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553 大人のおもちゃ(25.1.23)
カローラ、サニー、ファミリア、ブルーバードなどは昭和の人気車種。今もその名を残すのはカローラだけですが、父が中古で買ってきた銀色のブルーバード(510型)を乗り回した免許取りたての40数年前を思い出します。学生の私にとって、まさにわくわく感いっぱいの青い鳥だったのです。
当時の車は、現代車のようなコンピュータ制御ではなく、至る箇所が昭和!オートロックなんてありませんから、乗り込んだり施錠したりする際は、ドアごとに鍵を開閉しなければなりません。ドアの鍵穴にキーを差し込んでロックを解除し、キーを回してエンジンスタート。いやいや、寒い日などは、まずはチョークボタン(知らないだろうなぁ)を引いてエンジンがかかりやすくするのです。サイドガラスの開閉はレバーを回す手動ですし、換気用の三角窓までありました。サイドブレーキがスティックタイプだったり、シートベルトがなかったり、パワステではないのでステアリングがめっちゃ重かったり…。エアコンもありませんから、夏は窓を全開、冬は温風のみ。当然のことながら、エアバッグや衝突回避センサー、バックモニターなどの安全装備なんてあるはずもなし。
自宅前のどぶ(側溝)にタイヤを落として、近所の人に手伝ってもらって脱出したこともあります。「土禁(どきん)」といって、車内に土や泥を持ち込まないために、靴を脱いで車に乗り込むのも車好きの間で流行りました。だから時々、脱いだ靴やサンダルが道路に忘れられていることもあったのです。
時代は変わって、EVやハイブリッド化が進んで純エンジン車が追いやられ、先進技術満載の車が続々と生まれています。便利・安全になる一方で、犠牲にされたものもきっとゼロではないはず。行き着くところまで行ってしまった感じはありますが、子供たちが免許を手にする頃の自動車も、わくわくする大人のおもちゃであってほしいと願うのです。それとも、一層クルマ離れが進んでいる?