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2024年9月の記事一覧

471 洒落っ気(24.9.11)

 福岡県にある会社が世に送り出す製品の名前がとてもユニークです。義理と人情を経営方針にする産業機械メーカーで、農林業や土木分野の作業車・運搬車を製造販売しています。自分たちが作った機械に愛着が持てるようにと考えられたネーミングは、「草刈機まさお」「安全湿地帯」「芝耕作」など、知っている人ならクスッと笑えます。顧客のニーズや心に潜む声を拾って開発されているので、使う人の身になっていて使い勝手が抜群だと評判なのだそうです。

 一方、「殺気」(ころっけ)、「熱中症」(ね、チュウしよ?)、「姿」(じじょ)、「背中」(はいちゅう)、「小川」(ちいかわ)、「助手」(たすけて)、「ほうかごに友達と遊ぶ」(放火後)、「ゆでたまごを食べる」(茹でた孫)…。これらは、実際にあったテストの珍解答らしいです。洒落っ気や遊びゴコロが感じられます。採点者が赤ペンで添える粋なコメントがあれば、両者の距離感がぐんと縮まるような気もします。6年生の教室廊下に、漢字50問テストをわざと間違えた答にして貼ってみました。気づいてくれたようですが、意味の通じる誤解答ってすごく難しい!フル回転させた数十分でした。

 さて、こんな小噺のような会話もあります。電車に乗っていると、おじさん二人が何やら話をしています。A「俺の会社、ブラックなんだよな~」 B「えっ?色があるだけいいじゃないか」 A「ああ、お前はむしょくか」というもの。実際これは困りものですが、日常の中の笑いは気持ちにゆとりを生み出すと思うのです。

 シルバー川柳もユーモアがたっぷり。「改札を 通れずよく見りゃ 診察券」、「LED 使い切るまで 無い寿命」、「恋かなと 思っていたら 不整脈」。どれも笑えるけれど痛々しい?!

 今日は修学旅行2日目。ホテルやバスの中、6年生が帰宅した家、そして平田小のどの学級でも、明るく笑いがあふれる一日でありますように!東照大権現様、よろしくお願いします。

470 本当に必要なこと(24.9.10)

 パラリンピックが終わりました。車いすラグビーでは、悲願の金メダルとなりました。オリ・パラともに、柔道選手の活躍が記憶に新しいところですが、開催国のフランスも柔道大国として知られます。競技人口は日本の4倍以上で、小学校では柔道が必修科目となっている学校も多いそうです。そして、競技人口の4分の3が日本でいう小学校高学年の子供だというから驚きです。元サッカー選手のジダン氏やNBAフォーニエ選手なども、子供のころに柔道をやって、体の強さや転び方を覚え、専門種目に移っていくというように、独自の強化策となっています。また、道徳の一つとしても確立しているようで、様々な可能性を秘めた子供たちに本当に必要なことって何なのかを改めて考えさせられます。

 小学4年生の時の担任は、今思い返すと社会科を専門にしていたようです。同窓会グループラインでは、社会科のレポートで苦しめられた思い出が語られました。様々な資料から仮説を立てたり証明をしたり、4年生には高すぎるハードルを越えるように求めていたようです。おそらくその先生が考える「将来必要となる学力」だったのかもしれません。だからか、NHK教養番組やドキュメンタリー番組を観ることも宿題でした。その一つが『明るい農村』。1963(昭和38)年にスタートして、22年間続いた番組。高度成長期真っ只中において抱える農業の課題や食の流通などが取り上げられて、視聴率15%以上もある朝の定番でした。でも毎朝視聴してから登校なんて、私には無理でした。

 もう一つが『新日本紀行』です。こちらは月曜夜放送で、1963年から約19年続いた本格的な紀行番組だったようです。きちんと観ていなかったので、冨田勲さんのテーマ音楽くらいなら、聴けばおぼろげながら…。先生!全然身につきませんでした、ごめんなさい。

 今日から1泊で日光修学旅行です。昨年は12月中旬にスライドしたため、どこも貸し切り状態でした。今年は紅葉にはまだまだ早いですが、東照宮など巡ってきます。子供たちの心に残る景色や場面は、教員の想うところとは少し違いそうです。それもまたよし!行ってきます。子供たちの様子は、写真でお伝えします。

469 レコーディング(24.9.9)

 アメリカのロックバンド「TOTO」が来日した時、トイレの便器を見たときに感激したという随分昔の話を急に思い出しました。水洗トイレが当たり前となった現在、より清潔で快適な機能が求められているようで、「TOTO」と「INAX(リクシル)」の2大メーカーがしのぎを削ります。

 WCとかお手洗い、便所、化粧室など、施設や店舗によって表示も様々なトイレ。表す言葉が、なんと千種類もあるというから驚きです。厠(川の上に板を渡して、その上で用を足していた時代の「川の上の小屋」「川屋」が転じた表現)、ご不浄(排泄物は不浄、つまり汚れたものとされることから)、憚(用を足す場所へ行く行為は恥ずかしいと捉えられ、人目をはばかる必要があるから)、雪隠(せっちん)といった古い響きを耳にしたことのある人はいるでしょうが、次の言い方は隠語であるといい、初めて聞きました。

 その一つ目が「高野山」です。高野山の僧侶は、仏門に入るときに髪を剃ることから、「髪を落とす」が転じて「紙を落とす」となってトイレを表すのだそうです。もう一つが「レコーディング」。どういうことかと考えましたが、何のことはなく単なるダジャレ。レコーディングは録音をしますから、「音入れ=おトイレ」となると知って納得です。

 海外のトイレにも特徴があります。中国には、ドアや壁がない「ニーハオトイレ」と呼ばれるトイレが今も残っているといいます。壁に背を向け、通路側に向かって屈んで利用するため相手の顔が見える状態ですから、かなり勇気がいりそう。夢の中で行くトイレも同じで、結局用を足せずに出てしまうのですが、それはそれでよいのかも…。

 たくさん汗をかく夏場は、小用回数の減少が顕著です。ただ、アラートの出るような日のトイレは、暑すぎて入るのが憚られます。まさに、「憚(はばかり)」状態。さらに、座って用を足す場合、腰を上げる時にお尻が便座にくっついて、少し持ち上がるなんてことも。だから夏の快適機能もぜひご検討願います!2大メーカー様。

468 雷鳴が聞こえたら…(24.9.6)

 集団での手遊びに「おちたおちた」があります。園児にもできますしキャンプファイヤーでも行われる簡単なゲームです。リーダーが言う言葉に合わせて、みんなが決まったポーズをして楽しむもの。落ちるものは「りんご」「かみなり」「ゲンコツ」の3つで、それぞれ手を出して受け取ったり、へそや頭を守ったりするという決められたポーズをとるのがルール。

 でも現在、親や先生からゲンコツで頭を殴られれば虐待・体罰とされますからゲンコツが振り下ろされる場面を目にすることは滅多にないでしょう。また、雷鳴轟く日が少なくありませんが、雷が鳴っておへそを隠す子がどれだけいるでしょう。特に、雷鳴でへそ隠しする行為の意味を知る子はいないのでは?

 諸説ありますが、雷が鳴ったりゲリラ豪雨がやってきたりするときは空気がひんやりします。雷を発生させる積乱雲から吹く冷たい風です。そこで、お腹を冷やさないように子供たちを戒めるため、「雷様がおへそを取りに来る」と昔の人は言ったのです。へそを取られては大変なので、シャツをズボンに入れて隠したり手で隠したりしたというわけです。

 腹巻だって腹を冷やさない有効な手立てです。バカボンのパパやフーテンの寅さんはその代表的な存在です。私も寝ているときにお腹を冷やさないように、子供のころ腹巻をしていました。今でもパジャマの中にシャツの裾をインするのは、昭和の定番を引き継ぐ名残りかもしれません。でも、それを笑う妻!

 昭和の定番といえば、旅行の思い出にお土産に買ったペナントもその一つ。二等辺三角形の旗は、どこの土産屋でも扱っていました。当然、修学旅行でも買い、部屋の壁に画鋲で飾ったのは言うまでもないこと。また、山へ行けば金属製のピンバッジを買って、帽子の横から後方までを囲むように取り付けました。引率して日光へ修学旅行に出かけたことは20回を下りませんが、記憶を遡っても土産物店でペナントなどを見かけたことはないと思います。

467 唐揚げとビール(24.9.5)

 朝が過ごしやすくなった今週は、ずっと腰痛に悩まされています。左臀部や大腿部から腰にかけて痺れるような痛みも走ります。歩くには支障ありませんが、洗面やトイレでの着座、ズボンの着脱などに一苦労。靴下を履くだけでも優に1分はかかりますし、寝返りも慎重になります。修学旅行までには…。

 さて、長期休業中の職員の飼育当番が私は嫌いでした。空腹からか人恋しさからかわかりませんが、ニワトリが狂暴になるからです。餌をもらえると思うや一気に集まって足を突きます。餌皿を地面に置こうとすると、「ちょっと待て!」という声を無視して、猛然と襲いかかるのですから恐怖以外何物でもありません。でも、金網越しに聞こえる幼子二人の「がんばって!」の声に勇敢な姿を見せようと必死だったのを思い出します。

 家の近くの小学校には歩道沿いに鶏小屋があり、4羽のニワトリが飼育されています。この小屋の金網に、おやじの会をはじめ学校協力団体のポスターが何枚か貼ってありますが、その中に駅前の唐揚げ専門店のポスターもあるではないですか。鶏小屋に鶏唐揚げ店の宣伝って…、気になりだすと凄く複雑な心境です!

 唐揚げに合うのが夏のビールで、最高においしい!何杯でもいけそうですが、身体と家計がそれを許しません。たまに自分へのご褒美と称して飲む「SPRING VALLEY サマークラフトエール」が特にいい!夏限定で、トロピカルフルーツのような香り。ちょっとお高いですが、このシリーズは裏切りません。(※どれも個人の感想です)

 ところで、家で飲むビールが瓶だったのはいつまででしょう。近所の酒屋からケースで配達でした。1980年代前半の缶ビールの比率は一桁台でしたが、1995年には瓶を逆転しています。その頃からなのか缶に切り替えたことで、空き瓶ケースのスペースを心配しなくてよくなりました。先日の懇親会で、久しぶりに瓶ビールを持ってお酌してまわりました。そういえば、別の日にある店の冷蔵ケースに瓶のコカ・コーラを見つけたときも不思議と嬉しい気持ちになりました。

466 傘(24.9.4)

 夏休みに人間ドックを受診しました。ここ数年、市の集団検診で済ませてきましたが、病気の巣窟みたいな体なのでしっかり診てもらわないということで…。以前の病院とは異なるからなのか、時代の流れなのかは不明ですが、着替えるとタブレットを渡されます。空いている検査室へ誘導してくれて、呼び出しもタブレット上に表示されます。前はどこの検査室から呼ばれるかわかりませんし、難聴の私は名前を呼ばれたことを聞き逃さないように、神経をすり減らす数時間でした。でも、今回はストレスフリー!また、内視鏡検査(胃カメラ)を初体験。不安で押し潰されそうだったにもかかわらず、終わったことすら気づかない有様。鎮静剤投与しさえすれば、バリウム検査より絶対オススメかも。

 さて、雨の日に人がすれ違う時は、双方が傘をさして自然とぶつからないような所作をするものです。一方、日光を遮るために日傘を目深にさす人を見かけますが、これが厄介!紫外線を少しでも避けようと目深に差すので前方がよく見えないためか、顔の脇を傘の端が擦るように通ったり、肩にぶつかったりすることもあります。自動車・自転車の運転同様、前・後方の確認は怠らないようにしてほしいものです。

 こうした傘は、平安時代ころに中国から伝来しました。高価だったので権力の象徴でもあり、貴族や高僧のために従者が日除け・魔除けのために差し掛けていたのです。また、開いたままで閉じることができない仕組みでした。日本で最も古いものは、民話『かさじぞう』でお地蔵さんの頭に被らせて雨雪を凌いだ「笠」かもしれません。ただ、和傘に至っては、「番傘」や北原白秋の『あめふり』で歌われる「蛇の目傘」、「端折傘」が広く知られていますが、雨傘として一般の人々に広まったのは、江戸時代中期とされています。香取市佐原地区で製作される「佐原傘」は千葉県の伝統工芸品になっています。

 ビニール傘が登場したのは1958年。その数年後の東京オリンピック観戦のために来日していた外国のバイヤーの目に留まり、ニューヨークでヒットして世界に広がりました。そして現在!来客用玄関には十本近くあって、どれが誰のものかわからない状態ですし、強い雨風の後は、路上に無残な姿で置き去られる様が痛々しく不憫です。

465 ごはんのおかず(24.9.3)

 車で出かけて、遥か彼方であっても水平線や白い波が見えると「あっ、海だ!」と、自然と声が漏れてしまいます。周囲を山で囲まれた道を走れば旅行気分に浸れるのと同じように、海が見えると泳ぐわけでもないのに高揚感に包まれるのが不思議です。あぁ、最後に水着を着たのはいつだろう?もう海で泳ぐことなんてないのだろうなぁと思うと一抹の寂しさが…。

 たまに行くラーメンチェーン店は早くて安いので、簡単にお腹を満たすならちょうどよいのです。でも、ある日その前を通りかかると、内装が取り壊されている最中。結構客が入っていたように思いましたが、つぶれてしまったようです。最近はロボットが料理を運んでいました。人件費削減とはいえ、人間が行うサービスは期待できなくなります。無機質で充足感がありませんから、安いだけなら「ここじゃなくてもいいか」と心満たされず客足が遠のく原因になったのかもしれません。2か月後の今週末、やっぱりそこにはラーメン店が開店。

 さて、ごはんやパンの主食に、「おかず」がテーブルに副えられます。この「おかず」ってどういう意味か考えたこともありませんでしたが、ある時、ふと疑問を抱いたのです。「おかず」とは、副食や惣菜のことで、食事の献立の中で主に米飯の主食に付け合わせて食べる料理全般を指す言葉と説明があります。主食の周りを囲むようにして置かれて、古くは「御回り」「御巡り」と呼ばれたことからもイメージできるように、「おかず」は主食を囲む程度の品数が必要になります。つまり、「数を取りそろえる」を語源として、漢字では「御数」と書くようです。「おでん」「おから」「おはぎ」「おじや」「おかき」「おこわ」「おむすび」などと同様、室町時代に使われた言葉だそうです。

 昨日の始業式では、涼しい体育館で「いのち」「今ここにいるだけで素晴らしいこと」について、画像や詩を交えて話しました。そんなかけがえのない存在である子供たちが一生懸命取り組んだ夏休みの作品が、校内のあちこちで見られるようになります。数ある力作を「おかず」にしながら、子供たちの2学期のスタートをしっかり目に焼き付けるべく校内を「御巡り」します。

464 オリンピック精神(24.9.2)

 ある日、翌日の天気予報をスマホで確認すると、居住市の最高気温が40℃と表示されています。こんな数字を初めてです。そんな酷暑の夏休みは、様々なスポーツの熱い戦いに始まり、そしてパリオリンピックや甲子園大会の余韻、パラリンピック開幕の中終わったような気がします。特に、8月の声を聞くと駆け足に時間が過ぎていき、宿題はないものの気持ちが焦るのは大人も子供も関係ないようです。

 高校野球千葉県大会決勝は、タイブレークの延長10回の攻防にモヤモヤを残した試合でした。五輪開幕前に行われたサッカー予選は3連勝。続く準々決勝のオフサイド判定には様々な意見が飛び交いました。それでも木村選手は大活躍。日本最初の金メダルは、柔道48キロ級の角田夏実選手。八千代市出身なのでLineのグループメールでは大いに盛り上がりました。一方、2連覇を果たした阿部一二三選手を、将棋の加藤一二三棋士の愛称「ひふみん」と呼ぶ者がそばにいるから紛らわしい!

 さて、岸本佐知子さんの著した『ねにもつタイプ』という本に、「裏五輪」と題したエッセイがあります。いきなりオリンピックが嫌いだで始まります。朝から晩までオリンピックばかりになることやメダルの獲得数に固執することを理由に挙げ、そもそもスポーツが嫌いだと言うのです。例えば、レスリング競技を“互いの体の臭い部分を無理やり嗅がせあった”のが起源に違いないとする発想には笑いがこぼれます。

 オリンピックが始まる前のメダル獲得への期待と結果のギャップは、報道の取り上げ方に顕著に表れます。メダルを取った選手はヒーロー・ヒロインとなってTV画面に連日映し出されます。マイナーな競技にもスポットが当たります。逆に結果が伴わないと、「芸能人格付けランキング」よろしく、映す価値がないかのように存在自体亡き者にされがちです。胴上げしておいて手を放したようなもので、失礼な感じ。ぜひとも、メダルにこだわりすぎた番組構成はやめにしてほしいと思います。

 だから、冒頭の岸本さんが提唱するメダルも金・銀・銅はやめにして、一位どんぐり、二位煮干し、三位セミの脱け殻とかにする意見に大賛成!そうすれば、勝ち負けにこだわること自体馬鹿げて思えて、「参加することに意義がある」というむか~しのオリンピック精神に立ち戻れるのでは…。

 さて、2学期スタートの今日は予想に反してよい天気。子供たちの胸にどんぐりや煮干し、セミの脱け殻を見つけようと思います。