でよく食べられる昆虫類です。日本でもイナゴや蜂の子など伝統的に食していることはご存じのとおりです。私が子供の頃、昆虫網を手にイナゴをたくさん捕まえて、それを祖母が佃煮にしたのをよく食べました。後ろ足の棘みたいな部分が口の中に刺さるのは嫌でしたが、味はよいのです。

 昆虫は身近であるとともに、簡単に手に入れられるタンパク源で、栄養価が高くビタミンやミネラルも多く含むため、優れた食材として再びクローズアップされています。南極を除く世界百ヵ国近くに昆虫食文化があるといい、その数ざっと二千種類というから驚きです。

 こうした中、徳島県立高校の食物科でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したところ、クレームが殺到したといいます。提供されたのは一口サイズのカボチャコロッケ170食。粉末の食用コオロギパウダーを練りこんだもので生徒からは好評だったそうで、コオロギの香ばしさが引き立ちカボチャがより甘く感じられたといいます。

 経験や前例のないことに取り組む場合、ハードルは高いはずです。できれば避けて通りたいと思う人もいるでしょうし、逆に前例を作れる絶好のチャンスだと考える人もいます。やらなければ可能性の広がりはありませんから、「よし、まずはやってみよう」と一歩を踏み出せる人に子供たちには育ってほしいと思うのです。日本の食材に限ると、タコや海苔、白子、ゴボウ、馬刺し、納豆、松茸などは、世界ではゲテモノ食なのかもしれません。ただ、それを最初に食べた人がいて、今に伝わっているのです。

  では、実際に小中学校の給食で昆虫食が提供されたときに、子供たちは柔軟に受け入れるでしょうか。それとも新しい食材への拒否反応を示すでしょうか。元の形が見えないものであれば、恐々と口に運ぶけれど、味に違和感がなければ子供は自然と受け入れて、不思議そうな表情がみるみるうちに笑顔へと変わっていく様子が目に見える気がします。

  今日のホワイトデーにイナゴの佃煮を贈ったらどんな反応が…。口をきいてくれなくなるかも?

181 夜明け前が一番暗い(3/13)

 延期に次ぐ延期を繰り返したH3ロケット1号機の打ち上げが失敗しました。日本の宇宙開発の遅れが心配な一方、JAXAが13年ぶりに行った宇宙飛行士公募に手を挙げた小学2年生男児のコメントを見て、熱い想いを感じ取りました。謎のUFOを目撃した主人公とその弟が、「一緒に宇宙飛行士になろう」と誓い合う漫画『宇宙兄弟』に一時夢中になりましたが、先の小学2年生は応募資格を満たさないものの、宇宙兄弟と重なって見えてきます。

 今月初めの給食で、今年度最後の揚げパンが提供されました。揚げパンは、きな粉やココアが一般的ですが、うぐいすきな粉、シナモンシュガー、アーモンドなどいろいろな味のバリエーションがあります。ある時栄養士に、「いつもと違った味の揚げパンを出してほしい」と注文しました。それを受けてくれたのか初めての味が…。でも、口に入れたものの何の味かわからないままあれやこれやと考えます。知った味なのに何なのかが思い出せない、そんな経験が誰にもきっとあるはずです。先日は、まさにそのドツボにはまった状態。モヤモヤするので栄養士に尋ねてしまって「ガッテン」。キャラメル味でした!

 揚げパンの始まりは、今から70年ほど前。ある小学校の調理士が、硬くなったパンをどうしたら美味しく食べてもらえるか試行錯誤した結果生み出されたもので、病気で学校を休んだ児童の家に届けたことが最初みたいです。学校給食の主食が、パンよりごはんが主流となったのはいつ頃からかは思い出せませんが、たまに出される揚げパンやガーリックトーストなどには高揚感があります。

 さて、少し前にポケモンの新作アプリに関するニュースを目にしました。ポケモンGOでは「歩く」ことをテーマとしていましたが、今回は「睡眠」のエンターテイメント化。「朝起きるのが楽しみになるゲーム」という謳い文句で、寝る時間や休息時間に焦点を当てます。メディア視聴時間が長いがゆえに睡眠不足の子供や大人が少なくないので、自分の睡眠を計測して、その結果に応じてポケモンが増えるとか寝たポケモンを起こせるとかいう内容なら歓迎されるかもしれません。睡眠のリズムを整えることが楽しいと思えてゲームクリアが目指せるなら一石二鳥でしょうか。よく眠れたことによって朝食や給食をおいしく食べられるなら文句なし?!

 人は成功ばかりに目が行きがちですが、そこに至るまでは数えきれないほどの失敗があったはずです。「夜明け前が一番暗い」といいますから、今後の日本の宇宙開発に期待を寄せます。そして、子供たちも私たち大人も挑戦し続ける強い気持ちを持ち続けていきたいと思います。

180 プライスレス(3/10)

 今日は、ネットで見つけた心温まるステキなお話を紹介!残念ながらどこで見たのかすっかり忘れましたので、勝手に脚色を加えてあります。(長いですが、ぜひ最後まで)

 ある日、父親が疲れ切って仕事から家に帰ってきました。遅い時間なのに、5歳になる娘がリビングで待っていたのです。父親は驚いて言いました。

「まだ起きていたのか?遅いから寝なさい」

『お帰りなさい。あのね、一つ聞きたいことがあるの。パパは1時間にお金をいくら稼ぐの?』

「どうでもいいだろう、そんなこと。何でそんなことを聞くんだ?」と怒るように言いました。

『ただ知りたいだけよ!』

「決して給料はよくないよ。時給2千円くらいかな」

『ねぇパパ、私に千円貸してくれない?』 疲れていた父親は、叱るように言いました。

「お前たちが安心して暮らせるようにパパは働いているのに、帰るなりお金をねだるなんて…。早く寝なさい」

 娘は俯いて自分の部屋に戻りました。でも、父親は厳しく叱りすぎたことを少し後悔しました。これまでにこんなことを言うことはなかったし、きっと何か理由があるのだろうと思い直しながら、子供部屋のドアをそっと開けて声をかけました。  

「もう寝たかぃ?」

 『ううん』少し泣いているような声が返ってきました。  

「ごめんな。ちょっとイライラしていたんだ。望みどおり、千円をあげよう」  

 すると子供は布団から跳ね上がって言いました。『ありがとう、パパ』

 それから、棚の上の貯金箱から数枚の硬貨を取り出しました。  

「えっ、もうずいぶん貯まっていたじゃないか」  

『ううん、足りなかったの。でも、もう足りたよ』

 不思議に思う父親に、子供はさらにこう付け加えました。

『パパ、ここにパパの1時間分のお給料の2千円があるよ。これをパパにあげるから、明日は1時間早く帰ってきて!そして晩ご飯を一緒に食べよぅ?』

 父親は、子供を思いきり抱き締めながら涙が止まりませんでした。

 なんでもない時間、とりとめのない会話は、お金に代え難いものなのかもしれません。東日本大震災から12年もの年月が過ぎる今、命に向き合うとともに、「もっと話をしておけばよかった」などという後悔の念を抱くことのない毎日を過ごしたいと思うのです。今日は、放送集会で映像を交えながら東日本大震災ほかを振り返り、防災について考えます。ご家庭でも話題の一つにしてほしいと願います。

179 そこにいるだけで(3/9)

 気温20℃って初夏です。修了式には校庭の桜が見頃なんていうことも…。また、リクルートスーツに身を包んだフレッシュな社会人を多く目にする今日この頃。

 今日3月9日はレミオロメンの日?そんな日はありませんが、この日になると、好きな歌がいつも頭の中をエンドレスで流れ続けます。ドラマ『1リットルの涙』の中で歌われた曲です。「瞳を閉じた瞼の裏にあなたがいることで、私がどれだけ強くなれたことか」「あなたにとって私もそんな存在でありたい」という内容の藤巻さんの詞が素敵です。時期的に卒業ソングのように思われがちですが、結婚する幼馴染へのプレゼントとして書き上げた曲なのだそうです。相手や周りの人へのありがとう(サンキュー)の気持ちで3月9日に結婚するというから、その友達も素敵ではありませんか!

 本八幡シャポーの中を学校に向かって歩くと、エスカレーター手前に書店があり、朝7時過ぎに通るときにはもう開店しています。帰り際、ふと立ち寄りたくなるから不思議です。なんか面白いものがあるのではないか、発見があるのではないかとワクワクしてしまうのが本屋さん。ふらふらと見て回るだけでも楽しいのです。まるで「宝がぎっしり詰まった空間」のように思えてなりません。趣味の雑誌はあるし、心の栄養になる単行本や文庫が所狭し並びます。悲しいときは漫画で笑い、悩んだ時にはヒントを探します。そんな理屈は抜きにしても、そこに本屋があるというだけでうれしくなるのは私だけ?

 米米CLUBの歌にも「例えば君がいるだけで、心が強くなれること~」というフレーズがありますし、先のレミオロメンの歌のように、そこにいるだけで人を勇気づけられる、手を握ったり話をしたりするだけで気持ちが落ち着く、安心する、そんな人に私はなりたい!そう思いませんか?

178 おしゃれ(3/8)

 今日3月8日は「ミモザの日」。ミモザの花言葉は、「安全」や「愛」。日本では母の日にカーネーションを贈るように、欧州では母親をはじめとした女性にミモザを贈る習慣があるそうです。また、「優雅さ」や「優しさ」、「友情」を象徴する花としても浸透しています。我が家のアカシア・ミモザも写真に見てとれるようにフワフワの花をたくさんつけています。アカシアが好きで4種類育てていますが、花が開くとその周りが明るい雰囲気に包まれます。

 

 話は変わりますが、温かい真っ白なご飯に添えると、双方が引き立てあうものといえばなんでしょう。納豆を真っ先に思い浮かべる人もいれば、漬物が一番と考える人もいるでしょう。両者は、保存食としての日本の食文化を支えているといえそうです。特に、漬物は種類が豊富。浅漬け、ぬか漬け、酢漬け、味噌漬け、奈良漬け、わさび漬け、梅干しなど数え上げたらきりがありません。簡単に手に入るとともに、自分で作ることだってできます。材料もいろいろで、白菜・大根・きゅうり等々。食べ方だって、ご飯のお供以外にも、酒の肴やお茶漬けの具材にだってなります。昔、お茶うけとして食卓に上り、おやつ感覚でポリポリしていた記憶もよみがえります。そういえば、給食のカレーには真っ赤な福神漬けが欠かせないものでしたが、最近はまったく目にすることがなくなりました。

 さて、“中古の家の魅力”あるいは“賢く素敵な日本の暮らし”を提唱する「リノベる」代表の山下智弘さんは、「スタッフの採用には妥協しない」と言います。愛される・頼られる・おしゃれの3要素を兼ね備えていることが採用条件。この中の「おしゃれ」とは、機転の利く人であり、昨日とは違う今日を工夫できる人。そして自分なりのアイディアを持っている人を指すそうです。ある意味では、ミモザも漬物も愛され、頼られ、おしゃれな存在とは言えないでしょうか? 私たち教員も、山下さんの言うような「おしゃれ」を身につけていたいと思います。同時に、子供たちにも柔軟さと強さを育んでいってほしいと願います。

177 駄菓子屋(3/7)

 腕を頭上で回しながら、♪ブーメラン、ブーメラン、きっとあなたは戻ってくるだろう~♪と歌うのは、西城秀樹さんの『ブーメランストリート』の冒頭です。残念ながら、覚えているのはここまでです。ところで、「ブーメラン」と聞いてどんなものか想像がつく子供はどのくらいいるでしょう。

  ブーメランとは、狩猟やスポーツに使われる棍棒の一種。大型のものを除けば、手で投げて飛ばすことができ、ある程度の距離を飛行した後に手元に帰ってくるタイプが有名です。子供のころ、駄菓子屋でプラスチック製の「へ」の字型ブーメランがおもちゃとして売られていましたが、大好評でした。そうはいっても、まず手元に返ってくることはなく、飛んでいった先に走って拾いにいったというのが現実です。広い空き地がそこかしこにあった時代だからできた遊びなのかもしれません。また、パチンコも買ったり自作したりして的当てを楽しんだものです。

  そんな時代、よく足を運ぶ駄菓子屋がありました。オレンジガムやココアシガレット、ゴールドチョコが5円だったように記憶します。とりわけフーセンガムは人気。誰もがガムを噛み、プーっと膨らませながら歩いていました。駄菓子屋にあるのは食べ物ばかりとも限りません。「銀玉鉄砲」もその一つ。ジェンダー問題を気にせず言うなら、これを片手に多くの男の子が撃ち合いをして遊んだものです。くじ引きもありました。お目当ての商品を狙うも当たらないので、番号札を自作しておじさんに見せたらすぐにバレて叱られたことも…。

 平田小学区にも駄菓子屋があるらしいことを聞きました。子供の説明なので、いまいち場所がつかめませんが、足を運んでみたい気がします。店から天地真理さんの歌が流れ、懐かしいポスターでも貼られていようものなら…。

176 不易流行?温故知新?(3/6)

 小室用務員さんが『(復刻版)國民禮法』という本を貸してくれました。昭和16年に刊行されたものの復刻版ですが、戦前の「修身(現在の道徳)」の授業で用いられた小学生用教科書です。人々のたしなみ・礼法が、低学年の教科書の文字くらいの大きさで書かれています。普段から当たり前に言われていることも書かれていますし、戦前だからこそといった内容もありますが、不思議と新鮮な感覚で読めます。

  その中で、「傷痍(しょうい)軍人」という言葉を久しぶりに目にしました。戦争で手足を失ったり病気になったりした軍人を指しますが、子供のころ上野に行くと地下道や公園そばに包帯を脚に巻いてアコーディオンを弾いている人をよく見かけたものです。また、「ぜいたくは敵である」なんて言葉も、初等科第5学年「貯蓄報国」に登場します。この中からいくつかを紹介します。

■初等科第3学年 第9 お客様のお見送り 三  おかえりになると、すぐ戸をしめたり、笑ったりしてはならないこと。(カーディーラーの営業マンは、車が見えなくなるまでお辞儀をして見送ってくれます。)

■初等科第4学年 第3 神社の参拝  かしわ手は、落ちついて、よい音をたてるようにしましょう。それには、指をよくそろえ、手のひらを合わせたら、少しくぼめるようにして、右の手を少し手前にずらすとよいのです。(昔から年配の人は自然にやっていて、大きな音が響いていました。)

■初等科第5学年 第9 訪問 八  人の家を訪ねる時、外とう・えり巻等を着たままで案内をこい、上ってからぬぐ場合と、上る前にぬぐ場合とある。その時によって、どちらでもよいのである。(後者を正しいと思っていましたが、どちらでもよいのですか。)

■初等科第5学年 第13 物の受渡し 一  洋がさ・ステッキ等を渡す場合は、正面をさけて、柄が先方の右手に向かうようにし、先方が受けやすいように差出すがよい。(刃物の受渡しは、たとえ低学年でも身につけていたいことです。)

■初等科第6学年 第6 西洋料理の食卓作法 八  フォークは凹んだ方を下に向けて用いる。(今では当たり前ですが、戦前はナイフやフォークの使い方や置き方からスープのすくい方など20項目にわたって書かれています。初めてナイフとフォークで食事をした時を久しぶりに思い出しました。)

 到着を2列で並んで待っているところへホームへ滑り込む電車。乗客が下りたあと、なぜか後からきた人が我先に乗り込んで平然と座席に座ります。ムッとしながら、「公衆道徳」について記した箇所を読んで聞かせたくなりました。

 今日から卒業式の練習が始まります。儀式的行事の中で礼儀作法を学ぶ機会でもあります。