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校長室から
567 発酵食品(25.2.13)
ぬか漬け用の深めの容器にキュウリやカブ、大根などを入れて食卓の一品として出されます。毎日手でかき混ぜて空気を入れ、温度管理にも注意しながら適度な発酵を促します。冬場は氷水に手を入れたような冷たさに手が痺れます。とは言っても経験したのはただの1回だけ…。そして最近、タッパーのようなホーロー容器を新たに購入して、腸活にいそしんでいます。
県内で「発酵の町」をPRするのは神崎(こうざき)町。道の駅もあって、納豆・醤油・味噌・チーズ・糀カレーなど様々な発酵食品を取り扱っています。そんな「発酵」と「熟成」は似た感じがしてプラスのイメージ。対局のイメージを抱く「腐敗」とも根っこは同じ気がしますが、何が違うのでしょう。
一般的に、人間にとって有益な物質が作られる場合が「発酵」。さらにそれを管理して寝かせておくことで、風味などが増して「熟成」となります。逆に有害な物質が作られる場合が「腐敗」。例えば、牛乳に乳酸菌を加えるとヨーグルトが生まれ、「発酵」が起きたとなるわけです。一方、牛乳を常温で放置すれば、腐敗菌が増殖して腐ります。顔を背けたくなるくさやとかブルーチーズなんて、発酵・腐敗の紙一重そのもの。
ところで、発酵に欠かせない「糀」と「麹」の違いがよくわかりません。どちらも「こうじ」と読み、どちらを使っても間違いではないようです。ただ、一般的に「麹」は麦・豆・米などの穀物で作られたもの全般を指し、「糀」と書いた場合は米こうじを表すことが多いといいます。偏で判断すればよいみたい。
4月に開幕する大阪万博で、千葉県は「発酵」をテーマとしたブースを設ける予定のようです。5月には先の神崎町で「発酵マラソン大会」を開催するとか…。こうしたイベント或いは私たち自身、たとえうまくいかなかったとしても気持ちを腐らせることなく、努力で熟成につなげていきたいと思います。
566 どう食べる?(25.2.12)
我が家では専らホクホク系のサツマイモが好まれるので、紅あずまやベニコマチ、○○金時などの品種がよく選ばれます。カボチャも同様で、口の中の水分をみんな持って行くのかと錯覚するようなものばかりが食卓に登場します。先月の給食で提供された焼きいもは、ねっとり系で普段食べ慣れない美味しさでした。品種を尋ねると安納芋だそうです。オーブンで焼いた後、スチームで仕上げたとか。こちらの方が好きかも…なんて浮気心が働いて、その後3度も紅はるかを買って調理しました。
娘の誕生祝いに妻が作ったケーキに乗っていたいちご。私の皿には最後まで一粒残してあります。娘も一緒で、好きなものは最後まで取っておいて食べることを生活信条としています。一方娘の旦那はほぼ最初に食べたようで、食べかけのケーキの陰にすら姿かたちが見えません。食べ方は人それぞれで、個性が見え隠れします。
ここに小学生4~6年生500人が答えた、ベネッセが行ったアンケートがあります。『好きなものは先に食べる?後に食べる?』というもの。6割弱が、楽しみは後に残しておいて幸せに浸りたいタイプです。逆に、お腹が空いているときに好きなものを食べた方が、よりおいしく感じるという先食べ派の意見もごもっともという感じです。
そういえば私が小学生だったころ、「三角食べ」の指導がされました。ごはん(パン)・汁物・おかずを、順々にバランスよく食べることが推奨され、一品ばっかりを食べ進めるのは行儀が悪いとされていました。しかし最近では、食べる順番が健康に関係することがあるとされ、「ばっかり食べ」は必ずしも悪ではなくなってきました。血糖値などを気にする私はベジファーストを実践して、まずは野菜を先に食べることを心がけています。でも給食は、律儀に三角食べの教えを守っています。
アルミホイルで包んだ芋を、教室の煙突ストーブの上で焼いて食べた古き良き時代も懐かしい。
565 E.T(25.2.10)
体育館の天井部に挟まった、こぶし大のカラーボール数個が気になる最近。バカリズムさん原作のドラマ『ホットスポット』を観たからでしょうか。ある回では、40歳女性3人と宇宙人を囲んだ会話に、映画『E.T』が登場します。月を背景に自転車が空を飛んだり人差し指を合わせたりするシーンは、この映画を象徴しますが、女性3人は知りません。1982年公開なので生まれてもいない計算になります。つまり、学校でも50歳以上限定の話題にしかできないということ。
さて、実際に見たことはありませんが、古くはガマの油やバナナのたたき売りなど、巧みな口上と実演を駆使して商品を売る職人がいました。去年の今頃、木梨憲武さんと奈緒さんが共演したドラマ『春になったら』が放映されました。木梨さんの仕事は実演販売士で、会社のカリスマ的存在。スーパーやショッピングセンターなどで、行き交うお客さんの足を止めさせるところから始まり、商品の魅力や使い方をわかりやすく説明して買ってもらう仕事。語り口やパフォーマンスで、客の関心をいかに惹きつけるかがポイントでありテクニックというわけです。現在では、テレビの通販番組やユーチューブなど、店頭以外で活躍する人も数多く目にしますが、その話術は見習うところが多いような…。
先日、6年生のキャリア教育で様々な職業の方8名をゲストに迎えて話を聞かせてもらいました。小学生段階でのキャリア発達の課題としては、人間関係形成力・情報活用力・意思決定力・将来設計力・生命尊重力が挙げられます。つまり、高学年では、集団の中で自分の役割や責任を果たす中で、役立つ経験・喜びを感じ、社会とのかかわりの中で夢や希望、働くことのイメージを膨らませることをねらっています。ですから、ほとんど知らない実演販売士に話が聞けたら、子供たちの世界がどんなふうに広がるのか興味津々です。ET(えらく大変な仕事だ)と思うか、それとも目を輝かせるか。
564 落とし物(25.2.7)
教室を見て回ると、必ずと言ってよいほどある落し物。鉛筆や消しゴム、プリント類など様々です。そして、拾い上げて近くの子に「あなたの物?」とさりげなく問います。落とし主の子は、無言でそれを手に収めます。しばらく待ったあと、その子に「どういたしまして」と小声で言って、「ありがとう」の言葉が返ってくるのを待つことも…。まるで、「ごちそうさま」を忘れて催促される自分を見ているようです。
読みながら思わず笑ってしまった新聞投書。頼まれて醤油瓶を取ってあげたおじいちゃんは、孫がお礼を言わないので醤油瓶から手を放さないまま、「こういうときは何て言うの?」と尋ねたそうです。その孫はしばらく考えてから言った言葉が、「手を放してください!」だったと。
話は変わりますが、低学年の児童が教室で魚の絵を描いています。どうも図工の作品のようです。サメもいればシャチも小さな魚もいます。何匹も泳ぐ絵もあります。でも、ふと気づきます。ほとんどの子が描く魚の頭が、左を向いていることに。突然、「魚の絵を描いてください」と言われたらどうでしょう。私の魚も左向きとなります。これはほかの動物にも共通しているようです。正面や上を向く絵を描く人は、単なるへそ曲がりか才能か?
ある統計では、98%の人が左向きに魚を描くといいます。料理屋で焼き魚を頼むと、たいていの場合、左向きに配置されます。これらは、日本語の文字の書き方と密接な関係があるとする説。旧来の縦書き文字は右から左へと読んでいきます。巻物にすれば、右から左へ文字が流れます。必然的に、巻物に描かれる魚や動物も左向きとなるというものです。左向きの絵が多くなれば、それが刷り込まれていくことになるわけです。逆に、左右入り混じった構成が自然とできる子がいたとすると、才能に恵まれていると考えてもよいのかも。そうした才能をどこかに落としている者はおらんか~?なまはげが問いかけます。今日から「秋田なまはげまつり」が始まります。
563 お化け(25.2.6)
妻が口にした本の題名『要介護探偵』が、「妖怪御三家」と聞こえてしまう耳。困ったものです。決して御三家ではありませんが、「妖怪」アニメをよく観た順に並べてみると、「ゲゲゲの鬼太郎」「妖怪人間ベム」「ドロロンえん魔くん」「地獄先生ぬ~べ~」といったところ。聞き知るのは「妖怪ウォッチ」くらい。
お化けや幽霊、妖怪などが登場する怪談話といえば夏の風物詩。真冬にする話題ではなさそうです。確かにお化け屋敷や肝試しは、俳句で言えば夏の季語。ここでふと疑問が…。このお化けや幽霊、妖怪って、どこがどう違うのでしょう?
調べると、“お化けとは、幽霊や妖怪など特異なものの総称” とされています。ドラマや漫画で「お化けが出た~」と言って慌てて逃げたり腰を抜かしたりするシーンが登場する一方で、巨大なカボチャを見て「お化けカボチャ」と表現します。つまり、得体が知れない怪しげなもの、あるいは異常に大きかったり異形だったりするものを形容する場合などに用いる言葉といえます。
お化けに包含される「幽霊」は、“死んだ人が成仏できないでこの世に姿を現すもの” と辞書にあります。四谷怪談のお岩さんや戦地で亡くなった兵隊など、因縁のある場所や人の前に、丑三つ時などを狙って出てくることが多いようです。
これに対して、「妖怪」は、人間以外の動物やモノが変化したもので、“人知では解明できない奇怪な現象や物体” と説明すればよいでしょうか。昔から言い伝えられる河童や座敷童、一つ目小僧などがそれに当たり、天狗やかまいたちも妖怪の範疇かもしれません。幽霊とは違って黄昏時の出没が似合うイメージがあります。
冬にお化けが出そうもありませんが、「雪女」だってれっきとしたお化け。『ふゆのおばけ』(せなけいこ著)という絵本もあるくらいですから、探せばヒュ~ドロドロ~と現れるかも。