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校長室から

176 不易流行?温故知新?(3/6)

 小室用務員さんが『(復刻版)國民禮法』という本を貸してくれました。昭和16年に刊行されたものの復刻版ですが、戦前の「修身(現在の道徳)」の授業で用いられた小学生用教科書です。人々のたしなみ・礼法が、低学年の教科書の文字くらいの大きさで書かれています。普段から当たり前に言われていることも書かれていますし、戦前だからこそといった内容もありますが、不思議と新鮮な感覚で読めます。

  その中で、「傷痍(しょうい)軍人」という言葉を久しぶりに目にしました。戦争で手足を失ったり病気になったりした軍人を指しますが、子供のころ上野に行くと地下道や公園そばに包帯を脚に巻いてアコーディオンを弾いている人をよく見かけたものです。また、「ぜいたくは敵である」なんて言葉も、初等科第5学年「貯蓄報国」に登場します。この中からいくつかを紹介します。

■初等科第3学年 第9 お客様のお見送り 三  おかえりになると、すぐ戸をしめたり、笑ったりしてはならないこと。(カーディーラーの営業マンは、車が見えなくなるまでお辞儀をして見送ってくれます。)

■初等科第4学年 第3 神社の参拝  かしわ手は、落ちついて、よい音をたてるようにしましょう。それには、指をよくそろえ、手のひらを合わせたら、少しくぼめるようにして、右の手を少し手前にずらすとよいのです。(昔から年配の人は自然にやっていて、大きな音が響いていました。)

■初等科第5学年 第9 訪問 八  人の家を訪ねる時、外とう・えり巻等を着たままで案内をこい、上ってからぬぐ場合と、上る前にぬぐ場合とある。その時によって、どちらでもよいのである。(後者を正しいと思っていましたが、どちらでもよいのですか。)

■初等科第5学年 第13 物の受渡し 一  洋がさ・ステッキ等を渡す場合は、正面をさけて、柄が先方の右手に向かうようにし、先方が受けやすいように差出すがよい。(刃物の受渡しは、たとえ低学年でも身につけていたいことです。)

■初等科第6学年 第6 西洋料理の食卓作法 八  フォークは凹んだ方を下に向けて用いる。(今では当たり前ですが、戦前はナイフやフォークの使い方や置き方からスープのすくい方など20項目にわたって書かれています。初めてナイフとフォークで食事をした時を久しぶりに思い出しました。)

 到着を2列で並んで待っているところへホームへ滑り込む電車。乗客が下りたあと、なぜか後からきた人が我先に乗り込んで平然と座席に座ります。ムッとしながら、「公衆道徳」について記した箇所を読んで聞かせたくなりました。

 今日から卒業式の練習が始まります。儀式的行事の中で礼儀作法を学ぶ機会でもあります。

175 手がチンチンする(3/3)

 ここ数日の暖かさで花粉がたくさん飛んでいるのか、目がかゆい!

 2月、とある百貨店には展示販売されるお雛様がズラッと並んでいました。何年も前と比べて大きさの違いを実感します。非常にコンパクトになっていて、省スペース対応。昔のTVコマーシャルで「人形は顔が命」という文句がありましたが、お内裏様とお雛様の顔が昔ながらの顔立ちのものと可愛い系のものと様々であることに気づきます。好みが分かれるところです。

 さて、先週の吹奏楽部定期演奏会や学年児童が集まるような場面で体育館を使用する際に、寒い日は暖房が必須です。3台の開放型ストーブを点けても、足元はしんしんと冷えます。そんな場面では自然と足がストーブの前に向いてしまう私。手をこすりってストーブに翳したり脚をさすったり…。極寒の朝は、手袋をしていても指先が痛いといった感覚です。絵本『手ぶくろを買いに』(作:新美南吉)に登場する子ぎつねが「手がチンチンする」と言うシーンがありますが、濁点をつけて「ヂンヂン」といった感じ。こんな指先をすぐに温めてくれるストーブが恋しい!ちなみに、寒さによって指先の爪が痛むほど寒いことからから「爪痛い」という言葉を語源として「冷たい」になったという説があるようです。

 学校の灯油倉庫には、20ℓの赤いポリタンクが、給油ポンプと一緒にわんさかあり、2段重ねしないと収まりきらない時代がありました。児童が運べるように10ℓタンクもありました。でも、教室が遠いと大人でもしんどい。だから灯油配付日になると、廊下に点々と灯油のシミが見られたものです。

 昔の家庭用石油ストーブはファンヒーターではなく、真ん中の芯の部分に炎が見える反射型タイプ。着火用電池が入っていますが、マッチやライターで直接火をつけることも可能でした。ストーブの上にはやかんをのせれば加湿器代わりにもなりました。アルミホイルを置いて餅や干し芋を焼いて食べることもできました。つまり、単なる暖房器具ではなく1台何役もこなしていたのです。電気を使用しないので、停電しても安心。冬に被災するとどこの家も暖をとるための手段がほとんどゼロに等しくなる怖れがあるわけですから、備えも必要です。当然、学校の煙突型ストーブを知る人も少なくなっていきます。教室の上方にその面影を残す教室もありますし、屋上に上がれば排気用煙突となっていたところを目にすることができます。

 今日はひなまつり。2週間後の卒業式は、ストーブ設置の心配をすることのない暖かな陽気の中で門出を祝福したいというささやかな願いがあります。

174 長きにわたって(3/2)

 問題!「家庭の家電製品の中で、一番の長寿は何か答えなさい」

 我が家の場合は、トースターです。「00年製造」とシールが貼られていますから23歳。汚れはひどいですが、造りがシンプルなため壊れにくいのでしょうか。複雑な構造になればなるほど耐用年数は10年に満たないかもしれません。エアコン主流の中でも扇風機も活躍しますが、これも6年位を標準使用期間とする製品が多いようです。モーターなどからの発火事故が報告されますので、すべての電化製品について注意を怠らないようにしたいと思います。  市教委からタブレット使用中の発火に係る使用停止の連絡が2月下旬にきましたが、タブレット端末を活用した学習を予定していた学級・学年は、予定変更を余儀なくされています。

 さて、2月下旬に八幡南口町会の会合に出席しました。地域防犯パトロールを担当されている方々が集まっていらっしゃいました。平均年齢は私の年齢よりずっと上のようで、長年にわたって見守りを続けてくださっているようです。20年近く前に大和田小に4年間籍を置きましたが、その時もきっと力をお借りしていたと思うと感謝の気持ちでいっぱいです。 下校時の子供があいさつをしてくれたこと、振り向いたら手を振ってくれていたことを嬉しそうに話してくれます。逆に、下校時の解放感からか、道路の横断や広がって歩く姿などを見て危険を感じる場面もあるそうです。自転車の乗り方を含めて、親のマナーやルールも気になるとも言います。さらに、メンバーの高齢化が進んでいるので、時間のある時だけでも若い人に参加してほしいという希望も耳にしました。

 子供たちがいつどんな事件や事故に巻き込まれるか、あるいは思いもよらず加害者側に立ってしまうかわかりません。平田小に限らず、地域の宝である子供たちが今後も地域で活躍できるように、みんなで声をかけ見守っていただけると嬉しいです。ご協力よろしくお願いします。

173 験をかつぐ(3/1)

 いよいよ最終月に入りました。6年生の教室のあるカウントダウンカレンダーが「あと12日」になりました。来週からは卒業式練習が始まりますが、あっという間に卒業式当日を迎えそうです。現在は、新型コロナよりインフルエンザ罹患が心配されます。学級閉鎖などの心配をしなくて済むように、6年生以外も努めて手洗い・うがいを行ってほしいと思います。

  昨日そして今日と春の暖かさ。あぜ道を歩いたり空き地に目をやったりすると、オオイヌノフグリやホトケノザなどが花を咲かせています。植えっぱなしの球根植物の芽が大きくなっていますし、目線を上げれば紅や白の梅の花が咲き誇っています。三寒四温、春はもうすぐそこまで。よいことがありそうな予感がします。

 さて、写真の器を見て気づくことはないでしょうか。決して食べ残しを見せているわけではありません。そうです、平皿2枚に市川市のマークを見てとることができます。私の中では、椀を含めた3つの食器全部のマークが揃い、しかもそれが市川市マークだった場合は縁起がよいと験を担いでいるのです。この1年間で180食ほどいただきましたが、未だ揃ったことがありません。そして今回、2枚がそろって「リーチ」。ドキドキしながら煮物の椀の具をよけてみると、果たして中からは、「梨の坊や」が顔を出しました。残念!

 我が家でも似たようなことがあります。線香を二つ折りにして仏壇に捧げるのですが、折った長さがほぼ揃うと「よっしゃー!」という気分になるのです。この単純さは、自分の良いところだと勝手な解釈をしていますが、験かつぎや運勢を気にしてしまうことってないでしょうか。3月は、これまでよりもっとよい月となりますように!

172 中華まん(2/28)

 今日で2月が終わります。日曜日に市内のハーブガーデンに立ち寄った後、学校に本を運んできました。『ダレン・シャン』11冊と『Lord Loss』7冊。ともに、ダレン・シャン作で、娘が夢中になって読んだシリーズ作品です。高学年なら楽しめるはず。ただ、『銭天堂』が5冊も返ってきていない状況では、貸出簿作成を考えざるを得ません。信用貸し出しを続けたいのだけどなぁ。

 さて、寒さの中を立ち上がる湯気には何か趣があります。湯気で思い出したのが、中華まん!いきなりですが、「肉まん」と「あんまん」、どちらが好きですか?私は専ら肉まん派。3千人弱にアンケートをとった結果を見ると、76%が肉まんです。理由には、「肉と生地のコンビネーション」「肉がジューシー」「ごはん代わりになる」など。ある休みの日の昼食、簡単に済ませるために肉まんが1個だけ食卓に乗るときがあります。カレーまん、ピザまん、角煮まんなどコンビニでも買えますが、思い出すのは高校の部活帰り。厳しい寒さに見舞われる冬、小腹を満たすためにあったかい中華まんかたい焼きのいずれかを選択!だから、立ち上る湯気を見るたびにノスタルジックな気分に浸ります。

 中華まんの起源は、三国志の時代の中国といわれ、日本への伝来は14世紀。『肉食が一般的でなかったため羊肉の代わりに小豆が使われ、あんまんじゅうとなった。肉まんが広まるのは(略)明治以降のことだという。』(朝日新聞Be2/11より引用)とあります。中華まんにハフハフ言いながら、めったに行くことのない中華街を歩いてみたくなりました。

 中華まんの肉汁やあんまんのこし餡で舌をやけどするときがあります。同じように肉汁でやけどしたのが、ケンタッキーフライドチキンを初めて食べた高校生の時。よく知らないでかぶりついた時に口の中に広がった熱々のあぶら。店内なので口から出そうにも出せない状況。果たして何日も上顎の皮と舌先が痛かったのです。でもそれ以降、あれほど熱いチキンに巡りあったことがありません。初めての印象は、後々まで消えないようです。だから、子供にとっての初めての出会いを、学習でも生活でも上手に演出したいと思います。