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校長室から

084 安全・安心のために(10/5)

 とっぷりと日が暮れた後、どこかの家からお風呂の石鹸の香りが漂ってきます。温かい風呂に浸るのも気持ちよいですし、風呂上がりも汗ばむこともなくさらっとしています。

 私は石鹸のにおいが好きで、夏場のボディーシートやスプレーは石鹸の香りの商品を選びます。風呂場で使う石鹸は、当然「牛乳石鹸」。それを知る娘から牛乳石鹸クリームをプレゼントしてもらいました。

 

 さて、9月23日に自宅を出た後、行方が分からなくなってすでに2週間近くが過ぎる近隣市の小1女児。昼前の時間帯に、母親より数分早く家を出て公園に向かったといいます。無事でいることを祈りますが、昨日河川敷で子供の遺体が発見されたという報道もありますし…。子供が安心して屋外で遊べるように、大人の目は不可欠です。無関心であってはならないと思います。

 長く学校に携わっていると、何百人という児童一人一人にあてはめて考えてしまいます。校内で楽しく安全に過ごすのは当たり前。放課後であれ休みの日であれ、事件や事故が起こらないように取り組み、そして願う毎日です。だからこそ、くるぶしくらいの深さの水溜まりで溺れて亡くなる事故、歩道を普通に歩いていて自動車が突っ込んで来て被害に遭うケースなど、具体的な場面を通した指導が必要です。また、自転車の右側走行や一時停止をしなかったことにより他者を傷つけてしまう事故も考えられます。加害者にもなりうる可能性があることを教えることも大人の役目

 子供たち自身だって、不審者、交通加害・被害事故、水場や危険箇所など、身の回りの様々な危険を知り、様々な状況に対応できる判断力を高めていくことは急務です。登校時に一緒に学校に来てくださる保護者の方がたくさんいます。そうしたときや一緒に駅などへ向かう道すがら、「かけこみ110番」の家や店の確認あるいは利用上の留意点などをお子さんと話したり、大地震の際の危険箇所を考えたりすることだってできます。学区探検では安全という視点も加えながら見て回るのもよいでしょうし、施設や仕事を安全というフィルターでとらえてみるのも新たな発見につながるかもしれません。家庭においても、指導したり気づかせたりすることを「機会があれば」「休みの日に」と後回しにするのではなく、今だと思います。古くなってしまったけど、「今でしょ」。

 暗くなるのがどんどん早くなっています。無灯火で自転車に乗っている子供や大人はいませんね?

083 伸びしろ(10/4)

 子供たちと話をすると、意外なことに気づくことがあります。例えば、「校長先生が担任をしていた時ってあるんだぁ」と不思議がられること。どうも昔から校長だったと思っている様子。

 さて、少し前にSNS上に次の問題を見つけました。「たけしさんは、1周4.2kmのジョギングコースを3週間走りました。全部で何km走りましたか?」という小数のかけ算。4.2km×(7日×3週)と考えられる人は素直な人かも?でも、情報不足ゆえ「3週間耐久マラソンかよ!」という突っ込みをしたくなるのは私の悪い癖です。

 同じように、SNSに子供の採点済みのテストが掲載されていました。小学校3年生の子はASDやLD傾向があるらしく、普通10分程度で終わるドリルに1時間以上の時間を費やすといいます。ある日、持ち帰ってきた漢字50問テストの13問が正解だった答案を見たお母さんは、我が子の努力を嬉しく思いました。それ以上に、担任の心遣いに感動したといいます。なぜなら、間違ったところや書けなかったところに敢えてバツをつけず、できなかった部分を復習させ、正しくかけたら丸を追加するような採点方法だったのです。できないことに注目するのではなく、できたところをしっかり認める対応を、私たちも心がけたいと思い、職員にも紹介しました。

 今週末、一人一人に成果と課題を伝えながら、通知表を手渡します。所見欄は夏休みの面談に代えさせていただくので記載なし。教科に関しては「よくできる」「ふつう」「努力が必要」の3段階評価です。ただこの評価もとらえ方でポジティブになれます。「よくできる」は『自信』、「ふつう」は『安心』、「努力が必要」は『伸びしろ』と言い換えれば、そのあとのアドバイスも素直に耳を傾けるかもしれません。

 そこで、通知表「あ・ゆ・み」を使って子供たちへのメッセージを作ってみました。

 「あ」 あきらめない強い心で 新しいことに挑戦!

 「ゆ」 ゆっくりでよいから ゆめを大きく膨らませながら

 「み」 みぢかなことから始め みごとな花を咲かせよう!平田っ子

082 落語(10/3)

 週末ランニングにはもってこいの気候になってきました。そして、鍋物や煮込み料理がおいしい季節です。煮込まれると、翌日さらにおいしく感じる食べ物。思いつくのは、豚汁やカレー、おでん、もつ煮でしょうか。行列の出来る料理店主が、「○日煮込んでから○晩寝かせました」なんて言うと本当においしそうに聞こえてしまいます。どうも冷めるときに周りの水分を吸収し、出汁や旨みといったものが素材に入り込むらしいのです。

 さて、4年生が国語で落語『ぞろぞろ』を通して、落語の面白さを感じ、相手への伝え方などについて学びます。そして先週、林家のん平師匠をお招きして、扇子や手ぬぐいの使い方をはじめ、落語に関する話や「初天神」を披露していただきました。平田小学校出身の師匠は、小学校5年生の時にテレビで見た「時そば」があまりにも面白くて落語家を目指そうと決めたそうです。校長室でお話を伺っているとき師匠のスマホにメールが届きました。なんと、お孫さん誕生の写真付きお知らせが舞い込むというめでたいおまけつき!

 落語の面白さは、同じ演目でも噺家さんによって雰囲気がガラッと変わること。過去に名人と呼ばれた噺家は、人の心をつかんで離さないのだと思います。「まんじゅう怖い」「あたま山」「寿限無」「目黒のサンマ」など、子供でも楽しめる演目はたくさんありますし、新作落語だって…。漫画や絵本になっているものもありますから、本を読んだり実際に寄せに足を運んだりしてみるのもよいですね。平田小から二人目の落語家誕生という時が来る日も近い?

081 アンテナ(9/30)

 朝、お父さんが幼児の手を引いています。保育園へ向かう途中でしょうか。歩道にある自動販売機に興味を示す我が子に「自動販売機!」とゆっくり繰り返し教えています。「自動・販売機」と唱えてみると、先進技術の進歩が目覚ましい現代にあって、その字面に古さを感じてしまうのは私だけでしょうか。 自販機では、ありとあらゆるものが売られています。蕎麦やラーメン、焼き芋、ホンビノス貝…。常識を覆すようなものまであるようです。本八幡駅を降りて学校に向かう途中にも、『だし道楽』という出汁の自販機があります。需要がある証拠です。

 話は変わりますが、戦争末期を描いた『日本のいちばん長い日』という書籍や映画があります。降伏か本土決戦かで揺れる首脳部の中で、「あと二千万の特攻を出せば、日本は必ず勝てます。男子の半分を特攻に出す覚悟で戦えば…」と幕僚が徹底抗戦を主張する場面があります。まさに狂気です。零戦の神風特攻隊は有名ですが、人間もろとも体当たりして敵艦や戦車を爆破する人間魚雷ほか、木製ボートに爆薬を載せて自爆する特攻艇など、命と引き換えに散っていった多くの若者がいたことを思い起こさずにはいられません。

 長引くロシアとウクライナの戦争、中国による台湾へのけん制など緊張が続く中、広島や長崎の原爆投下の日すら忘れそうになっていた自分に気づきます。新聞には戦時下における一般人の悲愴な様子が綴られています。体験や経験はしていなくても、文章から感じることはできます。年齢にかかわらず、事実を知るということはとても重要だと思います。様々な方向から事実を見つめ、何を感じ、場合によってはもっと深く調べてみること。「自分に関係ない」「興味がない」「難しい」と言わず、入口の扉を小さくても開けてみようとする子供たちであってほしいのです。

 明日から10月。身近なことにアンテナを高くして、新たな「やる気スイッチ」を自分でON!

080 Moon(9/29)

 先の土曜日の朝、ふと見たNHKニュースで行徳の特集。中台神輿店や野鳥観察舎、行徳港のホンビノス貝を取り上げていて、不思議と嬉しくなる自分に気づきます。

 さて、朝晩が涼しくなり、車のウィンドウやボンネットに露が降ります。昨日はキンモクセイの淡い香りを感知しました。日中は汗ばみますが、やはり秋が確実にやってきていることを感じます。ところで秋といえば、俳句の季語などに「月」がよく登場します。以前たんぽぽ2組で取り組んだ「お月見」を表した作品の月の中には、餅つきをしているウサギの姿が見られました。また、1週間ほど前には6年生が理科で月の満ち欠けの学習をしていました。

 月の模様=ウサギの餅つきという図式は、日本では当然のこととして語られますが、世界共通ではありません。例えば、インドネシアでは「編み物をする女性」ですし、ベトナムでは「大木の下で休む男性」、モンゴルでは「犬」といわれます。インドでは「ワニ」、中東では「ライオン」、南欧では「片腕のカニ」、ドイツでは「薪を担ぐ男性」など見え方は様々です。先入観を取り払うと、今日の月齢は3.2日。三日月ですから、満月は10月10日(ハンターズムーン)までお預けです。

 さらに、「月」が入っている歌を思い起こしてみると、“月が~出た出た~”で始まる『炭坑節』。 “出た~出た~月が~”と歌い出しが逆の童謡『月』。『証城寺の狸林』では“つ、つ、月夜だ、みんな出て来い来い来い”と歌われます。それ以外では、『今宵の月のように』(エレファントカシマシ)や『三日月』(絢香)は好きな歌。

 生活や歌など私たちにとっては身近な月ですが、一方で神秘的でもあります。いつもより目線を少し上げて、穏やかな気持ちで雲や月を眺めてみると、何かしら新しい発見(お告げ)があるかもしれません。