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校長室から

492 宝物(24.10.15)

 30歳を過ぎたわが子二人が幼かった頃、ビデオカメラを構えて記録するのが楽しみでした。小さめのVHSテープが溜まってきたので、デッキを2台並べてDVDに編集しました。「老後の楽しみだ」と言って、何時間もかけて納得のいくものにしたはずなのに、しばらくして確認した時には、DVDプレーヤーでもPCにも映りません。何度やっても同じなので、諦めて放置したままでしたが、先日、娘がテープのほうを業者に出して再編集してくれました。幼稚園の発表会や運動会、小学校の入学式などを再び目にすることができました。記憶が刺激されて涙がこぼれます。「子は3歳までに親に恩返ししている」と言われますが、どんなに大きくなっても可愛くて仕方ない宝物です。

 近くの公園や林、先日のアンデルセン公園などの路上にシイやクヌギの実が落ちていることを見かける季節。総じてどんぐりを、木に生っていた時と同じように帽子を被せて並べてあげれば、ちょっとした秋の置物に変身です。たくさん落ちていますから、発芽してもよさそうなものですが、そういう所にはなかなかお目にかかれません。芽を出すためには様々な壁があるようです。例えば、公園など人が立ち入る場所の地面は踏み固められて、水分を吸いづらいとか、そうでない場所でも、落ち葉に邪魔されたり、動物に食べられたりしてします。水が吸えても、周りの木が日光を遮って育たないということも多くあります。発芽まで生きられる割合は、なんと1%にも満たないといいます。

 道端に落ちているどんぐりを、まるで宝物のように大事にポケットにしまう子がいます。でも、忘れられたどんぐりが洗濯機の中を泳ぎ回って怒られた、あるいは怒ったなんて経験もあるはず。