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校長室から

105 “ゆかり”と“ひろし”(11/9)

 昨日、修学旅行から帰りました。秋晴れの清々しい天気で、東照宮周辺の燃えるような紅葉は見事でした。一方、奥日光は裸になった木々。家康ゆかりの東照宮には、時期的なこともあって学校数は少なめで、集合し写真を余裕で撮れました。また、日本広しといえども、華厳の滝・龍頭の滝・湯滝という三名瀑を一気に見られるのは日光だけかもしれません。子供たちは、家で何を話したのか気になります。

 さて、先日、広島菜を使ったふりかけがキッチンに置いてあるのを見かけました。黄緑色のパッケージに「青菜ごはん用」と書かれ、「ひろし」という名称です。「広島だから?」と思っていると、もう一つの紫色のパッケージのふりかけが並びます。「しそごはん用」と書かれていますが、ご存じの「ゆかり」です。そうなんです、「ゆかり」と「ひろし」といった男女ペアにしたかったようです。なかなか粋な命名です。

 休日の朝、鏡をじっと見ていると、瞼の周辺にシミを発見!これもむかし日焼けを、頑張った「勲章」だと思っていた「代償」です。だって腕にも背中にもあちこちに…。そして、ひろしは数え唄を口ずさみます。

  ♪一つ 人よりシミがある   二つ ふたつもシミがある  すると、ゆかりも一緒になって歌いだします。

  ♪三つ 三日月シミがある   四つ 横にもシミがある  

  ♪五つ いつでもシミがある  六つ 向こうにシミがある

  ♪七つ 斜めにシミがある   八つ やっぱりシミがある

  ♪九つ ここにもシミがある  十で とうとうしみったれ

 我が家のしみったれ「ひろし」と「ゆかり」は、まるで打ち合わせでもしたかのように寸分違わず歌えるのでした。めでたし、めでたし。

104 新品を身に着けて(11/4)

 明後日6日は「アパート記念日」。1910(明治43)年、上野に初の木造アパートが完成した日といいます。5階建て70室の賃貸で、洗面所と浴槽、電話は共同だったそうです。私が結婚してすぐに暮らし始めたのも菅野周辺の2階建てのアパートでした。

 最近、4年生のグリーンスクールと2年生の千葉市動物公園に引率しました。ありのみコースでは、いつの間にかシーソー型回転遊具担当のおじさんになっていました。でも、「楽しかったぁ」という一言がやけに嬉しくて…。一方、動物公園では何人もの子供たちが動物科学館の中を案内してくれるなどいっぱい話ができました。

 さて、週明けの月曜日から一泊で日光修学旅行に行きます。教員になってから何度目の日光修学旅行でしょう。20回は下らないことは確かなのですが…。東照宮の見学ポイントあるいはいろは坂・中禅寺湖周辺で聞くバスガイドさんの案内、華厳の滝や龍頭の滝の視点など尋ねられれば答えてあげられそうです。奥日光は10月下旬に初雪が降ったと聞きました。きっと宿周辺の朝は氷点下だと思いますが、週間予報を確認すると、去年のような豪雨に見舞われることはなさそうです。

 修学旅行をはじめ、宿泊があるときは下着を新調してくれます。もし風呂に入るときなどに古びた下着を身に着けていると恥ずかしい思いをするだろうからという配慮。脱臼癖のある私は、何年も前のある夏の朝ベッドから起きようとして左肩脱臼!救急車を呼んで病院で治療してもらいましたが、家に帰る段になって首の伸びたヨレヨレのTシャツ姿であることに気づきます。恥ずかしくて電車に乗れる恰好ではないので、義父に車で迎えに来てもらったとことを思い出します。

 宿泊学習につきものなのが忘れ物。名前のないタオルや下着、片方だけの靴下…。名前があっても自分のものだと気づかない子がいるのは今も昔も変わらないような…。 というわけで、来週2日間はブログ休載。その代わり、「学校・児童の様子」には、できるだけリアルタイムで写真を掲載する予定です。そうそう、これまでの校外学習でも、子供たちの様子を写真付きで掲載していましたが、ご覧いただいていますぅ?

103 キャッシュレス(11/2)

 金融教育を推進するある研究会が、中学3年生を対象にした「キャッシュレス決済を利用しているかどうか」を調査した結果が公表されていました。その利用率は約62%に驚かされます。交通系の電子マネー(PASMO・SUICAなど)は5割弱、ペイペイやラインペイなどで20%以上です。スマホ決済が1割弱いますし、クレジットカードを利用する生徒も4.4%と決して少なくありません。

 確かに、「現金を持ち歩かなくてよい」「支払いがすぐ完了する」「おつりがなくてよい」などメリットはあります。一方で、自分の支払い能力を超える買い物ができてしまう怖さがあります。修学旅行などへ行ってお土産を買う際に、品物の値段をたし算して手持ちの金額を考えながら折り合いをつけるのもよい経験です。ブレーキのないキャッシュレスだったら百害以外の何物でもないようにも思います。

 キャッシュレス全盛になると、PASMOなどを持っていないときに電車に乗るために現金で切符一枚買うのも大変になってしまいますし、買い物の支払いでお札ばかり出して、財布が小銭だらけになるなんてことも考えられそうです。ただ、ペイペイの支払い方法だって様々なため、躊躇してしまう人は少なくないと思うのです。

 紙幣に目をやると、肖像が時代とともにかわります。千円札の場合、聖徳太子や伊藤博文が今は使われていないのはわかりますが、現在出回っているのは野口英世?夏目漱石?色合いが似ているので、新旧の見分けがすぐにつきません。2年後には北里柴三郎になりますから、ますますわからなくなりそうです。

 そういえば、私は中学生の頃から数年間、古銭集めに熱中しました。今も大事にとってありますが、「昭和○年の○円玉は製造枚数が少ないので貴重だ」と知ると、財布の中の硬貨を広げました。十円玉も「縁にギザギザがあるものは玉数が少ない」と言われ、「ギザ十」集めをしました。穴がない五円玉、逆に穴のある五十円玉なども含め、ストックブックに保管したのです。これからを買い取ってくれる店もありますが、二束三文というか百円はやはり百円程度なのだろうと期待はしていません。

 キャッシュレスではこんな楽しみ方も薄れてしまいます。

102 乱れてる?(11/1)

 ワイシャツの襟元にはネクタイが締められます。今日から11月。気持ちも引き締まります。最近、穏やかな天候が続いていましたが、朝の挨拶&見守りのために通学路に立つことがなかなかできていません。寒くなって横着しているわけではなく、出勤後から何故かせわしないのです。また、校外学習があれば引率したり見送ったり…。今日も2年生の校外学習に同行させてもらいます。

 さて、24日の朝日新聞に、文化庁の21年度国語世論調査に関する記事がありました。「姑息(こそく)」の意味を「卑怯な」と回答した人が約74%、「割愛(かつあい)」を「不必要なものを切り捨てる」と回答した人が65%だったといいます。ともに本来の意味とは違い、前者は「一時しのぎ」で後者は「惜しいと思うものを手放す」という意味が正しいそうです。知らずに使っていました。  20年度は「がぜん」や「破天荒」、「すべからく」が調査問題でした。その前年は「手をこまねく」「敷居が高い」「浮足立つ」が調査対象となっていました。このほかにも、「気になる言葉」なども取り上げられます。 そういえば先日、ドラマである場所の映像を見て、「あっ、タワーレコードだ」と言ったら、「やめてよ。お願いだからタワレコって言って!」と家族に頼まれました。「いやいや、なんでも縮めるのはよそうよ」と思いながらも自分勝手な簡略言葉を発して皆に馬鹿にされそうな気がします。 ところで、タレント&歌手のDAIGOさんがある言葉をアルファベットで表現することがあります。例えば「平田っ子まつり」なら「HTM」のように…。あれを即興でできるならすごい能力だと思っています。

 それでは、ITK! 行ってきま~す!

101 秋の実Part2(10/31)

 今頃の時期になるとオレンジ色から赤色に変化して、熟した果実をつるからぶら下げるカラスウリを山野で見かけます。木の実は有名ですが、日が暮れると開花して朝には閉じてしまうという一夜花が見たくて裏庭で育てましたが、蕾すらできません。当然実をつけることはなく、毎年肩を落とします。

 そこで、秘密の場所から蔓ごと採ってきて、庭木の枝にぶら下げるとオレンジ色が映えて格好の飾りになるのです。長いこと庭のアクセントになり、薄茶色になった頃には種が採れます。この種がまた特徴的です。その形状が大黒様のお腹のようで縁起がよいとか、打ち出の小槌のようだからという理由で財布に入れておく人がいるそうです。金運アップのアイテムとして…。ちなみに、赤く完熟したカラスウリの実はシロップやハチミツ漬けにして食べられるらしいです。

 また、秋の実で思い出すのがヨウシュヤマゴボウ。きっと一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。ブドウを小さくしたような濃い紫色の実をたくさん房につけます。花瓶に生けるだけでも絵になりますし、熟したこの実を潰して水に溶かせば赤ワイン色になって、色水遊びをしたり絵を描くためのインクにしたり…。低学年の生活科でも活躍する場面が見られます。

 先週、4年生は大町方面へ出かけて自然と触れ合いました。もしかすると、数珠玉やひっつき虫のオナモミ、カラスウリなど、秋の実をあちこちで見ることができました。ありのみコースにはどんぐりがいっぱい落ちていました。普段、「どんぐり」と一括りにしてしまいますが、いろいろな種類があります。一般的に細長いのがマテバシイかコナラ、小さかったらシラカシ、太っちょな奴はクヌギです。マテバシイならどんぐり笛が作れますし、クヌギはどっしりとしたどんぐり独楽に最適です。そういえば先日、1年生は独楽を作っていました。オナモミ・ダーツなんてものも楽しそう。

100 ねんどの神さま(10/28)

 昨日、5年生の「夢の教室」(児童の様子ブログ参照)で来校した元サッカー選手の波戸康広さんは、現役を退いて10年以上が経ちますが相変わらず格好いい!短い時間でしたが、温かで包容力を感じる人柄でした。

 さて、読書週間に向けて「先生方のおすすめの本」の紹介用紙をもらっています。何にしようか考えて、好きな絵本というかお話を紹介しようと思いました。残念ながら図書室には置いていないというので、別の本にかえますが、ちょっとだけ知っておいてほしいと思って、あらすじを記そうと思います。「ずっこけ三人組」シリーズで有名な那須正幹さんが書き、黒を基調とした絵も重々しい雰囲気を醸しています。

 

 “太平洋戦争が終わって、ちょうど一年がすぎた9月のことだった。”という文で始まります。主人公の健一は、戦争を起こす人間をこらしめるねんど細工の神さまを学校で作ります。健一の親はみんな戦争で亡くなって、戦争を憎んでいるからです。校長先生は、“この作品は、子どもの戦争に対する素直な憎しみが表現されている。”と言ってひどく気に入り、校長室に飾ったのです。何年かして学校は廃校。ねんどの神さまも倉庫に長い間忘れられたままでいました。

 それから40年以上が経ち、健一の作ったねんどの神さまが、身長100mを超えるような巨大な怪物になって突然山村に現れます。自衛隊や様々な兵器で攻撃されますが、びくともしないどころか、どんどん東京へ近づきます。そして、怪物はあるビルの一室に目的の人物を見つけます。それは、兵器会社の社長になっていた健一だったのです。

 殺されることを覚悟した健一に怪物は、“ぼくは、ケンちゃんのつくった神さまなんだよ。ぼくにケンちゃんを殺せるわけないじゃないか。ぼくはね、ケンちゃんに教えてもらいたくって、やってきたんだよ。ねえ、ケンちゃん。もう、ぼくは、いなくなったほうがいいのかなあ。ケンちゃんは、昔みたいに戦争がきらいじゃないみたいだからね。”と尋ねます。これに対して、“わたしは、子どものころとかわりないよ。(中略)わたしの事業は、平和のための事業なんだよ。”と健一は返します。

 最後は、自分の意志で小さなねんど細工に戻った神さまを健一が破壊します。そして、“これで、いい。この数十年、心のすみにひっかかっていたトゲのようなものが、きれいになくなってしまった。”と言い、晴れ晴れした気持ちになるというストーリーなのです。

 切なさの中に、何かもどかしさを含んだラストシーンです。ただ、日本だっていつ戦争が起こっても不思議ではないことを示唆する作品にも思えるのです。大人も考えさせられますし、読み聞かせもありだと思うのです。ぜひ!

099 秋の実Part1

 プラタナスは、葉が大きな落葉樹であるため、夏は木陰をつくり、冬は陽を遮りません。また、虫がつきにくいなどの特徴もあって街路樹に適すようで街中でよく見られるとともに、平田小の校庭にもあります。でも、大きな葉は枯れて落ちてもそのままなのでかさばるのです。風が吹くと、そのままの大きさで道路や近隣住居に侵入して迷惑をかけます。ですから、これからの季節の掃除は大変。前任の市川小のシンボルツリーがこのプラタナスでした。プラタナスの葉が落ち始める季節から銀杏の落葉が終わるまでの期間、美化委員会の児童が毎朝校庭の掃き掃除をしているのではないかと思います。

 

 このプラタナスは、スズカケ(鈴懸)と別名があるように、硬くてイガイガで真ん丸の実をつけます。長い柄が付いているので、軽く振り回して相手の頭のポコって殴るなんていたずらもしたなぁ。痛いのなんのって…。

 学校の敷地内を見て回ると、発見がたくさんあります。プールの脇には、キウイが小さいながらも数個なっています。4年生の昇降口そばにはザクロ。体育館奥には柿が熟してきたみたいです。そこで、一つ採って検食してみましたので報告します。

 まずキウイ。包丁で切るだけで硬いことはわかりますが、フォークがなかなか刺さらないほど。小粒であるからなのか、もいだばかりだからなのかは不明ですが、青臭くてダメ!もう1個あるので、机上で熟成させてみます。

 次にザクロ。少し前に用務員さんが収穫して事務室前に展示してくれました。小さな粒々を口に入れるとおいしいではありませんか。今年は雹害で落ちてしまったものもあり、現在は手の届かないところにあと1個。

 最後に柿。こちらは渋柿ではないと聞いていましたが、干し柿にするという職員もいるので真偽が定かではありません。一人貧乏くじを引くのは嫌なので、二人に声をかけ合図とともに同時に歯を立ててみると…。うん、食べられる!キウイ同様もう少し置いておくともっと甘くなるかもしれません。

 敷地の外にもムラサキシキブや数珠玉が自生しています。安全にも気を付けながらいろいろなものに気づく目も大事にしてほしいと思います。ところで、プラタナスって食用部分はないのかなぁ?

098 値上げ(10/26)

  庭の照明は、時刻をセットしておけば自動で点いて自動で消えてくれるのですが、少し前にいじったら点かなくなってしまいました。だから直すまでは帰宅時に手動で点灯させます。玄関を開けると、「点灯虫、おかえり」と奥から声が聞こえる毎日。

 さて、今年は食品等の値上げが何度も行われるような渦の中です。スーパーの棚に並ぶアルコール類を見て感じていましたが、先日は自分事として実感した2例がこちら。1つめは、紀文の3個入り肉まんのパックを見たとき。寒くなると恋しくなる食べ物の一つです。高校生の頃、冬の部活帰り。駅前で仲間と食べた肉まんやカレーまん、ピザまんの美味しかった記憶がどうも美化されているようです。これまでは、スーパーの広告の品として298円で売り出されていたこの肉まんが、先日セール品で358円でした。恥ずかしながらこの60円に…。そしてもう1つが、カンロ飴。数種類あって口が寂しくなった時の友達ですが、パッケージが少し変わって登場したので期待して口に放り込むと、一回り小さい!「わかるの?」と思うかもしれませんが、それを感じられるほど食べていますから…。

 また、サラミ味・ソース味・カレー味の3種類で43年前に誕生した「うまい棒」は当初からずっと10円で販売されてきました。子供たちの小遣いで選ぶ楽しさを感じてもらえるように1本10円という価格にこだわり続けてきましたが、残念ながら春から2円値上げされています。こんなふうに、「やむを得ず」が身の回りにはいっぱいです。11月は、牛乳やヨーグルトまで波が押し寄せてきます。

 電気代も同様です。家庭で節電をしているでしょうが、学校はどうでしょう。市内全校の電気料金は市の負担ですから、値上げに伴う支出増は他の予算削減という形で跳ね返ってこないとも限りません。明るい日の廊下や階段、誰もいない教室などこまめに消灯する習慣が、職員・子供を問わず必要だと思います。そんなわけで、「点灯虫」ではなく「消灯虫」として校内を回ってきます。

097 土曜日の午後は…(10/25)

 顔が寒い!頭が寒い!んっ?どこまでが顔でどこからが頭なのかって?

 さて、22日(土)に3年ぶりに開催された平田っ子まつり。すれ違う子供たちはみんなよい表情です。中には額に汗をにじませながら様々な体験コーナーを回っている子もいました。委員の方々には計画段階から頑張っていただきました。各ブースを運営してくださった保護者や地域の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

 綿密な計画を練ったとしてもうまくいかない部分はあるものです。でも、準備の過程こそ財産であり、子供の笑顔が答えです。また、結果だけにこだわる必要はないと思います。課題が残れば、その解決や克服に向けてまた頑張るという点は、子供の学びや私たちの仕事も一緒。いずれにせよ、とても濃密な2時間をありがとうございました。

 ところで、週5日制が当たり前の現在ですが、30年前の1992年秋から毎月第2土曜日が休業日になったのです。その3年後の4月から第2と第4土曜日が休みという隔週での週5日制に切り替わり、完全週5日制となったのは20年前のこと。こうした経緯を教員として知らない職員の方が多くなっている昨今、私自身も土曜日に勤務していたことを忘れてしまいそうです。

 ただ、土曜日は半日授業の「半ドン」でしたから、午後は今以上に「特別感」が際立っていたように思うのです。子供も同じだったかもしれません。給食はありませんから、近所の食堂などに行って定食を食べながらビールも飲めました。部活動をしていましたので、練習試合で他校へ出向いたり来てもらったりも毎週のように行いました。保護者の方が私のために交代で手弁当を用意してくれるなんて、今では考えられないことです。懐かしさに浸ってしまいます。

 そういうわけで、平田っ子まつりが行われた午後が子供たちにとって「特別な時間」であったならうれしいです。

096 クズ(10/22)

  今日は平田っ子音楽会、そして平田っ子まつり。3年ぶりの開催でこれまで以上に大変だったと思いますが、PTAの皆さんも委員の方を中心に今日まで熱心に取り組んでくださいました。とても楽しみです。

 さて、今日は音楽会や祭りとは全然関係のない「葛(くず)」のお話。「クズ」という響きは、「ゴミ」「役に立たないもの」というイメージが先立ち、あまりよいものではありません。この葛が幅を利かせて生い茂っている空き地や草むら、公園などは身近に見られます。ひと月前頃まで赤紫色の花を咲かせている姿も目にしました。柏の葉っぱのような大きな葉と簡単には切れない丈夫な蔓が特徴で、木などに巻き付いている姿を一度は見たことがあるでしょう。花言葉は、「芯の強さ」「快活」。蔓も根も丈夫な、いかにも葛らしい花言葉です。

 

 この名前の由来は、むかし奈良県の国栖(くず)が産地だったことからくると言われます。「葛」と漢字で書くと、「かずら」とも読みます。この場合、蔓植物の総称になります。ややこしい! 

 葛(くず)は、漢方薬として重宝され、「葛根湯」と聞けば解熱剤等でよく知られています。また、くず餅の原料になります。大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをくず粉として利用します。くず餅と聞くと、亀戸を本店とする船橋屋しか思い浮かびませんが、きな粉と黒蜜を皿に残さないようにきれいに食べたくなります。

 ぱっと見では無駄で邪魔な植物と映ってしまう葛ですが、見えない部分で人を笑顔にしているのです。これを食べてみようと最初に思った人も尊敬しますが、人にも見かけだけでは判断しきれない「良さ」があるものです。その「良さ」を自信にして胸を張れる人を増やしたいですし、先入観にとらわれず相手をよく知ろうとする姿勢が大事なのだと思います。

 今日一日、普段目にすることのない「良さ」をたくさん見つけたいと思っています。