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校長室から

145 もっともっと(1/19)

 朝、家を出るときの明るさが増して、明けるのが少しずつ早くなってきたことを感じます。

 ある曇り空の朝、「今日は寒そうだね」と言うと、「ヒィーテンナイシ~」と返ってきます。何語ですかと思うでしょうが、さすがに30数年一緒にいるとすぐにわかります。「今日は、陽(ひ)が照んないし、きっと寒いだろうね」と言っているのです。「家族だからこそ伝わる言葉」「その家独特の言い回し」がきっとあるのではないでしょうか。

 先日、新しいウクレレを買ってしまいました。3本目です。「手が2本しかないのに、ウクレレばかり増やしてどうするの!」と呆れられています。でも、現在所有するものとは違った響きに心浮き立ちます。まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のような気分とでも言いましょうか。

 最初1年半通ったウクレレ教室の先生は、私が初心者でしたから目標がわかるように指導してくれました。30分レッスンですから無駄なおしゃべりは一切ありませんし、質問できるような余地というか話しかけることすらできませんでした。「もっとコミュニケーションをとりながらやりたい」というのと「ソロ演奏に挑戦したい」という希望から、教室を変えて1年近く経ちます。現在は、疑問や希望を自由に口にできてそれに対して的確な回答がもらえます。でも、進むべき方向が示されず私次第といった感じです。「こうしたい」と言えばそれに寄り添ってくれますが、初心者を抜け出せない自分がもっとステップアップしていくためにどうしたらよいのかが見えてきません。費用は決して安くないからこそ、この先どうするか悩んでしまいます。

 学校や教室も似ていないでしょうか。程度の差こそあれ、もっとできるようになりたいと願う子供は少なくないはず。そうした願望を秘めた子供たちに指導方針や進む方向性が伝わるか否か、教職員と話がしやすいか否か、一緒に創り上げていく感覚を共有できるか否か、大事なポイントです。個に応じて適切な目標設定と支援・指導ができるように私たちも日々学び続けることが求められていると思います。