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校長室から

468 雷鳴が聞こえたら…(24.9.6)

 集団での手遊びに「おちたおちた」があります。園児にもできますしキャンプファイヤーでも行われる簡単なゲームです。リーダーが言う言葉に合わせて、みんなが決まったポーズをして楽しむもの。落ちるものは「りんご」「かみなり」「ゲンコツ」の3つで、それぞれ手を出して受け取ったり、へそや頭を守ったりするという決められたポーズをとるのがルール。

 でも現在、親や先生からゲンコツで頭を殴られれば虐待・体罰とされますからゲンコツが振り下ろされる場面を目にすることは滅多にないでしょう。また、雷鳴轟く日が少なくありませんが、雷が鳴っておへそを隠す子がどれだけいるでしょう。特に、雷鳴でへそ隠しする行為の意味を知る子はいないのでは?

 諸説ありますが、雷が鳴ったりゲリラ豪雨がやってきたりするときは空気がひんやりします。雷を発生させる積乱雲から吹く冷たい風です。そこで、お腹を冷やさないように子供たちを戒めるため、「雷様がおへそを取りに来る」と昔の人は言ったのです。へそを取られては大変なので、シャツをズボンに入れて隠したり手で隠したりしたというわけです。

 腹巻だって腹を冷やさない有効な手立てです。バカボンのパパやフーテンの寅さんはその代表的な存在です。私も寝ているときにお腹を冷やさないように、子供のころ腹巻をしていました。今でもパジャマの中にシャツの裾をインするのは、昭和の定番を引き継ぐ名残りかもしれません。でも、それを笑う妻!

 昭和の定番といえば、旅行の思い出にお土産に買ったペナントもその一つ。二等辺三角形の旗は、どこの土産屋でも扱っていました。当然、修学旅行でも買い、部屋の壁に画鋲で飾ったのは言うまでもないこと。また、山へ行けば金属製のピンバッジを買って、帽子の横から後方までを囲むように取り付けました。引率して日光へ修学旅行に出かけたことは20回を下りませんが、記憶を遡っても土産物店でペナントなどを見かけたことはないと思います。

467 唐揚げとビール(24.9.5)

 朝が過ごしやすくなった今週は、ずっと腰痛に悩まされています。左臀部や大腿部から腰にかけて痺れるような痛みも走ります。歩くには支障ありませんが、洗面やトイレでの着座、ズボンの着脱などに一苦労。靴下を履くだけでも優に1分はかかりますし、寝返りも慎重になります。修学旅行までには…。

 さて、長期休業中の職員の飼育当番が私は嫌いでした。空腹からか人恋しさからかわかりませんが、ニワトリが狂暴になるからです。餌をもらえると思うや一気に集まって足を突きます。餌皿を地面に置こうとすると、「ちょっと待て!」という声を無視して、猛然と襲いかかるのですから恐怖以外何物でもありません。でも、金網越しに聞こえる幼子二人の「がんばって!」の声に勇敢な姿を見せようと必死だったのを思い出します。

 家の近くの小学校には歩道沿いに鶏小屋があり、4羽のニワトリが飼育されています。この小屋の金網に、おやじの会をはじめ学校協力団体のポスターが何枚か貼ってありますが、その中に駅前の唐揚げ専門店のポスターもあるではないですか。鶏小屋に鶏唐揚げ店の宣伝って…、気になりだすと凄く複雑な心境です!

 唐揚げに合うのが夏のビールで、最高においしい!何杯でもいけそうですが、身体と家計がそれを許しません。たまに自分へのご褒美と称して飲む「SPRING VALLEY サマークラフトエール」が特にいい!夏限定で、トロピカルフルーツのような香り。ちょっとお高いですが、このシリーズは裏切りません。(※どれも個人の感想です)

 ところで、家で飲むビールが瓶だったのはいつまででしょう。近所の酒屋からケースで配達でした。1980年代前半の缶ビールの比率は一桁台でしたが、1995年には瓶を逆転しています。その頃からなのか缶に切り替えたことで、空き瓶ケースのスペースを心配しなくてよくなりました。先日の懇親会で、久しぶりに瓶ビールを持ってお酌してまわりました。そういえば、別の日にある店の冷蔵ケースに瓶のコカ・コーラを見つけたときも不思議と嬉しい気持ちになりました。

466 傘(24.9.4)

 夏休みに人間ドックを受診しました。ここ数年、市の集団検診で済ませてきましたが、病気の巣窟みたいな体なのでしっかり診てもらわないということで…。以前の病院とは異なるからなのか、時代の流れなのかは不明ですが、着替えるとタブレットを渡されます。空いている検査室へ誘導してくれて、呼び出しもタブレット上に表示されます。前はどこの検査室から呼ばれるかわかりませんし、難聴の私は名前を呼ばれたことを聞き逃さないように、神経をすり減らす数時間でした。でも、今回はストレスフリー!また、内視鏡検査(胃カメラ)を初体験。不安で押し潰されそうだったにもかかわらず、終わったことすら気づかない有様。鎮静剤投与しさえすれば、バリウム検査より絶対オススメかも。

 さて、雨の日に人がすれ違う時は、双方が傘をさして自然とぶつからないような所作をするものです。一方、日光を遮るために日傘を目深にさす人を見かけますが、これが厄介!紫外線を少しでも避けようと目深に差すので前方がよく見えないためか、顔の脇を傘の端が擦るように通ったり、肩にぶつかったりすることもあります。自動車・自転車の運転同様、前・後方の確認は怠らないようにしてほしいものです。

 こうした傘は、平安時代ころに中国から伝来しました。高価だったので権力の象徴でもあり、貴族や高僧のために従者が日除け・魔除けのために差し掛けていたのです。また、開いたままで閉じることができない仕組みでした。日本で最も古いものは、民話『かさじぞう』でお地蔵さんの頭に被らせて雨雪を凌いだ「笠」かもしれません。ただ、和傘に至っては、「番傘」や北原白秋の『あめふり』で歌われる「蛇の目傘」、「端折傘」が広く知られていますが、雨傘として一般の人々に広まったのは、江戸時代中期とされています。香取市佐原地区で製作される「佐原傘」は千葉県の伝統工芸品になっています。

 ビニール傘が登場したのは1958年。その数年後の東京オリンピック観戦のために来日していた外国のバイヤーの目に留まり、ニューヨークでヒットして世界に広がりました。そして現在!来客用玄関には十本近くあって、どれが誰のものかわからない状態ですし、強い雨風の後は、路上に無残な姿で置き去られる様が痛々しく不憫です。

465 ごはんのおかず(24.9.3)

 車で出かけて、遥か彼方であっても水平線や白い波が見えると「あっ、海だ!」と、自然と声が漏れてしまいます。周囲を山で囲まれた道を走れば旅行気分に浸れるのと同じように、海が見えると泳ぐわけでもないのに高揚感に包まれるのが不思議です。あぁ、最後に水着を着たのはいつだろう?もう海で泳ぐことなんてないのだろうなぁと思うと一抹の寂しさが…。

 たまに行くラーメンチェーン店は早くて安いので、簡単にお腹を満たすならちょうどよいのです。でも、ある日その前を通りかかると、内装が取り壊されている最中。結構客が入っていたように思いましたが、つぶれてしまったようです。最近はロボットが料理を運んでいました。人件費削減とはいえ、人間が行うサービスは期待できなくなります。無機質で充足感がありませんから、安いだけなら「ここじゃなくてもいいか」と心満たされず客足が遠のく原因になったのかもしれません。2か月後の今週末、やっぱりそこにはラーメン店が開店。

 さて、ごはんやパンの主食に、「おかず」がテーブルに副えられます。この「おかず」ってどういう意味か考えたこともありませんでしたが、ある時、ふと疑問を抱いたのです。「おかず」とは、副食や惣菜のことで、食事の献立の中で主に米飯の主食に付け合わせて食べる料理全般を指す言葉と説明があります。主食の周りを囲むようにして置かれて、古くは「御回り」「御巡り」と呼ばれたことからもイメージできるように、「おかず」は主食を囲む程度の品数が必要になります。つまり、「数を取りそろえる」を語源として、漢字では「御数」と書くようです。「おでん」「おから」「おはぎ」「おじや」「おかき」「おこわ」「おむすび」などと同様、室町時代に使われた言葉だそうです。

 昨日の始業式では、涼しい体育館で「いのち」「今ここにいるだけで素晴らしいこと」について、画像や詩を交えて話しました。そんなかけがえのない存在である子供たちが一生懸命取り組んだ夏休みの作品が、校内のあちこちで見られるようになります。数ある力作を「おかず」にしながら、子供たちの2学期のスタートをしっかり目に焼き付けるべく校内を「御巡り」します。

464 オリンピック精神(24.9.2)

 ある日、翌日の天気予報をスマホで確認すると、居住市の最高気温が40℃と表示されています。こんな数字を初めてです。そんな酷暑の夏休みは、様々なスポーツの熱い戦いに始まり、そしてパリオリンピックや甲子園大会の余韻、パラリンピック開幕の中終わったような気がします。特に、8月の声を聞くと駆け足に時間が過ぎていき、宿題はないものの気持ちが焦るのは大人も子供も関係ないようです。

 高校野球千葉県大会決勝は、タイブレークの延長10回の攻防にモヤモヤを残した試合でした。五輪開幕前に行われたサッカー予選は3連勝。続く準々決勝のオフサイド判定には様々な意見が飛び交いました。それでも木村選手は大活躍。日本最初の金メダルは、柔道48キロ級の角田夏実選手。八千代市出身なのでLineのグループメールでは大いに盛り上がりました。一方、2連覇を果たした阿部一二三選手を、将棋の加藤一二三棋士の愛称「ひふみん」と呼ぶ者がそばにいるから紛らわしい!

 さて、岸本佐知子さんの著した『ねにもつタイプ』という本に、「裏五輪」と題したエッセイがあります。いきなりオリンピックが嫌いだで始まります。朝から晩までオリンピックばかりになることやメダルの獲得数に固執することを理由に挙げ、そもそもスポーツが嫌いだと言うのです。例えば、レスリング競技を“互いの体の臭い部分を無理やり嗅がせあった”のが起源に違いないとする発想には笑いがこぼれます。

 オリンピックが始まる前のメダル獲得への期待と結果のギャップは、報道の取り上げ方に顕著に表れます。メダルを取った選手はヒーロー・ヒロインとなってTV画面に連日映し出されます。マイナーな競技にもスポットが当たります。逆に結果が伴わないと、「芸能人格付けランキング」よろしく、映す価値がないかのように存在自体亡き者にされがちです。胴上げしておいて手を放したようなもので、失礼な感じ。ぜひとも、メダルにこだわりすぎた番組構成はやめにしてほしいと思います。

 だから、冒頭の岸本さんが提唱するメダルも金・銀・銅はやめにして、一位どんぐり、二位煮干し、三位セミの脱け殻とかにする意見に大賛成!そうすれば、勝ち負けにこだわること自体馬鹿げて思えて、「参加することに意義がある」というむか~しのオリンピック精神に立ち戻れるのでは…。

 さて、2学期スタートの今日は予想に反してよい天気。子供たちの胸にどんぐりや煮干し、セミの脱け殻を見つけようと思います。

463 夏の終わりに(24.8.30)

 お盆明けの夜、急に雷鳴がとどろいたかと思うと大粒の雨が降り出しました。雨戸を叩く音でわかります。暗い廊下の窓越しに見える閃光は、まさしくホーンテッドマンションです!半世紀前は、雷が落ちるとよく停電しました。だから長めのロウソクは家庭の必需品でした。今は、お寺ですら電気でチラチラ動く偽ロウソクを使っているほどですから、ロウソクやマッチがない家庭ばかりかも。だから災害に備えて、ドラッグストアのロウソクセットは売り切れでした。

 児童文学作家の矢玉四郎さんが80歳で亡くなりました。『はれときどきぶた』など、著書を手に取ったことがあるかもしれません。図書室にあった4冊を拝借して校長室前に展示してみました。懐かしくて、1冊読んでみました。“ぼくは、畠山則安。三年三組。あだ名は、十円やす”というお決まりの文句から始まります。新学期は、何かと配付物が多くあるので、職員室前に取りにくる子がたくさんいます。横目で見るだけでもよいので気づいてくれたらうれしいです。手に取って読んでくれたらもっとうれしい!

 もう1冊は、『こころってなんだろう』(細川貂々 著)です。心はいつどうやって生まれるのか、どうして揺れ動くのか、そうした葛藤に対する気づきが大人にも子供にもきっとあるはずです。

 来週からの新学期に合わせるかのようにゆっくりと近づく台風。その影響がとても心配です。最新の情報を収集しながら、新たなスタートにも余念なく…。そして、それぞれの心の動きにも敏感でありたいと思います。

462 感動(24.8.28)

 台風10号が自転車並みの遅さで近づいています。先週後半、鴨川市の棚田で稲刈りをする家族集団がいくつも見られました。その一つである大山千枚田は、黄金色に染まってとてもきれい。途中、小湊鉄道の踏切を何度か渡りましたが、教科書にあった『加代の四季』の「春は線路からやってくる」という一節を思い出しました。線路や枕木の周りに鬱蒼と草が生い茂る様は、ジブリアニメの世界ようでちょっと感動でした。

 時同じくして、高校野球甲子園大会の決勝戦が行われました。決勝史上初の延長タイブレークの末、京都国際高校が初優勝。校歌斉唱の時に、準優勝校・関東第一のアルプススタンドから手拍子が送られ、相手へのリスペクトが感じられました。実はこの手拍子、大社高校の大応援団が、準決勝の勝者・神村学園に送ったことが始まり。その後、関東第一に敗れた神村学園にのバトンとなり、決勝後の関東第一へと受け継がれていったのです。まさに青春!様々な思いが凝縮された一場面に感動です。いくつになっても、純粋さを失わないでいたいと思います。

 今大会は、韓国語の校歌や決勝戦のタイブレークに様々な意見が聞かれましたが、次のような素敵な提案もあり、これには大賛成!「甲子園では、負けたチームを讃えて校歌斉唱をする」というもの。こうすれば全校の校歌が甲子園に流れます。決勝では、両校の校歌が歌われれば全校歌の制覇です。よいアイディアだと思ったのですが、きれい事だと切り捨てられてしまうでしょうか。

 スポーツでも音楽でもなんでも、真剣に取り組む姿に感動して鳥肌が立つこと、時に涙がこぼれることがあります。平田っ子のそんな姿がたくさん見られる秋冬でありたいと願っています。

461 嫌~な虫(24.8.26)

 スズメバチや蚊、カメムシ、カミキリムシ、コガネムシなど、夏場の嫌な虫は数々ありますが、これ以上のものはないというのが水虫!しかも季節は関係なく寄生されるからタチが悪い。そんな水虫に、現在も悩んでいる大人や子供は少なくないはずです。

 何を隠そう、私も小学生のころから20年近くお付き合いしました。足にできて痒くなる場合もあれば、爪が侵されたり皮膚がボロボロと剥けたりするのです。終いには、左手にまで感染して病院通いでした。新京成線に乗り換えて行った病院もあれば、成田山へ向かう道を歩いて通った病院もあります。澱のような感情を引きずる足取りは重く、一人寂しく電車を乗り継いで通院していました。

 何より人前で靴下を脱ぐのが一番嫌でした。小学校の水泳や中学校の剣道部は裸足です。高校の体育授業のレスリングでは、マットに四つん這いになって後ろから攻める態勢から始まるので、どうやって足裏を隠そうかとそっちにばかり気が奪われてしまうわけです。

 どんなにこまめに薬を塗ろうが何をしようが治らなかったのに、今の家のそばの皮膚科に通ったら完治です。飲み薬も服用しましたが、どうしてこんな変化が?ただ、心のつかえがとれたというか、気分が晴れたというか、裸足になることも厭わなくなりました。しっかり治療すれば治せる病気であることを感じました。今まさに悩んでいる子(人)がいたら、安心させてあげたい!大丈夫!

 日本皮膚科医会の調査では、皮膚科を受診した患者の16.6%が潜在罹患者だといいます。また、水虫にならないための留意点も上げています。バスマットなどを介して感染が広がりますが、感染成功まで1~2日かかるため、寝る前にタオルで足をぬぐうだけでも予防になるそうです。そういえば、コロナ前に通っていたジムの風呂に入っていたことがおそらく原因で、水虫をうつされたことを思い出しました。もうあんな肩身の狭い思いはまっぴらごめんです。

 いよいよ夏休み最後の一週間!晴れ晴れとした気持ちで9月を迎えるためにどうする?

460 まどろむ(24.8.19)

 テレビで管楽器の五重奏を横目で見ながら、画面に目が吸い込まれます。だって楽譜がタブレットなのです。時代を感じたワンシーンでした。

 さて、熱中症警戒アラートが連日発令される昨今は、暑すぎて屋外に出られず、必然的にウクレレの練習に割く時間が長くなります。毎日続けることで、上達を感じられるからうれしいものです。7月のとある日に、弦を張り替えるために教室のある楽器店に行きました。顔馴染みの店員さんが、「9月にサークルの発表会をショッピングセンターの広場で行うのですが、レッスンしている曲を発表してみませんか」とお誘いの言葉をいただきました。楽器店としてみれば、宣伝効果を期待してのことでしょうが、スマホに録音して聴いてみるとたどたどしくて人様に聴かせられるレベルではありません。ましてや、「間違えたらどうしよう」という緊張感は半端ではないはず。夜遅く奏でる音で妻がまどろむ程度の演奏が精一杯です。日頃から子供にも職員にも、「失敗して学ぶことがたくさんあるからチャレンジを!」と呼びかけている自分は、頑なに守りに徹していて情けない。

 「まどろむ」といえば、午後の会議などに講演などあろうものなら、睡魔との闘いにどう備えるかを考えてしまいます。運悪く最前列だったり講師から見えやすかったりすると、舟を漕がないよう、気絶しないように必死になった経験が一度はあるものです。

 ベッドに横になった途端に寝ていたなんていうこともきっとあるはず。寝つきがよいと思われがちですが、どうもそうではないようです。人間の大脳は大きいため、寝つくまでにおよそ10分程度かかるのが正常な睡眠リズムだといいます。だから、まどろむこともなくあっという間に寝ていたという状態は「気絶」なのだと聞いたことがあります。当然、良質の睡眠とは言えません。二度寝してしまうような場合や目覚めたともぼんやりしてしまう感覚が伴うときも、体が早寝を求めているサインと考えるとよさそうです。

 8月後半も、まだまだエアコンと扇風機を一晩中動かして眠りにつくような寝苦しい日が多そうです。夏休み残り3分の1が始まった今日を、お盆休みが明けた今日を、どう過ごしますか?

459 見立て(24.8.7)

 9月までお休みのつもりでしたが、夏休みの半分近くが終わり、学校は明日から閉庁期間に入るのでちょっとだけ。

 前夜に剃髪して、頭だけは住職よりお坊さんらしい出で立ちとなって、つい先日母の一周忌の法要に臨みました。終わってから日本橋まで足を延ばして、ミニチュア写真家・田中達也展『みたてのくみたて』を見に行きました。毎日SNSを更新する方なので、田中氏を知る人は決して少なくないはずです。パセリは木々、丸メガネは自転車、ソフトクリームが女性のドレス、iPhoneのカメラレンズが電磁調理台といった具合に、身の回りにある物を別の物に見立てたアートがたくさん展示されていました。

 “見立てはものまねに似ています。みんなが知っているものを、みんなが知っているものに変換するからこそ面白さが伝わる”と田中氏は言います。見慣れた家や教室の中、地域も普段と視点を変えて観察すると、新鮮な発見があるかもしれません。そんな想像(創造)力を子供たちが発揮できるようにするためにはどうしたらよいのだろうと思案します。やっぱり、やりたいことを実践してみることのできる自由度のある環境って大事なのではないかなぁ。そしてこの夏休みは、そうした絶好の機会と考えたいものです。

 少し前になりますが、利根川べりを車で走っていると、たくさんの人が外で待っている鰻屋があります。店の看板を見ると、蕎麦屋の暖簾のような文字が書かれています。この文字は「変体仮名」というのだそうです。「生蕎麦」という文字は、「幾」(いくつか・量)、「楚」(ほっそりとした様子・鮮やかな様子)、「者」(台上にしばを積み、火を炊く者)の3文字が変体仮名になったもの。一方、鰻屋の文字はというと、走りながら横目で追っただけですが、私の見立てでは「きのどく」と読めるのです。鰻屋「さかた」さん、ごめんなさい!

 まだ半分以上、夏休みが残っています。お盆休みに入り、家族での時間も増えるでしょう。Spend fun summer vacation!