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校長室から
404 よろける(24.5.1)
今日は「スズランの日」。馴染みない習慣ですが、フランスでは大切な人にスズランを贈って感謝の気持ちを伝えるといいます。というわけで、庭に咲くスズランを仏壇にあげて、ほのかな香りを感じながら手を合わせて出勤です。
混雑した電車の中で、傘やカバンをもって吊革につかまると本が読めません。ふと隣の男性の手元に目をやると、電子書籍をスマホで読んでいます。登場人物の名前から察するに、歴史小説のようです。1ページの量が多くありませんから、次々とタップしてページをめくりますが、なんか味気ない気がします。紙なんて古いとか重くてかさばるとか言われそうですが、私はやっぱり紙の本が好き!
新年度が始まった4月1日、上履きを新調しました。これまで履いていたものがだめになったわけではなく、着脱の際の煩わしさから解放されたかったからです。最近、テレビCMでも流れるスリップ-インのタイプ。決して多くはないものの、外に出る機会があります。玄関に戻ってスニーカーに履き替えるとき、踵を入れるために片手で靴箱に触れて体を支えないとよろけます。たったワンモーションであるにもかかわらず面倒なのです。踵のないサンダル状の履物は、緊急時に自分と子供の命を守れませんので却下。そんなわけで、ストレスフリーとなった次第です。
来客用玄関に腰掛けがあると便利だと思うことがあります。自分も含めて年配者は、片足立ちで靴を履く状況が心もとなくなります。座って靴を履くことができれば安心ですし安全です。図工室や理科室にあるような背もたれのない、物置きにもなりそうな椅子はどうでしょう。いや、普段は物入れで、必要な時に椅子に変身するボックスもいいなぁ。そんなことを考えていると、リサイクルステーションの一角から木を削る匂いがします。用務員さんが何かを製作しています。尋ねると、運動会のラインを引くための秘密兵器だとか。こんな魔法の手に依頼しない手はありませんから、これを機に相談が殺到する予感が…。その前に、玄関の腰掛について相談してみようっと!
403 おにぎり2(24.4.30)
早くも4月が終わります。知り合いの先生と話した際、もう若い教員から退職願が出されたと聞きました。しかも、その退職願が第三者(代理人)から提出されたというから耳を疑います。でも、先週の天声人語にあった「本人に代わって退職の意向を告げる代行サービスが若者に人気」という一節が…。「退職代行」で検索すると、あるわあるわ。
ある朝、混みあう電車に私立小学校に通う児童が4人乗ってきました。2人は姉弟のようで、お姉ちゃんは弟を気遣う様子が見られます。別の2人は4年生くらいの男児で、おしゃべりしていますが、ふと視線を下げると金属バットを手にしています。きっとクラブ活動があるのだろうと思いましたが、これが成人男性だったら、周りはどんな反応を示すでしょう?
さて先日、おにぎりとおむすびについて掲載したのち、妻から修正を求める声が聞かれました。死ぬ前に食べたいおにぎりは、「炊き立てのご飯」で作ったというのがミソだと言います。確かに、弁当箱などに詰められたおにぎりとは一味も二味も違うかもしれません。最近はおにぎりを素手で握らなくなったように思います。新型コロナウイルス感染症の影響もあるかもしれませんが、それ以前からのような気もします。ラップで包んだり型にはめたりしますが、こうすることで塩が効きすぎたり効かなかったり…。どうも直接手で握ることで塩梅(あんばい)がわかるというから、おにぎりを作ったことのない私は感心してしまいます。
昔は、おにぎりや弁当などを新聞紙で包むこともあったように記憶しています。紙で包んだ時の米の粒感や海苔の食感は、ラップの場合と大きく違うといいますが、比較したことがないので真偽のほどは…。お試しあれ?!
ただ、他人の握ったおにぎりを食べられない人もいます。ある調査では、約半数がNGと答えたといいます。生理的な衛生意識だけではなく、信頼関係が大きく影響しているような気がします。おにぎりに限らず、むやみに人に勧めるなどの行為が、たとえ厚意であっても相手を追い込むことにつながり、退職なんてことにならないよう肝に銘じて…。
402 レトロ(24.4.26)
昔「ウイスキーボンボン」というお菓子がありましたが、今も健在のようです。一口サイズのチョコの中に、名前通りウイスキーが入っていて、当時大人の味を感じた菓子です。丸かったり四角かったり、はたまたボトル型だったりしました。ボンボンとは、フランス語でキャンディという意味。「bon」はフランス語で「よい」とか「おいしい」を意味しますので、これがもとになっているのだとか。
昭和の世代には懐かしい「ボンボン」が、なぜか令和の今、SNSやインターネットの力を借りて、若者の間でレトロなお菓子として注目を集めているといいます。ある日突如として需要が急増し、コンビニや菓子店では品薄状態だとか。フリマサイトで高額で売られるケースもあって、「一人1個」で販売する店舗もあるとニュースで報じていました。
急に口さみしくなると、飴を放り込むことがあります。今、引き出しの中に「カンロ飴」と「榮太樓・黒飴」を忍ばせています。ともに昭和の生き残りとでもいえる一品。特に、榮太樓の飴といえば黄色の黒飴、赤の梅ぼ志飴、緑の抹茶飴と丸缶に収められた様を真っ先に思い出します。また、サクマ製菓のチャオと『火垂るの墓』でも登場したサクマ式ドロップスも忘れられません。
先日、ショッピングセンターの一画で、昭和の懐かしいおもちゃや道具を売っていました。パチンコやけん玉、板返し(通称パタパタ)、おはじきに交じって肩たたき棒ほか木工製品、駄菓子などつい手に取ってしまうものばかり。昭和レトロブームに乗っかる企画でしょうか。このブームの火付け役となったのが、昭和の香り漂う純喫茶のような場所で撮られたクリームソーダ。SNSで話題になって昭和にスポットが当たったようです・何がきっかけとなるかわからない時代。でも、自分が生きてきた時代が注目されるのは、ちょっと嬉しい気がします。
401 牧場の朝(24.4.25)
音楽室を覗くと、4年生が歌を歌っています。部屋に入って耳を傾けると、あまりにも古い歌にビックリです。『牧場(まきば)の朝』という文部省唱歌ですが、譜読みのあとに歌詞の意味を読み解いていました。「♪鐘が鳴る鳴る カンカンと~」という部分を含めて、小学生にはイメージしにくい難解さがあります。
楽器を弾いたり歌ったりするときに楽譜が読めることは大前提なのでしょうが、私の場合、感覚で演奏してしまいます。特に8分音符や16分音符、付点8分音符や休符などのリズムを刻むのに四苦八苦。ウクレレレッスン当日、慌てて妻にリズム指導を乞うことがありますが、感覚だけでいい加減にやっているとすぐにバレてしまいます。だから、老若男女、楽器の種類に限らず、演奏できる人に羨望と尊敬のまなざしを向けてしまいます。
さて、またドラマの話になります。少し前に放送された『PICU 小児集中治療室 スペシャル』で、母親役の大竹しのぶさんが、急いで出かける息子役の吉沢亮さんの背に投げた台詞がとても響きます。「親より先に死ぬなよ!」という言葉は、親の一番の願いであり、愛そのものです。事件や事故に巻き込まれて子を失うケースなど想像したくもありません。当たり前のことですが、子供たちには自他の命を軽んじることのない人に育ってほしいと切に願います。何事もなく今日一日が過ぎていくことは、考えようによっては奇跡であり最大の幸せなのだと思うのです。
こんなことを思いながら冒頭の『牧場の朝』を聴くと、いにしえからの目覚めのように聞こえなくもありませんが…。
400 ひらめきを大事に(24.4.24)
指に巻きやすい絆創膏という商品があります。ガーゼ部分を端によせることで、通常の絆創膏より簡単かつ一人で指に巻きやすいというアイディアの絆創膏です。考案したのは、当時小学校4年生の児童で、親に助けてもらわなくても貼れるようにという閃きから生まれたのです。大人・子供関係なく、「あったらいいのに」は普段の生活にたくさん見つけられるはずです。そこを追究するかスルーするかが分かれ道と言えそうです。
先日、校長室で平田FCが勝ち取ったトロフィーの授与を、6年生4人に行いました。随分前の招待試合で優勝したものだそうです。監督が試合中に指示などを行ってはいけないというルールがあり、メンバーやポジションも自分たちで相談して決めるなど、選手の主体性や積極性、創造性を育てることを目的にしているようです。
元バレーボール日本代表の益子直美さんが、10年近く前から「監督が怒ってはいけない大会」を開催しています。元トップアスリートによる真摯な取り組みは、ほかのスポーツにも広がっているようです。選手が笑顔でプレーできて、勝利を一番の目的としないことに多くの賛同が得られていることも確かです。地域のスポーツクラブはサッカーだったりミニバスだったり様々ですが、選手自らが考えてプレーできる場面を保障してあげることは大切だと考えます。
ひらめきや発想を形にすること、行動に移すことはなかなかできるものではありません。でも、やる前から諦めるのではなく、まず挑戦してみることを子供も大人も大事にしていきたいと思うのです。
そういえば、サッカーU23日本代表のオリンピック予選が行われていますが、ディフェンスの木村誠二選手(サガン鳥栖所属)は平田小出身だと最近知りました。UAE戦では先取点を奪う活躍をしていましたが、これからも熱く応援します!でも、韓国戦を観た昨日は瞼が…。