学校の様子

校長室だより139(公立高校入試 理科 令和6年2月21日(水))

 2024年2月21日、千葉県教育委員会は、令和6年度の県内公立高校選抜入試の理科で、出題文の説明が不十分な問題が1問あったとして、受験した全員に3点を与えると発表しました。私は化学を専門としているので、非常に気になる報道でした。問題は、化学分野の「金属の酸化」に関する大問8の(4)で、解答するには説明が不十分で必要な条件が不足しており、この問題は全員正解扱いとなり、3点が与えられました。問題文は以下の通りです。

(4)実験1で、銅の粉末の質量を5.00gにかえて、加熱した。加熱を途中でやめて質量を測定したところ、ステンレス皿を除いた質量は、5.80gであった。このとき、酸素と反応していない銅の質量は何gか、実験2の表2をもとに答えなさい。

 受検生のみなさんは、この問題を検査中に疑問なく解答されたと思います。なぜなら、中学校の学習では黒色の酸化銅CuOしか学習しません。そして、与えられたデータは表2を使うとありますので、1.8gという解答までたどり着いたと思います。

 しかし、酸化銅は黒色の酸化銅(Ⅱ)CuO(Cu : O = 1:1)と赤色の酸化銅(Ⅰ)Cu2O(Cu : O = 2:1)が存在します。県教委は、この点を問題視しています。「ただし、このときできる銅の化合物は、すべて黒色の物質である」とあれば、問題として成立したはずです。または、県教委がコメントした「このときできる酸化銅は、すべての銅原子と酸素原子とが1:1の割合で結びついた化合物であるとする」という条件があれば、この問題は成立しました。