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校長室から

464 オリンピック精神(24.9.2)

 ある日、翌日の天気予報をスマホで確認すると、居住市の最高気温が40℃と表示されています。こんな数字を初めてです。そんな酷暑の夏休みは、様々なスポーツの熱い戦いに始まり、そしてパリオリンピックや甲子園大会の余韻、パラリンピック開幕の中終わったような気がします。特に、8月の声を聞くと駆け足に時間が過ぎていき、宿題はないものの気持ちが焦るのは大人も子供も関係ないようです。

 高校野球千葉県大会決勝は、タイブレークの延長10回の攻防にモヤモヤを残した試合でした。五輪開幕前に行われたサッカー予選は3連勝。続く準々決勝のオフサイド判定には様々な意見が飛び交いました。それでも木村選手は大活躍。日本最初の金メダルは、柔道48キロ級の角田夏実選手。八千代市出身なのでLineのグループメールでは大いに盛り上がりました。一方、2連覇を果たした阿部一二三選手を、将棋の加藤一二三棋士の愛称「ひふみん」と呼ぶ者がそばにいるから紛らわしい!

 さて、岸本佐知子さんの著した『ねにもつタイプ』という本に、「裏五輪」と題したエッセイがあります。いきなりオリンピックが嫌いだで始まります。朝から晩までオリンピックばかりになることやメダルの獲得数に固執することを理由に挙げ、そもそもスポーツが嫌いだと言うのです。例えば、レスリング競技を“互いの体の臭い部分を無理やり嗅がせあった”のが起源に違いないとする発想には笑いがこぼれます。

 オリンピックが始まる前のメダル獲得への期待と結果のギャップは、報道の取り上げ方に顕著に表れます。メダルを取った選手はヒーロー・ヒロインとなってTV画面に連日映し出されます。マイナーな競技にもスポットが当たります。逆に結果が伴わないと、「芸能人格付けランキング」よろしく、映す価値がないかのように存在自体亡き者にされがちです。胴上げしておいて手を放したようなもので、失礼な感じ。ぜひとも、メダルにこだわりすぎた番組構成はやめにしてほしいと思います。

 だから、冒頭の岸本さんが提唱するメダルも金・銀・銅はやめにして、一位どんぐり、二位煮干し、三位セミの脱け殻とかにする意見に大賛成!そうすれば、勝ち負けにこだわること自体馬鹿げて思えて、「参加することに意義がある」というむか~しのオリンピック精神に立ち戻れるのでは…。

 さて、2学期スタートの今日は予想に反してよい天気。子供たちの胸にどんぐりや煮干し、セミの脱け殻を見つけようと思います。

463 夏の終わりに(24.8.30)

 お盆明けの夜、急に雷鳴がとどろいたかと思うと大粒の雨が降り出しました。雨戸を叩く音でわかります。暗い廊下の窓越しに見える閃光は、まさしくホーンテッドマンションです!半世紀前は、雷が落ちるとよく停電しました。だから長めのロウソクは家庭の必需品でした。今は、お寺ですら電気でチラチラ動く偽ロウソクを使っているほどですから、ロウソクやマッチがない家庭ばかりかも。だから災害に備えて、ドラッグストアのロウソクセットは売り切れでした。

 児童文学作家の矢玉四郎さんが80歳で亡くなりました。『はれときどきぶた』など、著書を手に取ったことがあるかもしれません。図書室にあった4冊を拝借して校長室前に展示してみました。懐かしくて、1冊読んでみました。“ぼくは、畠山則安。三年三組。あだ名は、十円やす”というお決まりの文句から始まります。新学期は、何かと配付物が多くあるので、職員室前に取りにくる子がたくさんいます。横目で見るだけでもよいので気づいてくれたらうれしいです。手に取って読んでくれたらもっとうれしい!

 もう1冊は、『こころってなんだろう』(細川貂々 著)です。心はいつどうやって生まれるのか、どうして揺れ動くのか、そうした葛藤に対する気づきが大人にも子供にもきっとあるはずです。

 来週からの新学期に合わせるかのようにゆっくりと近づく台風。その影響がとても心配です。最新の情報を収集しながら、新たなスタートにも余念なく…。そして、それぞれの心の動きにも敏感でありたいと思います。

462 感動(24.8.28)

 台風10号が自転車並みの遅さで近づいています。先週後半、鴨川市の棚田で稲刈りをする家族集団がいくつも見られました。その一つである大山千枚田は、黄金色に染まってとてもきれい。途中、小湊鉄道の踏切を何度か渡りましたが、教科書にあった『加代の四季』の「春は線路からやってくる」という一節を思い出しました。線路や枕木の周りに鬱蒼と草が生い茂る様は、ジブリアニメの世界ようでちょっと感動でした。

 時同じくして、高校野球甲子園大会の決勝戦が行われました。決勝史上初の延長タイブレークの末、京都国際高校が初優勝。校歌斉唱の時に、準優勝校・関東第一のアルプススタンドから手拍子が送られ、相手へのリスペクトが感じられました。実はこの手拍子、大社高校の大応援団が、準決勝の勝者・神村学園に送ったことが始まり。その後、関東第一に敗れた神村学園にのバトンとなり、決勝後の関東第一へと受け継がれていったのです。まさに青春!様々な思いが凝縮された一場面に感動です。いくつになっても、純粋さを失わないでいたいと思います。

 今大会は、韓国語の校歌や決勝戦のタイブレークに様々な意見が聞かれましたが、次のような素敵な提案もあり、これには大賛成!「甲子園では、負けたチームを讃えて校歌斉唱をする」というもの。こうすれば全校の校歌が甲子園に流れます。決勝では、両校の校歌が歌われれば全校歌の制覇です。よいアイディアだと思ったのですが、きれい事だと切り捨てられてしまうでしょうか。

 スポーツでも音楽でもなんでも、真剣に取り組む姿に感動して鳥肌が立つこと、時に涙がこぼれることがあります。平田っ子のそんな姿がたくさん見られる秋冬でありたいと願っています。

461 嫌~な虫(24.8.26)

 スズメバチや蚊、カメムシ、カミキリムシ、コガネムシなど、夏場の嫌な虫は数々ありますが、これ以上のものはないというのが水虫!しかも季節は関係なく寄生されるからタチが悪い。そんな水虫に、現在も悩んでいる大人や子供は少なくないはずです。

 何を隠そう、私も小学生のころから20年近くお付き合いしました。足にできて痒くなる場合もあれば、爪が侵されたり皮膚がボロボロと剥けたりするのです。終いには、左手にまで感染して病院通いでした。新京成線に乗り換えて行った病院もあれば、成田山へ向かう道を歩いて通った病院もあります。澱のような感情を引きずる足取りは重く、一人寂しく電車を乗り継いで通院していました。

 何より人前で靴下を脱ぐのが一番嫌でした。小学校の水泳や中学校の剣道部は裸足です。高校の体育授業のレスリングでは、マットに四つん這いになって後ろから攻める態勢から始まるので、どうやって足裏を隠そうかとそっちにばかり気が奪われてしまうわけです。

 どんなにこまめに薬を塗ろうが何をしようが治らなかったのに、今の家のそばの皮膚科に通ったら完治です。飲み薬も服用しましたが、どうしてこんな変化が?ただ、心のつかえがとれたというか、気分が晴れたというか、裸足になることも厭わなくなりました。しっかり治療すれば治せる病気であることを感じました。今まさに悩んでいる子(人)がいたら、安心させてあげたい!大丈夫!

 日本皮膚科医会の調査では、皮膚科を受診した患者の16.6%が潜在罹患者だといいます。また、水虫にならないための留意点も上げています。バスマットなどを介して感染が広がりますが、感染成功まで1~2日かかるため、寝る前にタオルで足をぬぐうだけでも予防になるそうです。そういえば、コロナ前に通っていたジムの風呂に入っていたことがおそらく原因で、水虫をうつされたことを思い出しました。もうあんな肩身の狭い思いはまっぴらごめんです。

 いよいよ夏休み最後の一週間!晴れ晴れとした気持ちで9月を迎えるためにどうする?

460 まどろむ(24.8.19)

 テレビで管楽器の五重奏を横目で見ながら、画面に目が吸い込まれます。だって楽譜がタブレットなのです。時代を感じたワンシーンでした。

 さて、熱中症警戒アラートが連日発令される昨今は、暑すぎて屋外に出られず、必然的にウクレレの練習に割く時間が長くなります。毎日続けることで、上達を感じられるからうれしいものです。7月のとある日に、弦を張り替えるために教室のある楽器店に行きました。顔馴染みの店員さんが、「9月にサークルの発表会をショッピングセンターの広場で行うのですが、レッスンしている曲を発表してみませんか」とお誘いの言葉をいただきました。楽器店としてみれば、宣伝効果を期待してのことでしょうが、スマホに録音して聴いてみるとたどたどしくて人様に聴かせられるレベルではありません。ましてや、「間違えたらどうしよう」という緊張感は半端ではないはず。夜遅く奏でる音で妻がまどろむ程度の演奏が精一杯です。日頃から子供にも職員にも、「失敗して学ぶことがたくさんあるからチャレンジを!」と呼びかけている自分は、頑なに守りに徹していて情けない。

 「まどろむ」といえば、午後の会議などに講演などあろうものなら、睡魔との闘いにどう備えるかを考えてしまいます。運悪く最前列だったり講師から見えやすかったりすると、舟を漕がないよう、気絶しないように必死になった経験が一度はあるものです。

 ベッドに横になった途端に寝ていたなんていうこともきっとあるはず。寝つきがよいと思われがちですが、どうもそうではないようです。人間の大脳は大きいため、寝つくまでにおよそ10分程度かかるのが正常な睡眠リズムだといいます。だから、まどろむこともなくあっという間に寝ていたという状態は「気絶」なのだと聞いたことがあります。当然、良質の睡眠とは言えません。二度寝してしまうような場合や目覚めたともぼんやりしてしまう感覚が伴うときも、体が早寝を求めているサインと考えるとよさそうです。

 8月後半も、まだまだエアコンと扇風機を一晩中動かして眠りにつくような寝苦しい日が多そうです。夏休み残り3分の1が始まった今日を、お盆休みが明けた今日を、どう過ごしますか?