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校長室から

244 ユニバーサルデザイン(23.6.28)

 牛乳の紙パックの屋根の部分にあたる上部にくぼみがあることをどれだけの人が気づいているでしょう。正式には、このくぼみは「切欠き」と呼ばれます。これは視覚障害者などが牛乳と他の飲料を区別するためのしるしだとか。ユニバーサルデザインの一例だといいます。開け口とそうでない方を区別するためのものかと思いもしましたが、あること自体知らなかったというのが本当のところ。

 

 ユニバーサルデザインは、「あらゆる人に利用しやすいデザイン」であることを軸に、(1)誰にでも使えること、(2)使用するうえで柔軟性があること、(3)使い方が簡単で、直感的にわかること、(4)必要な情報がすぐにわかること、(5)簡単なミスが危険につながらないこと、(6)身体的負担が少ないこと、(7)利用しやすい十分なスペースが確保されていること、の7つの原則から構成されています。

 絵文字も立派なユニバーサルデザインの代表選手。3年生の国語「くらしと絵文字」では、絵文字はくらしを便利で楽しくするだけでなく、人々が互いに分かり合いつながりを深め合うのにも役立つことを理解するとともに、絵文字(ピクトグラム)に対する興味関心を高めることを目標にしています。学習の発展として、自分たちで絵文字を作って発表し合う場面もよく目にすることがあります。

 先の牛乳パックのように、身近にあっても気づきにくいユニバーサルデザインもあります。例えば、シャンプーとリンスの容器の突起がそれにあたります。あるメーカーの働きかけによって、現在ではどのメーカーでも容器の突起で判別できるようになっているらしいのです。まぁ、リンスに縁のない私は間違えようがありませんが…。

243 髪は長~い友だち(23.6.27)

 先週、市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催されている、坂崎千春さんの「ペンギンアパートメント」を見に行き、周年行事に係る話をしてきました。小さいながらも500点の原画が各コーナーに工夫して展示されていました。その人柄は、まさにペンギンをはじめとする様々なキャラクターの温かみを感じさせてくれるものでした。

 さて、「今日似た人を見たよ。危なく声をかけそうになった」「後ろ姿がそっくりだったけど、ニセモノだった」など、家族や仲間から言われることが度々あります。30年間こんな頭ですが、ひと昔前は坊主頭の大人はあまりいませんでした。でも最近はあちこちでニセモノが出現するようです。

 現代のメンズの髪型は種類もいろいろ。ベリーショートやツーブロック、アップバング、クラシックヘア、オールバックなど若者サラリーマンに人気なようです。50代にもなると、ナチュラルで渋めの髪型がもてはやされます。

 そういう私も若いころは髪の毛がふさふさ。「キューティクル」「天使の輪」なんて言葉がテレビから流れていた当時、引っ張り強度を測ったら200MPaを優に超える硬さでした。当然まとまりが悪い。アイロンパーマやパンチパーマでなんとかやっと整えていたわけです。ひと月もすればボサボサに伸びるし、寝ぐせもひどい!そこで、床屋で角刈り。でも、自分でバリカンをかけた方が安上がりとなって、必然的にバリカン購入へ。しばらくすると、「もっと短く、もっと短く」という欲求が高まり、カミソリの使用に至るのも時間の問題でした。「自分で刈るの?」「後ろ側は誰かにやってもらうの?」など質問を受けますが、指先で剃り残しを確認しながら進めますので大丈夫!

 坂崎さんのペンギンは、どれも黒々とした毛並み。抜け落ちることなんか考えられませんが、私の頭は白いものがたくさん混じってきました。でも、誰も気づきようがありません!

242 ターニングポイント(23.6.24)

 20代の頃は、機会は多くないまでもワインといえば飲みやすい「白」を選んだものです。今は「赤」一本で、たま~に白を飲むことも。ただ様々な種類あれども味の違いはよくわかりません。だから高級ワインだろうか廉価品だろうが飲めることがうれしいだけ…。

 そういう意味で、各分野のソムリエは尊敬に値します。ワインに関していえば、その第一人者は日本ソムリエ協会の田崎真也会長でしょう。1995年には世界最優秀ソムリエコンクールでも優勝しており、5月に行われたG7広島サミットの飲酒を監修しました。

 この田崎さんは、興味を持ったことにはまっしぐらだったといいます。小学校では昆虫学、中学校では海洋研究に夢中で、工業高校に進学したものの海への夢を捨てきれずに船乗りを目指しました。海員学校時代のアルバイトで作ったナポリタンを食べた客から「ありがとう」「ごちそうさま」と言われた時の気持ちが忘れられず、料理人を目指すターニングポイントになったそうです。フランス料理の世界でもう一つ夢中になったのがワインで、勉強のために単身フランスに渡ったのが第2のターニングポイントです。釣り歴50年以上で、魚を愛してやまないワインソムリエであり料理人。単に成功の上に立つ人のように思ってしまいますが、いろいろなことに興味関心を持ち、熱中して全力を注いできたからこそ今があるのだとあらためて思い知らされます。

 人それぞれにターニングポイントがあり、選択を迫られます。ある新聞には、やくざから弁護士になった人の取材記事がありました。この人にも転機があったわけですが、選択肢を増やすためは最低限の知識や技量、そして一歩踏み出す勇気が必要です。私たちが学ぶ意味は、「新たな力を身につけ、身につけたその力によって新しい世界を広げること」だと思います。「自分の今ある力を使ってアクションを起こし、そのことで人が喜ぶ姿を喜べるようにすること」と言い換えることもできそうです。ターニングポイントなんて仰々しいものではなく、日々の気の持ちようなのかもしれません。よって今がその転換点かも…。

 今日はオープンスクール。といっても2コマの授業参観です。これに先立って2時間目の時間帯にPTAによる除草作業があります。先日はプール掃除にも力を貸してくださった方がいらっしゃいます。今日もよろしくお願いします。

241 とりとめもないこと(23.6.23)

 朝の安全指導を終えて戻る際、校庭にある「ひらた山」近くのネットに沿うようにヤマモモの木があることに今頃気づきました。しかも雌木ですからたわわに実をつけています。一つ摘んで口に放り込むと甘酸っぱさが広がります。熟しているので手にも赤紫色の果汁が垂れています。昼休みに、数人の子供たちに勧めると、びっくりした顔。「本当に食べられるの?」と半信半疑な様子です。でも食べてしまえば「うんま~」なんて声も出るくらい。まさに今が旬!ある子には、サルビアの花の蜜を吸うことができることも教えてあげました。まさかアレルギー反応はないですよね。

 1年生のひらがな練習プリントを見る機会がありました。一文字ずつ例があって練習します。「や」の場合、「やさい」「やきとり」など。「やかん」という文字と絵がありますが、「やかんって何?」と尋ねられました。薬缶がない家庭も多いのでしょう。ましてやお茶を淹れて飲む習慣がなければ、急須なんて見たこともないかもしれません。知らないことがいっぱい。だからこそ、知ることで自分の世界が広がるのだと思います。知らないからといってバッサリと切り捨ててしまうような子供にはなってほしくありません。

 ある日、低学年が虫取り網を持ってバッタなどを追いかけています。やっと捕まえたトンボでしたが、手で捕まえられず助けを求めます。やっと虫かごに入れて得意満面で教室へ戻りました。次の日、「トンボは虫かごでは生きられないでしょ。だから逃がしてあげたんだよ」と、その子がそっと教えてくれました。

 そしてプール開きの日に驚いたこと。高学年が水慣れを始める前に、ラッシュガードを着けている子を数えてみると、男子40人中28人(70%)、女子33人中29人(88%)です。

 何でもないことの中にも、驚きや発見が隠されている新鮮な毎日です。

240 鰭(23.6.22)

 研修会に参加しています。最前列での聴講です。しばらくすると猛烈な睡魔に襲われてウトウトし始めました。自分に鞭を打ちながらも睡魔には勝てず、寝入ってしまったようです。間の悪いことにいびきまでかいていたようで、ふと目を覚ました時に、講師の手元のメモが目に入りました。なんと、私の名前が書かれた脇に「イビキ」という文字が添えられているではありませんか。なんとか取り繕おうと必死になっていました。いやぁー、いやな夢でした。

 少し前から音楽配信でスピッツの『美しい鰭』が流れます。スピッツらしい曲なのですが、「鰭」という字が悲しいかな、読めない!「すし(鮨・寿司)」とは違うし、ましてや「美しい寿司」なんてどんな歌詞になるか想像つきません。こんな時に便利なスマホ。同じように検索をしている人が多いらしく、検索履歴が容易に見つかります。「ヒレ」と読むそうです。「♪流されるまんま流されたなら、抗おうか美しい鰭で…自分でいられるように」と歌います。鰭はそんなふうに使われるのねと、安易な納得をしてしまうから情けないです。

 5年生の理科「メダカの誕生」で、雌雄の見分け方などを学びます。背びれや尻びれの形に違いがありますが、ほとんどの魚には背びれ・尻びれ・胸びれ・腹びれ・尾びれという5つの鰭がついています。どんな役割があるのでしょうか。「背びれ」は中心を保って体が横倒しにならないようにする役目があり、「尻びれ」と「胸びれ」には体の平衡を保ち、かつ前進・後退を促す機能があるのです。「腹びれ」は体を浮かせたり沈ませたりと上下運動に、「尾びれ」は水中を前進する推力となり最も大切な部分です。

 そんな中で、鰭の美しさをイメージしてみます。色よりも動きの優雅さが浮かびますが、テストでメダカの雌雄判別のひれの名称を「しびれ」と解答する子も。きっと尻びれと書きたかったのでしょう。それとも、しびれるほどの美しさが見られる方が雌(雄)なのかもしれません。