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校長室から
508 かわらけ(24.11.7)
6年生の歴史学習の導入で、市川市考古博物館学芸員さんにお願いして、今年も出前授業をしていただいたことは以前紹介しました。コロナ前は、貝塚の学習を兼ねて縄文土器を使ってアサリ汁を食べたこともあります。この縄文式土器が、人の生活の変化とともに弥生式土器へと変わっていくことも学びます。恒例の漢字クイズをしていたら、読めない漢字がありました。「土器」です。「どき」ではなく、4文字のふりがながある設定になっています。「かわらけ」と読むそうです。平安末期から江戸時代にかけて製作・使用された素焼きの土器のことで、主に椀や皿などを指します。
そういえば、茨城県稲敷市に大杉神社という場所があります。「悪縁切り」で有名で、一度行きました。心の中でまじないを唱え、土器(かわらけ)を御神石に向かって投げて叩き割ることで、悪い縁を断ち切るという神事です。でも何度投げても割れず、4~5回拾って戻っては繰り返す妻をゲラゲラと笑ってみていたのを思い出します。
今年最後の三連休最終日は、8割くらい体調が戻ったので、晴天に誘われるように茨城県笠間市へ車を走らせました。目的は秋の陶器市を見て回ること。これまでは益子ばかりでしたので、違った雰囲気を味わうために今回は笠間に。もう一つの目的はモンブラン。栗で有名な町なので、土産に買って帰ろうと考えたのです。でも、残念なことに持ち帰り用モンブランを見つけられず、かといってその場で食すために長蛇の列に並ぶのもはばかられ、焼き栗を一袋買っただけで…。
焼き物の産地は全国各地にあり、色鮮やかなものから素朴な色合いのものまで様々ですが、土の色や粒子感が感じられ、素焼きに近い飾らない陶器が私は好きです。立冬の今朝、買ったばかりのコーヒーカップのお披露目です。
507 子ども目線(24.11.6)
10年務めた幼稚園からこども園に異動して5年目の娘は、保育士としてベテランの域に入ろうとしています。今見ている年長のクラスでは、将棋が流行っているらしいのです。オセロでは負けない娘も、将棋になると勝手が違うようで、どの駒がどこへ動けるのか何度やってもさっぱりわからないと言います。ましてや裏返って赤い字が現れるとなおさらだとか。藤井聡太名人に触発された子もいるかもしれない中、適当に指してごまかそうとして子供に怒られる始末。本気でやっているかどうか肌で感じるようで、お見通しといった感じ?まるで、私と息子のカードゲーム対戦のようです。
さて、4歳と5歳の孫の姉弟を半日預かりました。近所の公園で追いかけっこや遊具遊びをしたあと、ドングリや松ぼっくり拾いに興じました。「小さい穴が開いていると、虫が入っているから拾わないようにしようね」と言うと、1つ1つ確認しながら「これはオッケー」と呟きながら小さな掌におさめます。そんな活動が延々と続きます。1時間も経ったでしょうか。遊び疲れて家に戻る途中、3歳前後の女の子が手を振りながら追いかけてきます。それを見て、「かわいいね」と言うのです。我々から見ると、「どっちもどっち」「ドングリの背比べ」なのに、小さな子には小さな子なりの世界観ととらえ方があるのだと新たな発見でした。
小学校で生活する子は6歳から12歳までいます。「まだ1年生だから」「もう6年生だから」と勝手に決めつけてコントロールしようとしたり、大人目線で物事を見て判断したりしがちですが、常に子供の目線に立って、正面から見つめること、信じることを忘れないようにしたいと思ったのです。
506 雨戸(24.11.5)
「しゃっくりを1秒で止める方法」という文字をSNSに発見。興味津々で読むと、“肛門を刺激します。指を肛門に入れて直腸をマッサージすると、迷走神経が刺激されて止まります。マジで効きます”と図解付きです。しゃっくりが何日も止まらずに困る人もいるようですから、試してみる価値はあるのでしょうが、私はノーサンキュー!
話は変わりますが、今は無き実家は平屋で、玄関以外に人が侵入できる場所が5か所もありました。闇バイトによる強盗事件が多発する現在なら、おちおち寛いでいられない造りです。当然、夜になると雨戸を閉めました。現在のようなシャッターではありません。戸袋(コブクロではありません)という何枚も雨戸が収まっているところに手を入れ、1枚ずつ引き出してはレールの上を滑らせて戸締りをします。最後の1枚にはカンヌキのようなものが設えられていて、木のレールに掘られた溝にそれを落とす仕組みです。8枚を閉める場所が1つ、4枚建てつけられている箇所が2つ、2枚建てつけが1つ。レールの滑りが悪くなったり、建付けが悪くなっていたりするとなかなか閉められません。温度や湿度などによる、雨戸のその日の機嫌にも左右されますから、結構重労働だったのです。
最近の新しい家は、電動シャッターが取り付けられています。音が静かで、力いらず。防犯性も高く、開け閉めの際に虫が侵入する心配もないといった利点ばかりです。我が家も交換したいなぁと思いつつ、「高価だし、まだまだ使える」と踏みとどまっています。ご近所には、夜でもシャッターを全く降ろさない家もあれば、昼間でもシャッターをほとんど開けていることを見ない家もあって、どちらも勝手な心配をしています。
505 ズルい(24.11.1)
一昨日から週末を含めて6連休となり、「いいなぁ」「ズルいなぁ」と声が聞こえてきそうです。大人子供関係なく、「○○でズルいよな~」なんて思うことがあります。羨ましいの裏返しで使うこともありますが、一般的に「ズルい」は自分を有利にするために、ごまかしたりだましたり、はたまた汚い手段を使ったりする様をいう言葉です。「こすい(狡い)」という言葉を昭和人は使いますが、悪賢いとかケチといった意味合いがあります。さらに、「あざとい」(浅はかでこざかしい・抜け目なく貪欲・あくどいの意)が使われることもあります。いずれにしても、相手を批判的にみる言葉であることに違いはありません。
でも近年は、「あざと可愛い」とか「可愛くてズルい」というような使われ方を耳にします。決して相手を非難するわけではなく、「不公平だよなぁ」「いいなぁ」という思いを持ちながら相手を褒めているわけです。
さて、今年も日テレの「カラダウィーク」が来週3日から始まります。これに関連して、情報番組内で「カラダ年齢チェック」をやっていました。バランスを取りながら、靴下を両足何秒で脱いで履けるかを計測するものです。HPに紹介されていますのでトライしてみては?用意するのは靴下だけ!
①両足に靴下を履き、気をつけの状態でスタンバイ。
②スタートの合図で、左足で片足立ち。右足の靴下を脱ぎ、靴下と両手で床にタッチ。再び右足の靴下を履く。
③今度は右足で片足立ち。左足と同じように、脱いで床タッチしてまた履く。
④両足立ちになり、気をつけの姿勢に戻って時間を計測する。
自分のかかった時間を選んで、診断をクリックすると、「30代後半」「50代前半」のように診断され、さらにおすすめの運動を動画で教えてくれるというもの。
毎朝の靴下を履く動作で、バランスを崩してケンケンしてしまうこともあります。そうならないように、ベッドのへりにもたれてフラフラしないようにしていますが、これこそズルい!
504 顔(24.10.31)
今週は自宅療養を医師から命じられ、髭も剃らないまま顔だけ洗って朝食です。何事もなき平和な一日であることを、ベッドの上から願っています。
やっと秋らしくなりました。昨日は体調が悪くて、病院まで暖房をつけて車を走らせました。それでもエアコンなしで車に乗れるようになったので、燃費が格段によくなりました。ある日、踏切でアイドリングストップが作動。上り下りの電車が交互にやってきても止まったまま。でも、さすがに耐えきれなくなったようで、急にエンジンが始動しました。すると助手席から、「ねぇ、地震!電車が行ったのにまだ揺れている」という声。エンジンがかかった振動を地震だと勘違いしたようです。平和です!(少し前も書いたような気が…?)
さて、そんな車のフロントマスクには表情があります。VWのある車種は、カールおじさんに見えますし、カエルや昆虫ほか、癒し系、怒り顔などに見えてしまいます。人間の心理現象の一つだともいわれ、「顔のパレイドリア現象」と呼ぶようです。車全体の印象に直結しますから、デザイナーの腕の見せどころでもありそうです。
ちなみに、踏切ですれ違った白のテスラ・モデル3。EVなので正面の外気導入のグリルがありません。それが私には、映画『犬神家の一族』の顔面に包帯を巻いた佐清(スケキヨ)さんに見えてしまうのです。そういう目で見て、もしよろしければ「あっ、スケキヨさんだ」と声にしてみてください。 最後に、白門に立って登校する児童を見守る朝の顔といったら、昨年度一度引退された千葉さん。今年度復帰して元気な声を響かせていらっしゃいましたが、寄る年波には勝てないとのことで、今日をもって勇退されます。全校には昨日放送で紹介しました。ありがとうございました。お元気で!
503 ちびくろ・さんぼ(24.10.30)
妻が先週末に具合が悪かったので、夕飯づくりです。一人でできるメニューは限定されるので、それ以外になると指導者を侍らせなければなりません。作ったのはマカロニグラタン!人生初で、ホワイトソースまで頑張りました。ただ、ナビの指示どおりに目的地に行くと道を覚えないのと同様、指示に従っているだけだと次に作れるかどうか…。でもスマホアプリという強い味方もいますから。
風邪がうつったみたいで、昨日から発熱。インフルじゃないといいけど。「おおきなかぶ」をもじるなら、私は妻からうつされて、妻は孫からうつされて、孫は幼稚園でうつされて…。ウントコショ・ドッコイショ、じじぃは元気ありません。
さて、マルチルームに集まって、仕分けされている図書の中に『ちびくろ・さんぼ』を見つけました。日本では昔、教科書にまで採用されるほど世界でも人気の絵本でした。しかしある時、黒人差別を助長するという理由で絶版となりました。日本でも1988年から復刻されるまで十数年を要したという歴史があります。
先の見つけた本に『ちびくろ・さんぼ2』があるではないですか。初めてみました。〈さんぼ〉に二人の弟〈うーふ〉と〈むーふ〉が生まれます。でも、サルに高いヤシの木の上にさらわれます。そこへ大きなワシがやってきて助けてくれたのです。ワシへのお礼に、なんと羊のあしを2本あげたというからリアルでビックリです。一方、さんぼの家では羊肉をあげてしまったので、ホットケーキをいっぱい作ったという、1巻とつながるような展開でした。校長室前に2冊とも置きましたので、ぜひ手に取って読んでほしいものです。
学校で読み聞かせをしたら、子供たちは肌の色に反応を示すのかなぁ。多様性が叫ばれる時代に…。
502 本格的な秋へ(24.10.29)
暑かったり寒かったりが繰り返されるので、半袖の服やパジャマをまだ仕舞えずにいます。逆に、タンスやクローゼットの衣替えのタイミングがなかなかつかめません。先週もスーツの上着を着るか否かで迷う毎朝でした。さすがにクールビズがあと3日で終了して、ネクタイ生活に移行です。
それでも朝晩はだいぶ冷えてきたので、鍋物がそろそろ解禁です。水炊き・寄せ鍋・もつ鍋・ちゃんこ鍋・おでん・しゃぶしゃぶなど様々です。鍋に投入する食材も多岐にわたりますが、白菜や豆腐は多くに使われる王道的存在。我が家も先日は、チゲ鍋風のおかずが器に盛られました。美味しかったのですが、食べ終わってから歯間に詰まったニラとエノキに閉口です。さらに、サツマイモご飯にかけた黒ゴマまで飛び入り参加です。歳をとるにしたがってスポットが拡大しているのか、とても気になります。したがって、歯磨きも入念に行うようになりました。
先週のことです。「今日、“ミンオー”やるよ。録画予約しておいた」「本を読んだっけ?」と尋ねられました。それって、もしかして“タミオウ(民王)”のことですか?正しいことを何度伝えても、ミンオー沼から抜け出せないようです。
池井戸潤さんの作品といえば、半沢直樹シリーズや『下町ロケット』などが有名ですが、本屋でまだ平積みされている『俺たちの箱根駅伝』も気になっています。上下巻あるので、買わずに公共図書館に並ぶのを心待ちにしている最中です。
ところで、箱根駅伝といえば、今月中旬に予選会が行われました。本選出場に1秒差で涙をのんだ東農大ほか、ドラマがたくさんあったはず。43校参加の上位は常連校ばかりが名を連ねますが、下へたどると母校の名前を発見。「えっ」という声にならない声が漏れます。
いつかゆったりできる時間がとれたら、箱根駅伝を沿道で応援して、温泉に入って、その後に食べる郷土料理や鍋物なんて魅力的だなぁ。
501 デジタル時代に(24.10.28)
リビングにはWi-Fiが入るのに、すぐ脇のダイニングや和室だと4Gの表示になってしまう不思議。学校の場合、タブレット導入の初期には同じ教室で全員が同時に使うとつながりにくくなるので、部屋を分けて使用することもありましたが、今は隣の教室で皆が使っていても問題がないようです。でも、校長室も含めてWi-Fi環境の整っていない部屋は数ヵ所あるのが現状です。あと10年もすれば、学校もスマートキーを使用し、音声認識・顔認証などで様々なものを動かせる時代になるのかもしれません。
ファミレスなどでは、タブレットでの注文が一般的になっています。場所によっては、ロボットが配膳をして、店員は案内や会計、片付けに限定されそうです。教室でもタブレットに触れる機会が、昨年度以上に増えたように思います。2年生でもローマ字入力を素早くこなしているではありませんか。ローマ字の学習は3年生ですが、必要がなくなりそうです。ただ、タブレット端末に向き合う時間は、静かでコミュニケーションがなくなります。そんな中で、授業とは無関係な画像や動画を見ている子もいて、近づくと慌てるなんてことも…。
さて、教科書を含めたデジタル教材先進国のスウェーデンでは、脱デジタルへの舵切りを始めたようです。紙媒体の教科書を使い、ノートなどに書く活動を増やすことで、集中力や考える力が伸びたことを実感しているといいます。現在では、端末を効果的な場面に限定しており、子供からも好評を得ているそうです。日本は10年以上後ろを追いかけている感じですが、ICT活用が目的ではありませんから、ツールとしての最大限の効果と深い学びのために、アナログとデジタルが両輪で機能するようにしたいものです。
500 ひねるとジャー(24.10.25)
世界には約二百の国や地域が存在しますが、安全に水道水が飲める国の割合は10%前後と言われています。つまり、ほとんどの国では安全に飲むことができないということです。言い換えると、蛇口をひねれば流れ出る日本の水道水の品質・安全性は極めて高く、世界でも稀であると言えそうです。
一般的に、水道水を飲まない人が多いと指摘されることがあります。ミネラルウォーターを飲み慣れているからなのか、「おいしくない」「ぬるい」ということを理由にするようですが、果たしてそうなのでしょうか。笑い話のような投書があります。“家族はペットボトルの水を飲む。水道水とは味が違うらしい。でも家族は気づいていない。ペットボトルのミネラルウォーターが少なくなったら、私が水道水を補充していることを”とあります。まさに知らぬが仏です。
こんな声もあります。“風呂・洗濯・洗車・プールetc、使った後の汚れた水を再生する大変さを考えている人がどのくらいいるだろうか”“自分では水を作れない。貴重で大切なものだと周知させ、意識改革するべきだと思う”など。(朝日新聞 beより引用)
さて、4年生の社会科「くらしと水」では、私たちの健康な暮らしを支える貴重な水がどのように確保され、各家庭に提供されるのかなどを追究していきながら、生活の仕方を今一度見直します。学習後に誰もが、水を大切にしようとか節水の必要性などを記します。でも、それをどれだけ実践できているのかは甚だ疑問ですし、そういう私も例外ではありません。
499 自慢できること(24.10.24)
業間や昼休みに校長室にやってきて雑談に興じる子がいます。ある日、急に尋ねられました。「さて、僕の好きなペットボトルのお茶、ベスト5は何でしょう?」と。「伊右衛門」「お~いお茶」「綾鷹」「爽健美茶」など思い浮かぶものを口にしますが、なかなか正解にはたどり着けず降参!すると、「生茶」「烏龍茶」「十六茶」「綾鷹ほうじ茶」…と、商品名を順位とともに教えてくれました。私にはどれも同じなのに、ペットボトル茶の味にこだわりがあるようで、敏感な舌(味覚)を持ち合わせているみたいです。ちなみに私は、血糖値の上昇を抑える「伊右衛門」の緑茶スティックを欠かさず飲んでいます。
さて、バラエティ番組のインタビューだったでしょうか。大学生風の若者が住んでいる町の自慢をする企画です。ある若者は柏在住で、柏市は北西部の頂点だと言います。その理由が周りの街にあるみたいで、「終わっている町・松戸」「本当に田舎の我孫子」「何もない鎌ケ谷」「子育てしかしていない流山」とコケにした後に、「柏は、茨城県民曰く“ちばの渋谷”!」と言うから笑えます。
では、平田小の子供たちはどんな市川自慢をするでしょうか。「梨しかない市川」なんて言わせない魅力をみつけてほしいと思います。市川ユネスコ協会が主催する「わたしの町のたからもの」絵画コンクールに、数名の児童が応募しました。残念ながら原画を見ていないのですが、学習等をきっかけに自慢できる宝物を増やしていきたいと思います。2年生の町探検もその一つ。意義性があったり、知れば知るほど好きになったりすることもあるのではないでしょうか。
自分自身の魅力だって、気づきにくいだけ。だから、誰かがそっと光の下に出してあげることも必要かもしれません。ペットボトル茶の味が判別できることだって、尊敬に値します。