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校長室から
542 ねっこ(25.1.7)
12月下旬、北九州のファストフード店で中学生殺傷事件があり、その数日後には我が家に近いところで高齢夫婦刺殺と8棟の火事が起こりました。犯人は近くに住む人間だったり知人だったりと、他人事とは思えなくなります。
さて、年末まで放映されていたドラマ『海に眠るダイヤモンド』は興味深く、King Gnuの主題歌に涙誘われる最終話でした。1916年に日本初の鉄筋コンクリート造りの高層集合住宅が建設されたのが端島(軍艦島)でした。回を重ねると、およその入坑の仕方を知ることができますが、驚き以外の何物でもありません。まず、準備を終えた鉱員は、持ち物チェックを受けた後、ケージと呼ばれる壁もドアもないトロッコに乗ります。それは秒速8mというスピードで、スカイツリー1本分の高さを急降下して地下600mに到着します。そこからトロッコ列車(人車)のある場所まで4~500m移動して、斜度20度もある人車に後ろ向きで乗るのです。採炭現場の入口に着くと、8人くらいのグループでさらに移動したといわれます。海底1000mを超えた場所ですから、いかに過酷であったか想像はすれども理解など到底できるものではありません。
長崎市の端島は、10年前に世界文化遺産に登録された明治時代の遺産ともいえる構造物です。岩礁の周りを埋め立てて造られた人工島で、今年で閉山から半世紀が経ちました。遮るものなく風雨にさらされ、建物は倒壊の恐れに瀕しています。土台となる護岸にも穴が開いて浸食が進んでいるようで、現在、海面下では保全工事が進んでいるといいますが、こちらの作業も機械化が進んだとはいえ、気の遠くなる作業なのではないでしょうか。でも、一度は足を運んでみたい場所の一つです。
「♪誰も気づかない ありふれた一輪でいい … ただ黙々とねっこ伸ばして あなたに見つかるのを待つの」切なくなるメロディが耳に残ります。子供たちも私たち大人も、誰に見えなくても強く根を張って生きていきたいものです。
541 へび(25.1.6)
あけましておめでとうございます。今朝のニュースで、川に転落して亡くなった小1女児の悲報を聞きました。ほかにも事故や事件が多く報道された中、無事始業式を迎えられることは、文字どおり「有難い」ことなのだと感じ、うれしく思います。今年は巳年、干支は「乙巳(きのと・み)」です。
干支とは、甲乙丙…で始まる十干と十二支の組み合わせで60通りあり、その42番目が乙巳なのです。「ヘビ」というと、気持ち悪い、怖いなどの理由で嫌われ者ですが、脱皮を繰り返して成長する姿や生命力の強さから、「長寿」「復活」などを象徴する縁起のよい生き物とされることもあります。
さて、過去の巳年を遡ってみると、36年前(1989)は昭和64年であり平成スタートの年でもありました。学校職員が疎い、バブル経済の絶頂期ということもできます。24年前(2001)には、USJやTDSが開園しました。12年前(2013)は、「倍返し」や林修さんの「今でしょ!」が流行った年であり、東京オリンピックの開催が決定したことで沸き立ちました。
今回の巳年は、どんな嬉しいことや試練が待ち受けているのでしょう。「鬼が出るか蛇が出るか」はわかりませんが、「ヘビに睨まれたカエル」の如く委縮して何もできなかったり、「竜頭蛇尾」に終わってしまったりすることのないよう気を引き締めたいものです。「蛇足」「藪蛇」と言われようとも、「長蛇を逸す」と言われても、様々なアプローチやアクションはきっと無駄にはならないはず。「灰吹きから蛇が出る」のたとえの如く、ちょっとしたことを大事にしていけば「瓢箪から駒が出る」ことだってあるかもしれません。
今年度はあと3か月ですが、まずはそこまで、ご協力を引き続きお願いします。
540 転機(24.12.23)
カッコよくて素敵な大人になりたいとずっと思ってきました。寡黙で簡単に笑わないことがカッコイイと思っていた高校・大学時代。群れない一匹狼にあこがれました。そのモデルが、俳優の故 松田優作さん。埠頭を彼女と歩く場面、タバコをふかして、ただ前を歩くだけなのにカッコよさが背中からにじみ出るように感じられたのです。だから、写真を撮られても笑わない!を決めていました。
でもある時、「笑っていないと幸せが逃げちゃうよ」と言われて、努めて笑顔を作るようになると、自然と笑えるようになりました。笑顔でいることは、自分だけではなく目の前の相手のことも幸せにできるのではないかと思うまでなったのです。
また、私はどちらかというと真面目だけど融通の利かないタイプでした。子供の前でも大人の前でも、面白おかしく演じたり羽目を外したりすることが大の苦手。そんなある年の忘年会、幹事グループの一員になりました。場を盛り上げようと皆が考えた計画で、バニーガール姿をする羽目になったのです。女性用の衣装と網タイツ、口紅までつけました。「どうにでもなれ」といったやけくそ。でも、不思議とみんなが大喜びしているのです。何かをするなら、文句を言いながらやるより楽しく活動した方が気分はよいし、人は笑顔になることを学びました。人生の転機は三度と言われますが、こんな小さな経験でも人は変わっていけるような気がします。
新年を迎えるこの時期も転機(チャンス)と言えそうです。「今年こそ」「今年なら」「今年も」など、新たな気持ち・目標をもって一歩踏み出すことが大事。そのために、教頭先生が教職員に不祥事ゼロを改めて訴えました。冬休み間近の放課後、悩んだ結果の作品です。
「ひ」 必死に働いた9か月
「ら」 楽になれる日がやってきます
「た」 たらふくお酒を飲むかもしれませんが
「しょ」しょうがないで済む不祥事はありません
「う」 ウキウキしても、子供の顔は忘れずに!
まさか、「私の転機は不祥事でした」なんて笑いの種にもなりません。というわけで、よい年をお迎えください。
539 餃子(24.12.20)
母が元気で台所に立って家事をしていたころ、実家に帰るとき、「食べたいものはある?」とよく聞かれたもの。息子は、必ずと言ってよいほど揚げ餃子をリクエストしたのです。我が家では作らないメニューだったからかもしれません。父が好まなかったから、実家の餃子にニラはなし。でも、ニラの有無にかかわらず、上から添える手作りトマトピューレとマッチしていたのです。
子供たちが家にいた頃に皿にのる餃子は7~80個ありました。息子とは大人げない競争です。最後の1個をとった者が勝ち名乗りを上げるような戦い!残り少なくなった頃合いをみて、茶碗や別の器の陰に餃子を1個隠します。そして、素知らぬ顔で大皿の上の餃子に箸をのばします。互いに最後の1個を食したと思わせておいて、茶碗から隠してあった最後の1個を出して口に放り込んで高笑いするわけです。やっぱり大人げない!
2人になった今では、慌てることなくゆっくり食べられます。少し前から、時々餃子を包む作業を手伝うようになりました。すると、妻の手際の良さに舌を巻きます。なかなかきれいにヒダが作れません。揃っていないと焼くときに大変だそうです。ゆっくり確実に…、次第に慣れてきた頃には、肉の餡もなくなっているのです。餃子のヒダは、皮が熱で膨らんだ際に破れないようにするためらしいのですが、ある番組で検証したら、ヒダがなくても剥がれなかったといいます。
さて、いざ食べる段階、酢は多め。テーブルにはラー油は2種類。一つはS&Bの一般的なもので、もう一つは山椒独特の味のもの。私は専ら後者ですが、醤油・酢・ラー油の配合も人それぞれで面白いものです。
餃子にも焼き餃子・揚げ餃子・水餃子とありますが、いま無性にひさご亭の餃子を食べたい!
538 シルバニアファミリー(24.12.19)
寒い一日となりそうですが、あと2週間もしないうちに、「辰」から「巳」へバトンタッチ。それにしても、「巳」「已」「己」の見分けがつきにくいですし、3画目の縦棒をどこから始めるかで、音も意味も変わってしまうのですからたちが悪い!ついついどの字を使うか迷ってしまいます。ちなみに、「已(すでに・のみ)」を読める人ってどれだけいるのでしょう。
竜や蛇といった生き物ではなく、こちらはウサギやリスなどの可愛らしい動物たち。そして、その人形などが生活するドールハウスといえば「シルバニアファミリー」。子供向けの人形遊びのシリーズで、発売からかれこれ40年。今ではその人形は、累計110種類以上というから驚きです。主要ターゲットは10歳以下の子供ですが、大人が魅了され、嵌って趣味になる場合も多いと聞きます。
かく言う我が家も10年前までは、「赤い屋根の家」などが2~3個あって、人形や調度品もたくさんでした。子供たちのためというより、自分たちが楽しむために集めていたのです。だから、埃が被らないようにまめに掃除もしていたように思います。ただ、手放す時期を考えていたら、以前勤務していた学校の先生が、自分の子供のために欲しいと立候補。めでたく全員おうちとともに里親のもとへ引き取られていったのです。
夏に放映されたドラマ『西園寺さんは家事をしない』でも、主人公のキャリアウーマンが秘密の部屋にシルバニアのコレクションを飾っていました。自分だけの自由な時間を満喫する空間であり、癒される瞬間を目にして、たくさんの共感が集まったのではないかと勝手に想像するのです。人それぞれにきっと癒しの空間があるのかもしれません。小学生の頃の私は、机の下の狭い空間が大好きでした。