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345 消せないから(24.1.22)

 給食室側階段の側面の壁に、11月の人権週間に考えたクラス代表の標語が掲示されています。風景の一部と化して、なかなか気づかれないと思うとちょっと残念です。その中から数作品紹介します。

   みんなの心 大じにしよう いい気もち(1年 S)

   一人じゃない みんないっしょ うれしいな(2年 K)

   友達と ちがう所も いい所(5年 I)

   大切に 人ぞれぞれの 価値観を(5年 U)

   僕の色 みんなの色も 守ろうよ(6年 A)

 学年が上がるにしたがって、老若男女、肌の色や人種、宗教や文化など、違いを認めて尊重しあおうという思いがあふれてきます。これが単なる言葉遊びで終わってしまわないことを願います。

 さて、子供たちが書く手紙やメッセージ、年賀状などのほとんどが鉛筆書きです。きっとこれは、間違えてしまうであろうことを前提にしているからかもしれません。鉛筆であれば、消しゴムで簡単に消せますから。そして、消した跡の残る作品をよく見かけます。

 消しゴムを使ってはいけないと先生に言われて、緊張しまくって文字を書いた経験が小学校低学年のときにありました。市の展覧会に出す視写の作品。2年生の廊下に貼ってあった「きつねのおきゃくさま」の書き方の時間の作品と同じです。出品候補者がもう一人いて、いずれかの作品を出すといいます。間違えて消しゴムを使った時点で万事休す。相手は和泉澤さんという学級委員の女の子。負けないように一文字一文字丁寧に書き進みました。あと少しというところで「あっ」と声が出てしまいました。一文字飛ばしてしまったからです。半世紀以上も前の出来事なのになぜか鮮明に思い出せます。

 こうした鉛筆の文字と違って消せないものは何でしょう。ボールペンやマジックペンであっても書き直せばよいだけの話。多分、「言葉」じゃないかと思うのです。失言、不用意あるいは不適切な発言の類は、気づいた時には時すでに遅し!取り返しのつかないことにだってなりかねません。子供たち同士の会話の中でも時々気になります。文字に残らないからこそ慎重さも大切であること、消せると思ったら大間違いであることを子供たちにも場をとらえて伝えたいと思います。これも人権教育。