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校長室から

242 ターニングポイント(23.6.24)

 20代の頃は、機会は多くないまでもワインといえば飲みやすい「白」を選んだものです。今は「赤」一本で、たま~に白を飲むことも。ただ様々な種類あれども味の違いはよくわかりません。だから高級ワインだろうか廉価品だろうが飲めることがうれしいだけ…。

 そういう意味で、各分野のソムリエは尊敬に値します。ワインに関していえば、その第一人者は日本ソムリエ協会の田崎真也会長でしょう。1995年には世界最優秀ソムリエコンクールでも優勝しており、5月に行われたG7広島サミットの飲酒を監修しました。

 この田崎さんは、興味を持ったことにはまっしぐらだったといいます。小学校では昆虫学、中学校では海洋研究に夢中で、工業高校に進学したものの海への夢を捨てきれずに船乗りを目指しました。海員学校時代のアルバイトで作ったナポリタンを食べた客から「ありがとう」「ごちそうさま」と言われた時の気持ちが忘れられず、料理人を目指すターニングポイントになったそうです。フランス料理の世界でもう一つ夢中になったのがワインで、勉強のために単身フランスに渡ったのが第2のターニングポイントです。釣り歴50年以上で、魚を愛してやまないワインソムリエであり料理人。単に成功の上に立つ人のように思ってしまいますが、いろいろなことに興味関心を持ち、熱中して全力を注いできたからこそ今があるのだとあらためて思い知らされます。

 人それぞれにターニングポイントがあり、選択を迫られます。ある新聞には、やくざから弁護士になった人の取材記事がありました。この人にも転機があったわけですが、選択肢を増やすためは最低限の知識や技量、そして一歩踏み出す勇気が必要です。私たちが学ぶ意味は、「新たな力を身につけ、身につけたその力によって新しい世界を広げること」だと思います。「自分の今ある力を使ってアクションを起こし、そのことで人が喜ぶ姿を喜べるようにすること」と言い換えることもできそうです。ターニングポイントなんて仰々しいものではなく、日々の気の持ちようなのかもしれません。よって今がその転換点かも…。

 今日はオープンスクール。といっても2コマの授業参観です。これに先立って2時間目の時間帯にPTAによる除草作業があります。先日はプール掃除にも力を貸してくださった方がいらっしゃいます。今日もよろしくお願いします。

241 とりとめもないこと(23.6.23)

 朝の安全指導を終えて戻る際、校庭にある「ひらた山」近くのネットに沿うようにヤマモモの木があることに今頃気づきました。しかも雌木ですからたわわに実をつけています。一つ摘んで口に放り込むと甘酸っぱさが広がります。熟しているので手にも赤紫色の果汁が垂れています。昼休みに、数人の子供たちに勧めると、びっくりした顔。「本当に食べられるの?」と半信半疑な様子です。でも食べてしまえば「うんま~」なんて声も出るくらい。まさに今が旬!ある子には、サルビアの花の蜜を吸うことができることも教えてあげました。まさかアレルギー反応はないですよね。

 1年生のひらがな練習プリントを見る機会がありました。一文字ずつ例があって練習します。「や」の場合、「やさい」「やきとり」など。「やかん」という文字と絵がありますが、「やかんって何?」と尋ねられました。薬缶がない家庭も多いのでしょう。ましてやお茶を淹れて飲む習慣がなければ、急須なんて見たこともないかもしれません。知らないことがいっぱい。だからこそ、知ることで自分の世界が広がるのだと思います。知らないからといってバッサリと切り捨ててしまうような子供にはなってほしくありません。

 ある日、低学年が虫取り網を持ってバッタなどを追いかけています。やっと捕まえたトンボでしたが、手で捕まえられず助けを求めます。やっと虫かごに入れて得意満面で教室へ戻りました。次の日、「トンボは虫かごでは生きられないでしょ。だから逃がしてあげたんだよ」と、その子がそっと教えてくれました。

 そしてプール開きの日に驚いたこと。高学年が水慣れを始める前に、ラッシュガードを着けている子を数えてみると、男子40人中28人(70%)、女子33人中29人(88%)です。

 何でもないことの中にも、驚きや発見が隠されている新鮮な毎日です。

240 鰭(23.6.22)

 研修会に参加しています。最前列での聴講です。しばらくすると猛烈な睡魔に襲われてウトウトし始めました。自分に鞭を打ちながらも睡魔には勝てず、寝入ってしまったようです。間の悪いことにいびきまでかいていたようで、ふと目を覚ました時に、講師の手元のメモが目に入りました。なんと、私の名前が書かれた脇に「イビキ」という文字が添えられているではありませんか。なんとか取り繕おうと必死になっていました。いやぁー、いやな夢でした。

 少し前から音楽配信でスピッツの『美しい鰭』が流れます。スピッツらしい曲なのですが、「鰭」という字が悲しいかな、読めない!「すし(鮨・寿司)」とは違うし、ましてや「美しい寿司」なんてどんな歌詞になるか想像つきません。こんな時に便利なスマホ。同じように検索をしている人が多いらしく、検索履歴が容易に見つかります。「ヒレ」と読むそうです。「♪流されるまんま流されたなら、抗おうか美しい鰭で…自分でいられるように」と歌います。鰭はそんなふうに使われるのねと、安易な納得をしてしまうから情けないです。

 5年生の理科「メダカの誕生」で、雌雄の見分け方などを学びます。背びれや尻びれの形に違いがありますが、ほとんどの魚には背びれ・尻びれ・胸びれ・腹びれ・尾びれという5つの鰭がついています。どんな役割があるのでしょうか。「背びれ」は中心を保って体が横倒しにならないようにする役目があり、「尻びれ」と「胸びれ」には体の平衡を保ち、かつ前進・後退を促す機能があるのです。「腹びれ」は体を浮かせたり沈ませたりと上下運動に、「尾びれ」は水中を前進する推力となり最も大切な部分です。

 そんな中で、鰭の美しさをイメージしてみます。色よりも動きの優雅さが浮かびますが、テストでメダカの雌雄判別のひれの名称を「しびれ」と解答する子も。きっと尻びれと書きたかったのでしょう。それとも、しびれるほどの美しさが見られる方が雌(雄)なのかもしれません。

239 暑さ対策(23.6.21)

 ネッククーラーをプレゼントしてもらいました。冷蔵庫で冷やしたものを首に着けて出勤。ひんやり気持ちよいのですが、暑さが和らぐわけではないようです。上手に使いたいと思います。

 昔の番組『ひらけ!ポンキッキ』を急に思い出しました。代表するキャラクターといえばガチャピンとムックですが、誕生して50年が経つといいます。その後、『ポンキッキーズ』に変わってからも、安室奈美恵さんや鈴木蘭々さんを輩出してきました。

 このガチャピンは南の島の生まれで、恐竜の子供。決してイモムシではありません。一方ムックは、北極の近くで生まれて暑さにめっぽう弱いのです。頭のプロペラは、回して体を冷やしたり気持ちを落ち着かせたりするらしく、飛べるわけではないようです。ともに4月2日生まれの5歳児という設定ですが、50年経った今も永遠の5歳なのでしょうか。このガチャムクが昔、大町少年自然の家近くに来るというので子供を連れて見に行ったことが思い出されます。同じ学校の同僚が子供を自転車に乗せて連れてきていて、ばったり会うといった偶然もありました。

 さて、風呂に入ろうと下着を脱ぐと、パンツにゴミのような白い破片が付いています。指でつまんで取ろうとしましたがうまくいきません。持つ角度を変えるとゴミの色が変化します。不思議に思ってよく見ると、穴が開いていたのです。なぜこんな場所に穴が開くのだろうという場所ですが、即ゴミ箱へ。そんなパンツを膝まで隠れるロングタイプに切り替えて既にひと月近く。暑くなると汗で、階段を上る際にスーツが膝にくっ付いてしまって歩きにくいことこの上ない!間にパンツという布が入るだけで膝がサラッと動きやすくなるのです。

 暑さに弱いムックも何かしら対策をとっているのでしょうか。そんなことより、現実的に夏の被り物は極めて辛いのではないかと…。

238 算数・数学って面白い(23.6.20)

 職員トイレの排水が悪いので業者に見てもらいました。内部の排水管は直ったのですが、屋外の排水桝が汚泥でパイプの半分をふさいでいる状態。暗くなっていたので、日を改めての作業とするため蓋を閉めようとしました。ほかの場所に点在する蓋は円形であるにもかかわらず、この排水桝の蓋だけは、長方形の重い石なのです。閉めるときに中に落としてしまわないように慎重に作業をしている姿を、何も手伝えずに横で見ていた私。ふと、自分の血管内部は詰まっていないか不安になりました。

 ところで、マンホールの蓋が丸いのはなぜでしょう。ちゃんと理由があります。もし四角かった場合、対角線の長さが一辺より長いことになりますから、蓋を少し回転させただけでその塊は穴の中に落ちてしまいます。これは長方形の蓋でも同じこと。円であることによって回転させても決して落ちることがないから安心です。何気ない普段の生活に隠されている算数・数学です。

 さて、「777+778+779+…+786と順番に10個の数字を並べた和を答えなさい」と言われたら、すぐに解けるでしょうか?ある本を読んで驚いたのですが、すごく簡単!10個並ぶ数字の5番目の数の後ろに「5」を付け加えると、それが答えになるというもの。1ずつ増える数を10個並べた場合ならどんな数でもその法則が適用できるようです。この証明も、読むといたってシンプル。このほか、「1000-342」を「999-342+1」と考えればよいとか、計算テクニックも教えてくれます。

 こんなことが書かれた本『面白くて眠れなくなる数学』(桜井進 著)が、第2図書室のテーブルに立てかけてありました。興味のある所だけつまみ食い読書するなら、高学年でも楽しく読めます。書架に収められているだけだと手に取ることはなかったでしょうが、テーブルに乗っていたらページをめくってみたくなるものです。こんな何気ない工夫をしている図書室。今週末24日のオープンスクールでもご覧になってください。