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校長室から

294 土台づくり(23.10.24)

 歯医者は嫌いだ!とにかく怖い!痛みのあるなしに関係なく、診察台に座って背もたれが倒れるや否やまな板の上のコイ。両手をお腹の辺りで組んで来るべき様々な刺激に備えます。また、口の中に異物が入ると唾液がボワーっと湧き出てくる感じ。特に、脱脂綿のようなものを奥歯に挟んで強く噛んだ時の味がダメ。歯のかぶせ物や詰め物が取れた日からは悪夢のような治療期間が始まるのです。一方、娘も息子も歯医者とは縁のない生活を30年以上送っています。うらやましいのですが、歯が生え始めた乳幼児期からの親の口腔管理が実を結んだ結果であると、勝手に胸を張っています。

 さて先週、ある学年の習字の授業をやらせてもらいました。サポートではなく自分で指導するのは実に十年ぶり!楽しかったなぁ。タブレットや電子黒板をうまく操作できないので、完全アナログですが、投げかけた言葉が取り組む姿勢になっていることを感じ、うれしく思いました。

 私自身、書道教室に通ったのは小学校の6年間。少人数でしたから、基礎からしっかり教えてもらいました。父も達筆でしたから、字形のとり方をアドバイスしてもらったこともあります。テレビで『ばらかもん』を観ていましたが、書家と呼ばれる人だって基本が身について初めて次のステージへと上がっていったのだと思います。また、高校書道部の巨大な作品を見る機会がありますが、学んだことの上に立って、自分たちの思いをどんな言葉でどのように表現したら相手に伝わるか、そうした願いがぎっしり詰まっているように感じます。だから、感動するのかもしれません。

 高層の建造物だって何だって基礎が大事。子供たちの未来も、現在の土台づくりの上に成り立つと思うとたった45分の授業も手が抜けません。明日は清書。上手と思われる文字より、その人らしさが滲み出る「よい字」「よい作品」を目指します。