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校長室から

435 日本語って難しい(24.6.17)

 今日はプール開きの予定です。きれいな水がぬるまっているとよいのですが…。

 発行前の学級だより原稿が回ってきます。チェックしながら、普段自分が使っている言葉が正しかったのかどうか疑問に…。ご飯を器に盛ることを、私は「よそう」と言うのですが、「よそる」と書かれています。朱で訂正しながらも自信が揺らぎます。

 調べると、あるアンケート結果では「よそう」を使用する人が59%、「よそる」が13%とあります。また、別のデータには、東京や千葉、関西では「よそう」、それ以外の関東で「よそる」、東北以北では「盛る」、中国・四国以南で「つぐ」と、呼び方に地域性があるとされています。

 納得いかず、広辞苑の登場です。結論から言うと、「装(よそ)う」が正しく、「支度をする」「身なりを整える」ということから、「飲食物を整え、用意する」転じて「飲食物を救って器に盛る」と変化した千年以上の歴史のある言葉とされます。他方の「装る」は、「よそう」と「もる」との混交した語と注釈がつき、比較的新しい言い方らしいのです。そうは言っても、百年以上の歴史があるので誤用とはいえません。

 ほかにも、日本語の難しさを感じる場面は多々あります。覚えられずその都度調べ直すのが、「編成」と「編制」の使い分け。また、「制作」と「製作」。混同しがちなのは、「おざなり」と「なおざり」。そして、家族からよく注意されるのが、「とんでもございません」と言ってしまったとき。自分では丁寧あるいはへりくだって言ったつもりが、誤用(文化審議会の指針では、現在では問題ないと考えられている)と指摘されるわけです。それは、「とんでも+ない」ではなく、「とんでもない」で一つの形容詞だから。つまり、「とんでもないことです」と言えば済むこと。では「とんでもないことでございます」と言ったら、より丁寧なの?否!あなたからの褒めや賞賛はとんでもないことだ、という意味にも受け取られるおそれがあるというから厄介です。では、正しいのはどっち?

 【第1問】①汚名を返上する、②汚名を挽回する

 【第2問】①二の舞を演ずる、②二の舞を踏む

 ともに①で、「名誉挽回」「二の足を踏む」と勘違いしてしまいそうな言葉です。こうして文章を綴る中にもきっと、思い込みや間違いがたくさんあるのかもしれません。

434 想像力をもって(24.6.14)

 「風が吹けば桶屋が儲かる」は、一見何の関係もないようなところから思いもかけない部分に影響が出ることを表す慣用句です。風が吹けば砂埃が立って目に入って失明する人が増える。盲人が増えると、三味線で生計を立てるのでその需要が増える。三味線を作るためには、胴を張る猫の皮が必要なので猫が乱獲される。これによって猫が減る。その分、ネズミが増えて桶をかじるので桶が使い物にならなくなる。必然的に桶屋が儲かって喜ぶという図式です。

 蝶の羽ばたきが、やがて竜巻に変わるといったように、ほんの些細な出来事でもやがて大きな変化につながるかもしれないといった予測困難を表す「バタフライエフェクト」と言葉もあります。「風が吹けば…」に、想像力を広げていく点においては似ていますが、ちょっとニュアンスが違うようです。つまり、「桶屋」には、当てにならないことに期待するという意味でも使われることがあるからです。

 買い物をするたびに、ため息が出そうになるほどの物価高が続いています。こうした状況にも、因果関係が想像できる新聞記事がありました。「戦争が起こるとケーキに手を出せなくなる」というものです。ロシアのウクライナ侵攻により穀物が品薄になるとともに、原油価格の高騰が起こりました。輸入飼料が高騰し輸送コストも上昇することで、乳牛向けの餌代が高くなります。すると、ケーキの材料の生乳などの原材料をはじめ包材、電気代、人件費すべてが値上がりしてケーキ代に反映されるというもの。洋菓子店に千円近いケーキがズラッと並ぶとなれば、財布の紐がかたくなるのは必然。

一昨日、『国境なき医師団』事務局の方の話を聞く機会がありましたが、上述も含めて、身の回りや社会の様々な事象・現象に想像力を持つことの大切さを改めて認識しました。紛争や飢餓による他者の苦難に無関心にならないこと。世界で起きていることが自分とどう関係するのかを想像してみること。ややもすると他人事で片づけてしまいがちですが、できることの第一歩は「知ること」「関心をもつこと」なのだと思うのです。新聞やニュースを見ないといった家もありますが、情報ソースはどこに?

433 千葉県(24.6.13)

 4年生が社会科で、千葉県の特色ある地域や特産品を学びます。県特産の「房州びわ」について、調べてまとめる児童もいます。先日、皇室献上品とする選果式の様子が報道されました。学校のびわもよい色に色づいてきています。先日、たまたま立ち寄った「道の駅いちかわ」の農産物販売所に、びわが袋に入って売られていました。でも、明らかに自宅の木から収穫したと思われるもの。果肉より種の割合が多いのではないかと思う、シャインマスカット大の実に目がテン。庭先に置いて「ご自由に持ち帰りを」でもよいのではと勝手なことを思います。

 さて、平田小出身の坂崎千春さんデザインの「チーバくん」が誕生したのは2007年のこと。2010年に開催される「ゆめ半島千葉国体」のマスコットキャラクターとして生まれました。説明には次のようにあります。“千葉県に住む不思議な生き物。好奇心旺盛で、いろいろなことに挑戦するのが大好き。未知のものに立ち向かうときほど勇気と情熱がわき、体が赤く輝く。横から見ると千葉県の形をしている”と。(作者HPより抜粋)

 お披露目となった2010年「ゆめ半島千葉国体」で、市川市はハンドボールの会場となり、多くの選手と観客が集まりました。当時行政勤務でしたので、大会期間中は国体スタッフとして連日、国府台スポーツセンターで働いていました。その中で様々な人と知り合いになれたのは大きな収穫。補助の方と一緒に歩くチーバくんも眼前に見ることができました。本当は、着ぐるみの中に入りたかった!

 先日、新聞(スポーツ面)を開くと、ハンドボール日本リーグの結果が写真とともに紹介されていました。宙を舞うようなシュートの写真が2コマもあります。映像で見ると、豪快だったりトリッキーだったりするプレーは際立ち、思わず「格好いい」と心の中で呟いてしまうくらいです。本校にも、市内の某有名校でハンドボールをやっていた先生がいるのです。能ある鷹は…。かたや爪も尻も隠せない私。

432 声優(24.6.12)

 先々週観た『ちびまる子ちゃん』のワンシーン。家族みんながこたつに入って鍋を囲んでいます。サザエさんは季節感があるのに…と違和感を覚えたのです。

 ところで、『パーマン』のパー子、『天才バカボン』のバカボンのママ、『一休さん』の伊予の局、『キューティーハニー』の如月ハニー、『ルパン三世』の峰不二子の共通点といったら何でしょう?逆に、「それって誰?」と問い返されそうで怖い!どれも古いアニメですから、知らない人のほうが多いかもしれません。共通するのは、声優の増山江威子さん。5月に亡くなっていたと報じられました。少し前にはまる子ちゃんのTARAKOさん、もっと前にはタラちゃんを演じた貴家堂子さんが亡くなっています。ルパン三世の場合、山田康雄さんが主人公の声を担当し、その物まねをしていた栗田貫一さんが山田さん亡き跡を継ぐなどしています。どのアニメも世代交代を繰り返しながら続いていきます。

 この声優という職業は、声を使って演技をする仕事といえます。代表的なのは、アニメや洋画の吹き替えが挙げられますが、最近ではゲームやアプリのキャラクターも演じるほか、活躍の場がたくさんあるようです。日本昔ばなしを子供とよく見ていた私は、常田富士男(ときたふじお)さんや市原悦子さんの独特の語りを真似して、本を片手に「むかし~あるところに~おったぁ」と子供に読み聞かせしたことが思い出されます。

 アニメを見る機会は相応にありますが、登場人物が見た目のわりに意外と若いといったキャラは結構いるようです。明るく朗らかなサザエさんが24歳であることは広く知られていますが、波平さんはああ見えて54歳。マスオさんの同僚の穴子さんに至っては27歳。バカボンのパパ41歳、まる子ちゃんの父・ひろし40歳で、のび太の父・のび助36歳といった感じです。驚いたのがルパン三世に登場する銭形警部。実は29歳だといいます。ちなみに、こち亀の両津勘吉は35歳だそうです。こうしたことを知って視聴すると、また違った面白さがあるというか、つっこみもしやすいかもしれません。

 一方で、小学生の目から見た他人の年齢ほどあてにならないものはありません。私の歳だって、40代前半から70代後半と幅広く言ってくれます。だから、目撃した不審者等の年齢を小学生(特に低学年)に尋ねるのは、危険だと思うのです。

431 進化(24.6.11)

 ひらた山裏のヤマモモが、今年も甘酸っぱい実をつける時季になりました。

 3週に一度は通う図書館の隣に広い公園があって、桜のころは芝生広場にたくさんの家族が集まります。たまたま寄った時に、大道芸を披露している若者がいました。見ている者はパラパラといった状態。丸い筒に置いた板の上に立って、バランスを取りながらジャグリングなどをするのです。ハラハラさせるパフォーマンスと巧みな話術に引き込まれるように足が自然とそちらへ近づき、しっかり見入ってしまいました。最後は、お決まりのハットが登場して投げ銭ですが、夢の世界にいるような幸せな気持ちで折り畳めるお金を…。その彼が、柏の駅前デッキをステージに大道芸をやっていたと家族から写真付きの目撃情報が届いたのはつい先日のこと。頑張っているようです。

 41年前に、多くの人に幸せと夢を届けるためにオープンしたのが東京ディズニーランド。2001年には、日本にしかないディズニーシーが誕生して、冒険と体験のスペシャルな時間を提供してきました。そして6月6日、新エリア「ファンタジースプリングス」という心ときめくファンタジーの始まりが、新聞見開き+1面の広告で宣言されました。進化はまだまだ続くようです。ただ私は、自然豊かで広大な公園でお弁当を食べたり散歩をしたりしてのんびり過ごしたい派!

 さて、たまたま観ていた番組で流れたCMの映像が気になりました。旧車から未来の自動車への進化、黒電話や公衆電話からスマホへの変遷、VRや二足歩行ロボットに至るまで、半導体の進化について伝えています。小さくて脚のついたブラウン管テレビの時代に生まれ、それがカラー化され、現在の大型かつ薄型テレビがどの家庭にもある時代にいま私は生きています。ビデオデッキがテレビ台の下に設置されていた時代から内臓、外付けを経て、多チャンネル化、動画配信サービスの充実など、レンタルしなくても見放題となりました。大画面でおうちシアターです。こんな進化の裏でデッキなどの機器に積もる埃は厚くなっていきますが、あと何年もすると3年生で学習する「昔のくらし」で扱われる貴重な品になるわけです。