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151 失敗を恐れず(1/27)

 先週、5年生が家庭科でお茶の淹れ方の実習をしていました。ガスや沸騰した湯などを扱うため、火傷には十分注意をしながら進めなければなりません。子供は予期しないような行動をとることがあるからです。順序だてて水や茶葉の量、濃さを均等にして注ぐことなど指示して、いよいよお茶を飲む段階です。ん?茶碗に鼻を寄せて匂いを嗅いでいる子がいる!あらら?苦くて顔をしかめている子があちらこちらにいる!そういう子に尋ねてみると、普段から日本茶を飲みなれていないようです。もしかすると、家には急須(土瓶)といったものがなく、お茶を飲む習慣がないのかもしれません。あるいは、湯を沸かしたり、茶葉を保管したり、淹れた後のいらない茶葉を捨てたりする手間を考えるなら、ペットボトルで十分と考えるかもしれません。ペットボトル茶は万人向けですから苦みは抑えられていますから。ずっと昔、ペットボトルのお茶や水が売り出されたときには、「売れるわけがない」と高をくくっていましたが、今や清涼飲料水より売り上げは上位を占めますからびっくりです。

 さて、教頭先生から借りた本の中に、こんな一節がありました。

 私たち指導者の役目は「失敗しないように導く」のではありません。失敗を恐れず踏み出せる子、失敗を糧にできる子を育てること。なるほどねと耳を傾けられる大人たちがいる空間を、人材育成の現場でつくり上げていく。(略)

 学校教育でも大事にしたいことです。児童生徒の指導のベースには、対等な関係性の中で多様性を認め合える教職員がいてこそなのだと思います。

 お茶を淹れたり包丁を握って料理をしたり、洗濯したり畳んだり、子供が家庭でできることは様々です。でも、教えすぎたり、危ないからといってやらせなかったりすることはないでしょうか。失敗イコール事故やケガとは限りません。野菜の切り方がちょっと変でも服のたたみ方が自分のやり方とは違っていても、やろうとしたことや実践したことを認めてあげられる安心な空間を家庭にも学校にも作りたいと思います。自分への反省を込めて…。