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校長室から

266 あなたの心はどこにある?(9/12)

 「♪ぼくのせんせいは~(フィーバー)」で始まる『熱中時代』。水谷豊さん扮する先生が、体当たりで挑む学園ドラマでした。小学校教師を主人公にしたドラマを見たことがなかったので、毎週楽しみに視聴した高校時代。当時の最高視聴率が46%以上というから人気の高さがうかがえます。もしかすると、私が学校の先生を選んだのはこのドラマの影響があったのかもしれないと、今更ながらに思います。70歳を過ぎても『相棒シリーズ』などで活躍する水谷さんですが、『太陽にほえろ』第1回では犯人役でした。そして『傷だらけの天使』では、「兄貴ぃー」と萩原健一さんに呼びかける独特のセリフが人気でした。

 昨年11~12月に、現役中高生千七百人強に尋ねた「なりたい職業や興味ある業界」で、男女ともに「教師・教員・大学教授」が第1位だったといいます。興味ある業界でも「教育」が1位、2位の最上位にランクイン。ブラック扱いされ、志願者が減っている教員ですが、子供たちの前に毎日立つ私たちが、何よりも働きがいややりがいを大事にしている姿を見せていかなければならないと思ったのです。

 7月の終わりに、全国を飛び回って法話をしている薬師寺・大谷徹奘 師の講演を聞く機会がありました。奈良・薬師寺は墓を持たず葬儀も行わない寺だそうですが、話の巧みさに引き込まれ、あっという間の時間でした。その中で、“幸せとは身近な人と笑いながらご飯を食べることなのです” “最近は多様性という言葉が言われますが、相手を大切に思って話をすることこそ多様性ではないでしょうか” “自分の在り様をよく観て自分と対話する、自分の命をどう使うか”など印象的な言葉がいくつもありました。和尚のように頭を丸めて参加した講演会でしたが、人の話を聞けなくなったり謙虚さをなくしていたりしてはいないか、子供たちの前に初めて立った時の気持ちを忘れてはいないかなど、この歳にして改めて見つめ直す機会をもらった気がしたのです。

265 スポーツの秋(23.9.11)

 「バレー男子日本代表が46年ぶりに世界大会で表彰台」というニュースが夏休みに入ってすぐの新聞に掲載されました。世界のトップ16チームによるバレーボール最強国決定戦、ネーションズリーグ男子大会のことです。

 小学生のときに熱狂したバレーボール。『サインはV』や『アタックNo.1』がそのきっかけでした。そして、1972年のミュンヘンオリンピックに向けて取り組むチームを描いたドキュメントアニメ『ミュンヘンへの道』でさらに夢中になり、五輪の優勝により中学校ではバレー部に入ろうかと本気で思った私。松平監督のもと、セッター猫田のトス回しや大古の強烈なスパイクにわくわくし、ネットよりはるか高い位置でブロックを決めてガッツポーズしていた夢の中の自分を思い出します。川合俊一選手や中垣内祐一選手らよりずっと前の時代。最近では、『ハイキュー!!』が面白かったです。『2.43清陰高校男子バレー部』という漫画もあるらしいので、さわりだけでも読んでみたい。

 さて、教員なったころは教職員の親睦行事としてバレーボール大会が毎年行われていました。中学校の体育館を会場に学校対抗戦です。特別時程を組んで、午後から行われていました。頑張りすぎてアキレス腱を痛め、翌日には松葉杖をついているなんていうこともよく耳にしました。学生時代にバレーボール部に所属していた先生がスパイクを打つときは、まるで空中で止まってコートの空いているところを探してるように見えたものです。自分ではそこそこにできるつもりでいても、そんな先生には敵うはずもありません。

 秋には教職員陸上大会もありました。二人三脚や砲丸投げ、パン喰い走など分担してエントリーしましたが、若いからと出された100m走は、思う以上に辛いものがありました。子供たちの陸上大会に向けて指導はしましたが、自分が走るとなると100mって長い!遠い!50mから先にあると足がもつれる!これまた、早く走れるつもりでいたのにそんな妄想は木っ端みじん。他人の背中が遠くなって追いつかないわけです。

 決して時間に余裕があったわけではありませんが、こうした交流が今はないのがさみしい気がするとともに、古き良き時代として懐かしく思い出されます。

264 なぜ二才?(23.9.8)

 夏が終わりに近づくと、ビール缶が秋色の装いに身を包み、菓子のパッケージには栗や芋のイラストが多くみられるようになります。そして9月を境に、よく行くスーパーからアイス「白くまくん」が姿を消しました。残念!

 さて、校長室の入り口そばに、子供たちが見られるようにクイズを掲示して頻繁に更新するようにしています。時々見てくれて、ドアをノックして解答を言ってくれる子もいます。新学期に備えて、夏休みに入る直前に新しい問題に交換しました。すると夏休み中のある日、用務員さんが問題の中にある言葉に触れながら、「今の子供たちは『青二才』なんて言う言葉を知っているのでしょうか」と疑問を投げかけてきました。確かに使う場面はほとんどありません。時折、漫画やSNSで見かける程度でしょうか。経験不足の若者を表す慣用句ですが、そもそもどうして「二才」なのか不思議です。ですから、もう少し掘り下げてみることにしました。

 すると、「年が若く、経験が不足している物事に未熟な男性のこと」を指すそうです。そうした男性を生意気だと見下す意味のほか、謙遜したり叱咤激励したりする場面で用いられることもあります。でも男性を指す言葉だと知り、言葉が生まれた頃の時代背景を考えてしまいます。「青」が似たような意味で使われる言葉には「青春」や「青臭い」などがあります。一方、「二才」というのはなぜでしょう。ブリやスズキ、ボラなどの出世魚では、生まれて2年目の幼魚を、成長途中で経験が未熟な魚として「二才魚」「二才」と呼ぶことからくるという説ほかがあるようです。

 こうして改めて考えてみると、慣用句「一か八か」もなぜ「1」と「8」という組み合わせなのでしょう?語源は賭博にあり!また、うそを数多くつくことや全くのデタラメを「嘘八百」と言いますが、この「800」は数が極めて多いという意味で、「八百万の神」「八百八町」などでも使われています。ドラマ『ハヤブサ消防団』の舞台も八百万町という山間集落です。

 年はとっても、小さなことにもハテナを感じる心や頭をいつまでも大事にしたいと思います。青二才ならなおさらのこと…。

263 今ふりかえる(23.9.7)

 自己満足の典型ともいえる校長ブログを始めたのは前任校だった3年前の5月11日。始めたのは新型コロナによる休校の真っ只中。その後分散登校となっていきますが、制限だらけで保護者・地域が学校や学級、担任を見たり話したりする機会激減への苦肉の策でした。着任した校長がどんな顔でどんなことを考えているかを知る術がありません。だったら丸のままの自分をさらけ出して知ってもらおうと考えたのです。初年度は206回更新しました。翌年度は199回。そして、平田小では昨年度から今日まで263回を数えます。始めて2日目は、『めぐる縁2020/5/12』という表題で次のように綴っていました。

 私の初任校は中国分小学校です。36年前になります。当時5年生を担任し、サッカー部を担当しました。学級経営や学習指導は、今考えると最悪だったと思います。だから子供たちや保護者の方、教職員にたくさんの迷惑をかけてきました。ただ、その時は自分にその認識はありませんでしたから、たちが悪いといえます。そうした自分を包み込むようにみんなに育てていただいて今があります。

 そして、縁あってここに着任しました。着任後すぐにある男性が学校に訪ねてきてくれました。初任のころのほかのクラスの5年生でサッカー部だった子です。思いがけないことに嬉しくて嬉しくて…。

 また、先日の保護者連絡日には、中国分小サッカー部だった子の奥さまや当時担任した学年の子が素敵なお母さんとなって声をかけてくださいました。巡り巡る縁に感謝するとともに、背筋がピンと伸びる思いがします。

  話は変わりますが、2年生のH君が私の似顔絵を描いて担任に提出してくれた作品を預かりました。たった一人だとしても、投げたボールを返してくれたことに感激しました。直接伝えられませんが、ありがとう!校長室入口の掲示板に貼らせてもらっていますよ。

 

 子供たちが登校するようになったときに出会う様々な場面、笑顔を楽しみにして、今しばらく頑張っていきます。

 1年目は端的にまとめていたようですが、徐々に欲というか色気が出てきます。そうなることで、考えや思いの押し付けになっていないかどうか反省しながらも、「自分が楽しいと思えることが一番」だと割り切っています。子供たちにも、人に迷惑をかけたり不快にしたりしない範囲で、楽しいと思えることに力を傾けられるようあってほしいと願っています。

262 夏休みの目標は…(23.9.6)

 理科室のテーブルに並んだ夏休みの自由研究(科学論文や工作、標本)を一つ一つ見せてもらいました。スイカの大きさと種の数、一人分にした時の種の割合を調べた研究は根気がいります。だって種の数が千個を超えています。弟の断乳の観察記録もあります。お母さんにつきっきりで細かく見ていた跡が窺えますし、何より目のつけどころが面白い。大きな段ボールは、水の性質を利用して作ったクレーンゲームです。試したかったのですが壊したら大変ですからやめました。菓子袋を折りたたんで捨てる際の変形の仕方3種の実物もあります。1枚の方眼紙に貼り付けた脇に8月30日と日付が書かれ、クスリと笑みがこぼれます。標本も含め、楽しめました。

 さて、毎年夏休み前に自分の目標を公言するようにしています。「40日間で100km以上ランニングをする」と宣言した年もありましたが、お盆休み以外は出勤・出張ばかりで決して時間的な余裕はありません。しかも朝夕でも暑い、いや暑すぎるので走ることで倒れてしまっては元も子もありません。また、「ウクレレの上達」を目標にしたときは、一人で黙々と取り組むことに限界を感じてしまうとともに、「上達」ということ自体に具体性が乏しいため、達成できたのかどうか判断がつかないもどかしさがありました。「3回は、食事を自分で作って妻に食べてもらう」という目標もありました。

 今年は路線変更してインドア運動に!筋トレも以前挫折したことがあるので、「毎日30分、ストレッチに取り組む」としました。というのも、少し前に買ったストレッチの図解入り本を買って安心してしまったようで、実践していないことに反省したからです。仕事の日も基本定時退勤できそうですから、入浴前後の隙間時間に。果たして、そこそこにストレッチには取り組んだのですが、30分という縛りがいけません。さらに腰痛を理由に手を抜いて、終わってみれば全然できていなかったと言わざるを得ない結果。「30秒にしておけばよかった」と思う意志の弱さには、ほとほと情けなくなります。

 「今年の目標は達成できましたか?」と敢えて問わない職員の心遣いに感謝。いやいや、単に覚えていないだけ!と思ったら尋ねたくてウズウズしていた方もいたようです。