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2023年1月の記事一覧

152 技術は進歩しても…(1/30)

 6年生の卒業アルバムのゲラが出来上がったので見せてもらう機会がありました。個人写真はみんなよい表情をしています。私の時代は集合写真だけでした。学習場面や運動会、修学旅行、ホワイトスクールなどの行事のページもあります。担任は、「どの子が何回写っているか」をチェックして不公平感を生まないように配慮しますが、これが結構大変な作業です。でも話を聞くと、去年と違ってAIが顔認証で写真全体の中に登場する回数をカウントしてくれるようになったといいます。加速度的な技術の進歩に驚きを隠せません。

 さて、先週の昼休みに「校長先生に相談したいことがあります」と言って訪ねてきた5年生の児童がいたので、校長室のソファに座って話を聞きました。なかよし広場には昔、今よりももっと遊具があって楽しかったそうです。だからまた、以前のように遊具を増設してほしいという訴えです。「僕は筋力がないので、楽しく遊びながら力をつけたい」ともつけ加えてくれました。吟味する価値がありますが、変な期待を抱かせてはいけないので、具体例を挙げながら難しいかもしれないことも伝えました。ただ、単身で校長室へ要望を伝えに来た勇気は大いに称賛に値すると話したのです。

 また、その数日後に4年生4人から「聞いてほしいことがあります」と声をかけられました。インターネット上で放映される企画に応募したいので、その計画書を見てほしいから時間のもらえる日はあるかを問われましたので翌日の昼休みを設定。一通りの説明を受けて、クリアしなければならない課題を3~4つ提示しました。ハードルは高いかもしれませんが、食いついていこうとする表情がとても素敵です。

 たった二例ですが、とても嬉しく思います。思っても行動できない、ましてや目上で立場ある人間にそれを訴えるなんて並大抵の覚悟ではできません。勇気をもって行動に移したそのこと自体に価値があり学びがあるのだと私は思いますし、そんな子たちがたくさんいて、私が悲鳴を上げるようになることをある意味期待しているのです。

 この子たちが来年度の高学年です。様々なアイディアを秘めている子もいるでしょうからとても楽しみです。卒業アルバムだって、今以上に自分たちの思いが反映されるかもしれませんし、写真選びや写っている回数のカウントを自分たちでやってしまうかもしれません。

151 失敗を恐れず(1/27)

 先週、5年生が家庭科でお茶の淹れ方の実習をしていました。ガスや沸騰した湯などを扱うため、火傷には十分注意をしながら進めなければなりません。子供は予期しないような行動をとることがあるからです。順序だてて水や茶葉の量、濃さを均等にして注ぐことなど指示して、いよいよお茶を飲む段階です。ん?茶碗に鼻を寄せて匂いを嗅いでいる子がいる!あらら?苦くて顔をしかめている子があちらこちらにいる!そういう子に尋ねてみると、普段から日本茶を飲みなれていないようです。もしかすると、家には急須(土瓶)といったものがなく、お茶を飲む習慣がないのかもしれません。あるいは、湯を沸かしたり、茶葉を保管したり、淹れた後のいらない茶葉を捨てたりする手間を考えるなら、ペットボトルで十分と考えるかもしれません。ペットボトル茶は万人向けですから苦みは抑えられていますから。ずっと昔、ペットボトルのお茶や水が売り出されたときには、「売れるわけがない」と高をくくっていましたが、今や清涼飲料水より売り上げは上位を占めますからびっくりです。

 さて、教頭先生から借りた本の中に、こんな一節がありました。

 私たち指導者の役目は「失敗しないように導く」のではありません。失敗を恐れず踏み出せる子、失敗を糧にできる子を育てること。なるほどねと耳を傾けられる大人たちがいる空間を、人材育成の現場でつくり上げていく。(略)

 学校教育でも大事にしたいことです。児童生徒の指導のベースには、対等な関係性の中で多様性を認め合える教職員がいてこそなのだと思います。

 お茶を淹れたり包丁を握って料理をしたり、洗濯したり畳んだり、子供が家庭でできることは様々です。でも、教えすぎたり、危ないからといってやらせなかったりすることはないでしょうか。失敗イコール事故やケガとは限りません。野菜の切り方がちょっと変でも服のたたみ方が自分のやり方とは違っていても、やろうとしたことや実践したことを認めてあげられる安心な空間を家庭にも学校にも作りたいと思います。自分への反省を込めて…。

150 開花、結実を待つ(1/26)

 手袋をしているのに指先に痛みを伴う感覚の今朝の寒さ!久しぶりです。

 先週、大和田小で5時間目に授業公開があるというので出かけていきました。学校に戻るときに1年生とすれ違います。コートを着た私が手を振るとキョトンとして、しばらく経ってから気づきます。「えっ、何で?」と問われもします。校外を校長が歩いているなんて思いもしないのでしょう。もしかすると、校長は学校に住みついていると考えている子がいないとも限りません。

 さて、何年も前に野菜作りのために畑を借りたことがあります。ナスやキュウリ、オクラなど何種類かの苗を植えて育てました。自宅から車を使わないと行けない場所だったので、頻繁に足を運べません。しかも、元雑草地だったため土壌があまりよくなかったことも手伝って、ほとんど収穫がないまま契約を解除しました。

 だから、自宅で育てる野菜や果樹は成長が手に取るようにわかって楽しい。ただ、今年はレモンの実りが芳しくありません。柑橘類は隔年で豊凶が繰り返されるようで、今年は「凶作」の年回り。数種類あるうちの1つは超小ぶりですし、別種は4個しか実りませんでした。そうはいっても、自分で育て収穫した果樹が食卓に乗るのは格別です。キンカンも甘くておいしいようで、鳥と共生しています。先日は、学校で実った柿をベランダで干して作った干し柿をいただきました。比較的小さめでしたが、素朴な甘さがあり、手作り感を味わえました。

 家のカーテン越しに陽光を浴びたセントポーリアがもうすぐ咲きそうです。トイレの窓辺のシクラメンも蕾をピンク色に染めています。子供たちが育てている秋植えの球根は、土から顔を出し始めようかといった段階。「昨日雨が降ったから、今日は水をあげなくてもいいんだよ」と教えてくれた1年生。丹精込めて育てた植物が芽を出し、花を咲かせたときの嬉しさは、果樹の収穫にも劣らないくらい嬉しいはず。寒さが厳しい時期に土の中で育っていく球根を慈しむ子供たちのように、私たちもまだ芽が見えなくても子供たちは着実に育っていると信じて水やりを続けていきます。

149 始める、そして続ける(1/25)

 今朝、学校近くの高架脇を歩く私は身長4m以上!そう、影の長さです。キンキンに冷えた朝も、朝陽がまぶしいというだけで気分は上々。不思議です。

 最近、インスタグラムを見ているとリアルな色鉛筆画が登場します。ポテトチップなどのパッケージが本物と見間違うほどの精度で紙に描かれています。上から見るとまさにそこにあるように見えますが、その上に鉛筆を転がすと平面であることが確認できます。フェイクの画像や映像が氾濫していますので、本物かどうかは定かではありませんが、「色鉛筆でリアルな絵を描きたい」と思ったのは本当!娘が残していった入門書のような書籍を引っ張り出してぺらぺらとめくってみました。ただ、ここからが自分らしいというか最大の欠点なのですが、描きたいと思って本まで手元に置き、目の前に24色の色鉛筆があるのに、放っておいて行動に移せない!

 少し前まで校長室前廊下に掲示しておいた、「したい人1000人、始める人100人、続ける人1人」という言葉があります。う~ん、始める百人にもなれない自分が嫌になります。でも、ウクレレは続いているからいいかぁ、と言い訳するのも悪い癖。

 さて先週1月17日、「阪神淡路大震災」から28年が経ちました。つまり30歳未満の人は全く記憶にないわけです。「東日本大震災」からもまもなく12年です。これまた、小学生以下は経験していません。戦争に関しては80歳でも記憶がない過去の事実と化しています。自然災害や戦争などを経験して教訓を得ても、それらが実感を伴って継承されない限りは風化の一途。6年生が聞いた戦争被爆体験者の話や4年生以上が社会科で学ぶ内容、3月の市川市防災の日における学校での取り組みなどを通して、思いを伝え続けていくことが大事です。

 色鉛筆画は「始める」前に挫折しても、戦争や災害の悲惨さ、そこから立ち上がってきた人間の営みを伝え、考えていくことは「続けて」いきます。戦争や災害は過去の出来事ではなく、私たちの目の前に突き付けられている現実なのですから。

148 いつか思い出す(1/24)

 この場を借りて食べたいものをつぶやくと、準備してくれることが2回続きました。年末の「そろそろすき焼き食べたい」の一言は、1月2日に実現しました。ただし、新年早々「今年はこれが最後ね!」と念押しの一言が添えられたのは言うまでもありません。そして、鏡開きの日に書いた「焼き餅を入れたお汁粉を食べたい」に至っては、その日のうちに食卓に上りました。茶碗に盛られたご飯の量が少ないなぁと思っていたら、最後に出てきたのです。我が家の女神様に見えました。これに味を占めた私は、次は何をつぶやこうかと画策中!

 さて、今日から30日まで「学校給食週間」となっており、学校ではそれにちなんだメニューが提供されます。その由来は、1947(昭和22)年12月24日まで遡ります。まだ戦争の足跡を残す当時、東京都内の小学校でアメリカからの給食用物資の贈呈がありました。この日から東京都・神奈川県・千葉県で、試験的に給食が始められました。よってこの日が「学校給食記念日」となりました。でも、冬休みに入ってしまうため、この1か月後の1週間が「学校給食週間」となったのです。私の場合、教室にある煙突式のだるまストーブの上に水を張ったたらいを乗せて、ビン牛乳を温めて飲んだことは冬の懐かしい思い出。先生が持ってきてくれた干し芋も温めて食べた記憶。古き良き時代を懐かしみます。

 懐かしいといえば、日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』の第2話にそんな場面がありました。1997年頃、女の子の多くが持っていた「シール帳」が登場します。フエルトシールなどを交換する姿が、当時担任をしていた子供たちと重なります。またその数年後、「プロフィール帳」が流行りました。クラス内で交換しあったり先生に持って行ってお願いしたりする姿があちこちで見られたものです。娘の姿ともかぶってしまう一場面でした。

 今流行っているものだって、全然違うものに変わって懐かしく思う時がくるのです。ちなみに、それが何なのかがわからないので、聞いてみることにします。もしかすると、1周回って昔のものがリバイバルなんてことも?