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校長室から

309 七五三(23.11.15)

 先週、大リーグの大谷翔平選手が、ジュニア用野球グローブを日本の全小学校に3個ずつ寄贈すると発表しました。「野球を通じて元気に楽しく過ごしてもらいたい」という想いを込めてのことだそうです。さあ、このグローブをどうしましょ?発表翌日には、「校長先生、私に頂戴!」と何人もの子におねだりされました。お披露目のあと、玄関のショーケースに大切に保管するという手もありますが、それでは大谷選手の想いをキャッチできません。全児童とキャッチボールでもしましょうか。左利き用も1個あるというからその配慮には恐れ入ります。使い方について何かよいアイディアがあったら教えてください。グローブが届くまでにまだ十分時間がありそうですから…。

 さて、今日は七五三。七五三といえば千歳飴。千歳飴といえば不二家。不二家といったらペコちゃん。ペコちゃんといったらミルキー。そのミルキーの「ミニ千歳飴」を、口さみしさに負けて舌の上に放り込みました。とても懐かしい味のような、ちょっと違うような?昔食べた棒状の千歳飴は、そのまま舐めているには長すぎますが、適当に折って兄弟で分けるには上手に等分できませんし、小さな欠片がパラパラと散ります。それを指先に唾をつけて兄弟で奪い合い。子供たちの健康と成長を祝う伝統行事における千歳飴には、健やかな成長への願いが込められています。ただ、千歳飴を手にする景色は廃れていく傾向はないでしょうか。不二家の店先で、ペコちゃんとポコちゃんが晴れ着姿にもかかわらず寂しがっているように見えてきます。

 家庭の休みに合わせて晴れ着姿の子供を見る日は様々です。天気にも左右されますから大変です。写真も前撮りができるようですから、必ずしも参拝の際に晴れ着とは限りません。おっ、そういえばうちの孫も3歳だけど男の子。孫娘は4歳なので既に終わっていました

 ちなみに、「七五三」を名字にする人もいます。「しめ」と読みます。神社などに見られる「しめ縄」を「注連縄」あるいは「七五三縄」と書くのです。

308 秋キャンプ(23.11.14)

 今日から1泊の予定で計画されていた修学旅行が、インフルエンザの蔓延により延期にせざるを得なくなりました。同時に、6年生は明日まで学年閉鎖に。年が改まる前も含めて期日の調整中です。

 ある日、学校の来客用玄関に1足の靴があります。来客でしょうか。脱いだままの向きですし、揃っているわけでもありません。でも子供用ではないようです。急いでいたのかもしれません。でも、不特定多数が出入りする場所ですから、誰であっても気づかいは必要だと思うのです。

 10月終わりのひらたっ子まつりでは、屋内外を出たり入ったりする子供の姿がありました。お目当てのコーナーにできるだけ早く行きたいと思うのは誰もが同じかもしれません。でも、昇降口の散らばった靴の数々を目にすると、やはり「きちんと揃えてほしいなぁ」と思うのです。日頃の行動がそのまま表れてしまいますから、今後恥ずかしい思いをすることがあるかもしれないと思うと心配です。そんなふうに心が揺れてしまうのは心が狭いからなのでしょうか?

 夏日が続いていたのに急に寒くなった休日を利用して、娘夫婦とキャンプに行ってきました。21世紀になって初めてですから20年ぶり以上。空気が冷たく感じられる晩秋、防寒対策は必須ですが、焚火の炎って身体だけでなく、視覚的にも暖かさを演出してくれるような気がします。炎を見つめているだけで楽しくて童心に戻れます。

 薪ストーブも魅力的です。家にあったら、その前を何時間も離れることなく居座れそうです。窓から見えるチロチロと揺らぐ炎がとにかくよい!また、それに手を翳すのが何とも言えない趣きと喜びがあるのです。石油ストーブにも通じる感覚です。現代の暖房はエアコンや床暖房主流ですが、屋外から帰ってストーブの前に直行するあの感じを忘れたくはありません。時々アウトドアコーナーに行くと、レトロ感たっぷりのだるま型石油ストーブが置いてあります。アラジン製の商品の値段を見てびっくり!曲線を帯びたデザインは素敵ですが、とてもでないけど手が出ません。にもかかわらず、娘たちのテントの前室に据えられていました。羨まし~。

 焚火の前を離れて小さなレンタルテントに入ったとき、きちんと履物を揃えました。だって夜中、真っ暗な中をトイレに行きたくなることだってありそうでしたから…。

307 長い時を経て(23.11.13)

 昨日今日と寒い。ついに暖房の登場とともに、アンダーウェアも暖かいタイプに切り替えのタイミングです。

 顔は判別できるのに名前が出てこない。俳優の名前は特に強く感じます。「ほらっ、あの番組に出ていた人!」といいながら肝心な番組名も出てこない。「三文字の苗字でさぁ…」なんて会話がなんて多いことか!一緒に働いていた先生の名前だって、すぐにど忘れしてしまいます。その時は出てこない名前が、何か別のことをしているときにふと思い出すのです。ただ、教員ってつくづく得な職業だと思います。だって、誰に対しても一応「先生」って呼べば、名前をド忘れしていたとしても会話がちゃんと続きますし、間違いがありませんから…。

 さて、阪神タイガースが38年ぶりの日本一と報道されているのは知っていましたが、先日の天声人語を読んで、前回の日本シリーズ制覇が自分の教員人生スタートの年なのだと改めてわかったのです。そして、JRがまだ国鉄と呼ばれていたころで、電電公社が民営化されてNTTに、日本専売公社がJTと名称変更して発足した年だといいます。また、日航ジャンボ機墜落や新幹線上野駅開業があり、「8時だヨ!全員集合」が終わったのです。確かにそうだった、かも?

 こう考えると、平田小創立からの70年間を振り返ると数多の出来事があるわけです。平田小の先輩、坂崎千春さんからもお祝いのイラストをいただきました。1階の「平田小のあゆみ」掲示板に飾ってあります。貴重な作品ですから、ぜひご覧ください。そして、学校の歴史と同じように年齢を重ねてきた人が身の回りにいることにも気づくべきです。過去に学び、人を敬い、自らを高めようとする子供たちであるための一歩となります。阪神タイガースの日本一だって、「ダメ虎」と呼ばれていた時代も含めて、長~い年月をかけてチームが円熟してきた証し。阪神ファンの皆さん、遅ればせながらおめでとうございます。

306 ご縁がありますように(23.11.10)

 少し前に『アルルカンと道化師』(池井戸潤 著)の文庫本を買いました。単行本で読んだような気がするのですが自信がありません。しかも、ビニルカバーがされていますからページを手繰って記憶を呼び覚ますこともできません。背面の作品紹介の短文を読んでも記憶はあやふやなまま。本屋に行くたびに買うかどうかを悩んだ末、購入に至ったという次第。にもかかわらず、少し読み始めたら聞き覚えのある名前と場面設定。んん?読んだことある!もったいないので、今読んでいる本を読み終えたら、改めて読み始めます。これも何かのご縁ですから…。

 さて、日本テレビ系列で12日(日)まで「カラダWEEK」というキャンペーンを開催しています。カラダを整え、キモチを整え、イキイキとしたウェルネスな毎日を過ごせるようなきっかけを発信しています。第八中学校ブロック4校で一昨日、児童生徒や教職員等の健康やけがの防止などを目的に合同研修会を行いました。講話を聴きながら実際に体を動かして理解を深めました。「姿勢の改善」が中心でしたが、骨盤を動かすことって難しい!こうして得た知識を子供たちあるいは家庭に広めていけたらと思いますが、まずはもう一度自分で確認しないと…。だって、もう体験したことの半分は忘れていますから!

 この研修のもう一つの目的は、同じブロック内の小中学校教職員の顔見知り計画!同じ学校内の狭い人間関係にとどまらずに、話したり一緒に体を動かしたりする時間を共有することで、今後も相談しあえる関係を広げることが大事だと思います。管理職や教務主任、事務職員などは頻繁に顔を合わせて情報交換していますが、学級担任にはなかなかその機会がありません。ましてや顔も名前も知らなければ、声すらかけられません。せっかくだから少しでもお近づきになれたら…縁を結べたら…、そう思うのです。

305 大人の秘密基地(23.11.9)

 富里に住む友達の家を久しぶりに訪問しました。以前父母の住まいだった隣接する土地に、息子夫婦の家を建てる準備がされていました。家の周囲が畑や林に囲まれ、遠くに落花生を収穫した後の「ぼっち」が点在するような田舎の風景の中にあります。行ったときは、ユンボで木の根っこを掘り返していましたが、作業着は似合っても元校長。とにかく所有する機具類が都市部と全然違いますし、買い物は車がなければ行けません。広大な敷地には大木が茂り、我が家の周辺では見られない様々な植物が当たり前にあります。何十年ぶりに自生したアケビを目にしました。高枝バサミでチョキチョキして、手のひらに熟したこぶし大のアケビを乗せます。白い中心部を指先でつまんで口の中に入れると、スイカの甘さにも似たねっとり感が広がります。種を地面にペッと吐き出しますが、スイカの種飛ばしどころではありません。だって種ばかりだからですから、実を食べるというより舌先で味わうといった方が正しいかも。

 この友達とは家族ぐるみのおつきあいが、子供が生まれたころから続いていますからすでに35年になるでしょうか。夏は、目の前に生えた真竹を切って節を抜いて何本もつなぎ合わせた手作りの流しそうめん。近くの田圃へ行って、ドジョウを捕まえたりクレソンを採ったり。子供たちもいろいろな材料を使って、裏の敷地に小屋(子供たちにとっては家)を作りましたし、その脇にテントを張って寝させてもらいました。大人にとっても子供にとっても秘密基地のような場所だったのです。だから、自然に恵まれたその地は、今も大人の遊び空間といえます。

 ただそれは、そこに住まう者でないから言えること。木を切らなければ繁茂し、雑草を抜いても抜いても減らない。今の時期は落ち葉もすごいらしいですから、一日くらい作業しても何も変わらないようです。旅行するには北海道は素敵な場所であっても、簡単に住めないと言われますが、それと同じかもしれません。だから、仕事を辞めたら週1~2回足を運んで、腰を痛めない程度に庭仕事や畑仕事に精を出そうと企んでいる私。その日の晩酌は格別だろうなぁ。