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100 ねんどの神さま(10/28)

 昨日、5年生の「夢の教室」(児童の様子ブログ参照)で来校した元サッカー選手の波戸康広さんは、現役を退いて10年以上が経ちますが相変わらず格好いい!短い時間でしたが、温かで包容力を感じる人柄でした。

 さて、読書週間に向けて「先生方のおすすめの本」の紹介用紙をもらっています。何にしようか考えて、好きな絵本というかお話を紹介しようと思いました。残念ながら図書室には置いていないというので、別の本にかえますが、ちょっとだけ知っておいてほしいと思って、あらすじを記そうと思います。「ずっこけ三人組」シリーズで有名な那須正幹さんが書き、黒を基調とした絵も重々しい雰囲気を醸しています。

 

 “太平洋戦争が終わって、ちょうど一年がすぎた9月のことだった。”という文で始まります。主人公の健一は、戦争を起こす人間をこらしめるねんど細工の神さまを学校で作ります。健一の親はみんな戦争で亡くなって、戦争を憎んでいるからです。校長先生は、“この作品は、子どもの戦争に対する素直な憎しみが表現されている。”と言ってひどく気に入り、校長室に飾ったのです。何年かして学校は廃校。ねんどの神さまも倉庫に長い間忘れられたままでいました。

 それから40年以上が経ち、健一の作ったねんどの神さまが、身長100mを超えるような巨大な怪物になって突然山村に現れます。自衛隊や様々な兵器で攻撃されますが、びくともしないどころか、どんどん東京へ近づきます。そして、怪物はあるビルの一室に目的の人物を見つけます。それは、兵器会社の社長になっていた健一だったのです。

 殺されることを覚悟した健一に怪物は、“ぼくは、ケンちゃんのつくった神さまなんだよ。ぼくにケンちゃんを殺せるわけないじゃないか。ぼくはね、ケンちゃんに教えてもらいたくって、やってきたんだよ。ねえ、ケンちゃん。もう、ぼくは、いなくなったほうがいいのかなあ。ケンちゃんは、昔みたいに戦争がきらいじゃないみたいだからね。”と尋ねます。これに対して、“わたしは、子どものころとかわりないよ。(中略)わたしの事業は、平和のための事業なんだよ。”と健一は返します。

 最後は、自分の意志で小さなねんど細工に戻った神さまを健一が破壊します。そして、“これで、いい。この数十年、心のすみにひっかかっていたトゲのようなものが、きれいになくなってしまった。”と言い、晴れ晴れした気持ちになるというストーリーなのです。

 切なさの中に、何かもどかしさを含んだラストシーンです。ただ、日本だっていつ戦争が起こっても不思議ではないことを示唆する作品にも思えるのです。大人も考えさせられますし、読み聞かせもありだと思うのです。ぜひ!