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校長室から
365 緑の指(24.2.20)
NHK出版『趣味の園芸』(Eテレ放送)という雑誌があります。季節を感じる素敵な植物や室内グリーン、庭づくりのヒントなどをレクチャーしてくれます。その中に、稲垣吾郎さんの「グリーンサムへの12か月」というコーナーがあって、園芸名人へと変貌するため様々な挑戦を毎年人をかえながら紹介しています。
ホームセンターなどの園芸コーナーへ足を運ぶと、色鮮やかで賑やかさに溢れ、見て回るだけで気分がウキウキしてきます。店頭だけではありません。第八中に向かう側道脇の家では河津桜と思われる桜が、今まさに花開こうかといった状態を見かけました。暖かい日が続くので、きっともう咲いたかもしれません。来客が予定されていた先日は、校長室に水仙を5~6本摘んで生けました。芳香を放ちますが、どうも糞尿のような臭いにも感じられ顔を背けたくなります。しばらくして、水仙の種類が違うことが判明。改めて摘み直して飾ったことは言うまでもありません。同じ日、敷地内では造園業者が樹木の剪定を行っていました。学校職員では対応できない樹木を2年に一度の頻度で整えてくれます。3月の桜開花に向けて花芽を膨らませる枝を伐られてしまわないように、事前にお願いしておきました。
さて、「緑の指」ってわかりますか?「園芸上手」を指す言葉だといいます。植物を育てる才能を、イギリスでは「green fingers(緑の指を持っている)」と記し、アメリカでは「green thumbs」と表記します。これが、稲垣吾郎さんの「グリーンサム~」がまさにコレ!「thumbs」は親指なので、広大な庭仕事に精を出して植物の色に染まった親指をイメージしているのかもしれません。そんな私は、今にも咲きそうなミモザの枝を1本ずつ手に取って害虫カイガラムシを1匹ずつ潰して退治!気の遠くなる作業でした。その指は、ネバネバした虫の体液で茶と黄ともつかない複雑な色に染まり…。
モーリス・ドリュオン作、安東次男訳『みどりのゆび』(岩波書店)には、枯れかけた植物を蘇らせたり見事な花を咲かせたりする、不思議な指を持つ少年が登場します。自分の頭で考えること、自ら行動すること、自分にできるやり方で周りに希望を与えることなど、生きるうえで大切なことを思い出させてくれる物語です。