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校長室から

137 年末年始(1/6)

 年末にコロナで隔離生活・外出禁止を余儀なくされたときのこと。今の仕事から解放されると、逆にできることには限界がありそうだと心配になってきました。片岡鶴太郎さんは夜11時ころに起きて朝5時くらいまでヨガをするとか…。そしてその後の一食で一日を過ごすといいますが、そんな仙人のような生活は私には無理。思いつくのは、読書・ウクレレ・庭仕事・ランニング・車いじり・テレビ視聴くらいしかありません。う~ん、時間がもたない。一日が長い。今仕事をさせてもらって、子供たちと関われることの幸せを改めて感じています。

 普段読めない本を一日1冊のペースで読破できました。眠れない日は、読んだ本の配役を勝手に俳優に置き換えて、声なども連想しながら眠くなるのを待ちました。また、補聴器から流れるSpotifyの音楽は気晴らしになりました。髭男『subtitle』もカラオケで歌うように歌詞がスマホに順に表示されます。昭和の歌謡とは大違い!字余りは当たり前ですし、「不条理」「一挙手一投足」「理論武装」「過剰包装」「不特定多数」など、およそ昔は使われることのなかった言葉がバンバン登場します。

 大晦日の紅白歌合戦も久しぶりにちゃんと見ました。でも、後半は眠くなってしまって録画。年が明けてから見る紅白って、炭酸の抜けたコーラみたいで感動というか大晦日の雰囲気が薄い。やっぱりリアルタイムで観てこその映像ってあるのです。

 年末年始は、体調が完全に戻ってはいなかったのでたまにウォーキングをしましたが、不思議なのがあまり人に出会わないこと。ましてや子供が道にも公園にもいない!ハーメルンの笛吹きに連れていかれたわけではないのに…。凧揚げしていた子供がいっぱいいた時代は遠くなりにけり。

 今日、子供たちの元気な姿を久しぶりに見て安心しました。学校は子供が主役であることを強く感じます。最後になりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

136 うきうき(12/23)

 8日ぶりに外気を吸いました。玄関にあるモミジが見ない間にすっかり葉を落としています。駅へ歩いて心臓がバクバクします。胸を押さえながらこのまま倒れるのではないかと冗談ではなく思ったのです。引きこもり生活中、腕につけたウェラブルがしきりに「立って動きましょう」と促します。でも動く範囲は、十歩にも満たないトイレと洗面所だけ。終業式に間に合ってよかったと思っています。

 さて、娘の誕生日は1月中頃。クリスマス、正月、誕生日とイベントが続きます。「全部まとめて」なんてことはさすがにできません。そして、いよいよ明日はクリスマスイブ。山下達郎の曲がラジオなどから流れてきます。これが終わると、♪もう~い~くつ寝~る~と~お正~月~。年が改まる前のこの時期は、大人でも気分が高揚します。子供たちに至っては言わずもがな。

 年賀はがきを売り出されると、年賀状を今年は何枚買うかを毎年尋ねられます。この年賀状に「元旦」と書いて昔は出しましたが、「旦」の字は太陽が地平線からです様を表した漢字で、夜明けや朝を指すと言われてからは「元日」に変えました。でも、元日に届けてもらえるような日に投函できないルーズさは、今も昔も変わりません

 子供たちにとってのお楽しみは、なんといってもお年玉でしょう。これを入れる袋をポチ袋といいます。なぜ「ポチ」なのでしょう。どうも「ポチ」は関西の方言で、芸妓などに与える祝儀のことらしいのですが、「これぽっち」と言うように「ポチ」には「ほんの僅か」「小さな点」といった意味が込められているという説があります。あるいは、「タマ袋」では語弊があるので「ポチ袋」だとも…。

 そのほかにも調べてみました。初夢に見ると縁起がよいとされるのが「一富士二鷹三茄子」ですが、続きがあるようです。「四扇(しおうぎ)五煙草(ごたばこ)六座頭(ろくざとう)」というのは、初めて聞いたような…?富士は大きく明るい未来の象徴で、鷹は爪でしっかりモノをつかみ取る、茄子は「成す」に通じて、扇は末広がりで子孫繁栄を意味します。煙草は邪気を払うとともに煙が上に上がって縁起よし。座頭は剃髪していて「毛が無い(怪我無い)」となるのです。ということは、初夢に私が現れたら、座頭には到底及びませんが、少しくらいはよいことがあるかも?

 今日のオンラインによる冬休みを迎える会では、あまり正月には関係のない『極楽と地獄』について映像を交えて話をします。どんな内容かはお子さんから聞いてください。それでは、良い年をお迎えください。1月からもどうぞよろしくお願いします。

135 鍋料理(12/22)

 学校用務員の小室さんから「機会があったら使ってください」と2句を預かりました。

   1 わが書斎 珍客来たる かまどうま

   2 コロナ禍で 消えゆく仕事 鍋奉行

 「カマドウマ」とは、昔の台所にあったかまどに良く出現した昆虫で、背中が丸まって馬の背に似ていることからついた名前。 家の便所の近くでよく見られたので、「ベンジョコオロギ」と言った方がわかるかもしれません。

 そして、寒い季節に多い料理といえば熱々の鍋物です。小室さんに作品を手渡されたときに「一番好きな鍋料理は?」と尋ねました。少し間をおいて、「すき焼きですかねぇ」と。我が家はすき焼きに苦い思い出があって、せいぜい年に1~2回あるかないかです。おでん、寄せ鍋、豆乳鍋、チゲ鍋、もつ鍋、ちゃんこ鍋、トマト鍋やカレー鍋、はたまたすっぽん鍋といろいろですが、シンプルに水炊きもよいです。こうした料理を引き立てるのが、柚子胡椒やネギ、大根おろしの薬味だったり、柚子の皮だったり…。

 「鍋奉行」とあるように、家族で食卓を囲んでこの時とばかりに父親(お爺ちゃん)が菜箸やお玉片手に取り仕切った姿は昔のことなのでしょうか?今では「お一人様」用のセットがスーパーで売られているのを見かけますが、やっぱり多くでわいわい言いながら箸でつついて食べたいのが鍋ではないでしょうか。最後の〆も大事です。ごはんでおじやにするか、麵を入れるか、餅にするか、その日の気分次第。

 ミツカンがHPで紹介している鍋の歴史を見ました。江戸時代は、狭い長屋で七輪を使って鍋を煮込みながら食べるスタイルが登場したようです。当時の主流は一人鍋。これって、旅館の夕食で膳にのった小さな鍋もののような感じかもしれません。明治の時代になって登場したのが牛鍋で、東京や横浜に多くの牛鍋屋が開店したといいます。  隔離生活、お一人様料理が終わる明日以降、「年内中にすき焼き食べたい!」。

134 漬物(12/21)

 アンチョビの入ったピザやポテトグラタンなど大好きです。このほかにも、パスタや炒め物、サラダほかアンチョビを使ったレシピが様々紹介されています。アンチョビは、カタクチイワシに似た小魚を塩漬けにして熟成させ、発酵させたものにオリーブオイルを合わせて作られるイタリアやスペイン料理でおなじみの食材です。

 そんな漬物で世界を見渡してみるといろいろ存在することがわかります。例えば「搾菜(ザーサイ)」はお隣中国の幅広く使われる万能漬物。日本で人気の「キムチ」も韓国を代表する漬物の一つです。タイの「パッカドーン」やインドの「アチャール」、欧米の「ピクルス」、ドイツビールの添え物「ザワークラフト」ほか、東南アジア随一の漬物王国ミャンマーの「ラペソー」などなど。

 漬物は、保存食としての側面が大きく、ある意味生命を支えてきたと言っても過言ではないと思います。漬物は手軽に野菜の栄養分を摂れるご飯のお供として、日本の食卓には欠かせない食べ物です。ですから、いぶりがっこや奈良漬け、鉄砲漬け、べったら漬け、たくあんなど土地土地で有名なものがたくさんあります。でも、普通のぬか漬けに勝るものはないような気もするのです。母が毎日ぬか床をかき混ぜていた姿を思い出します。独特なぬかのにおいは好きになれませんでしたが、季節の野菜類がいつも食卓に上りました。赤い部分を少し残して食べ終わったスイカだってぬか漬けにされてなかなかおいしかったなぁ。ただ、思い出の中のものは美味しかったりきれいだったりするもの。今食べたら…?

 ちなみに、毎月21日は漬物の日だそうです。

133 「お」をつける?(12/20)

 お醤油、お砂糖、お茶、お風呂、お菓子、お箸、おみくじなど、幼少の頃から当たり前に「お」を付けてきた言葉がたくさんあります。また、孫には「お手々を拭こうね」なんて言ったりもします。一方、「おビール」「おたばこ」「お車」のような言い回しは、相手と微妙な距離というか壁を感じます。

 「お」を付ける言葉に違和感を覚えるかどうかは、育ってきた環境に左右されそうです。妻は、「おみかん」「おやかん」と言いますが、「蜜柑や薬缶でよくない?」と突っ込みたくなります。私のように、「お酢」というものが正式名であるとずっと勘違いしてきた人間もいますので、「お薬缶」もアリだと思うようにしています。

 ちなみに、外来語や複合語には「お」は付けないといったルールがあるようです。ですから、前出の「おビール」は本来間違いといえますし、「おコーヒー」とも言わないわけです。また、「おスマホ」とも言いませんが、「お携帯電話」もあり得ません。「携帯」+「電話」だからです。

 こうした接頭語としての「お」は主に敬語表現だったり美化語だったりするわけですが、省いてしまうと逆に変な感じがする場合もあります。おでん、おかず、おこわ、お辞儀などは、「お」が付くことでひとつの言葉として成り立っています。「お」を取ってしまうと言葉として成り立ちません。また、おしゃれ、おはじき、おしぼり、おにぎりなどの場合は、「お」を取ると別の意味の言葉になってしまいます。日本語は難しい。だから、自分にとって聞きなれない「お」の用法があったとき、イラっとせずに違和感の正体を考えてみるのも楽しいかもしれません。

 もうすぐ「お正月」。「お年玉」を楽しみにしている「お子さん」もたくさんいます。「お神酒」を飲んで「お雑煮」や「おせち料理」を食べた後、「お賽銭」をポケットに忍ばせて、「お寺」や「お宮」へ行き、「おみくじ」を引きましょうか。冬だからといって油断せず、「お茶」も忘れずに持参して水分補給を!