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292 火の見櫓(23.10.20)

 庭仕事をしながら補聴器から鳴る音楽を聴いていると、「よくそんなのでずっと聴いていられるね」と言われます。「BGMじゃん!」と言うと、「GGMでしょ?」と切り返されました。どうもじじぃミュージックらしい。

 そのGGは、最近ランニングよりも専らウォーキングです。家から少し離れた「火の見下」という交差点を通過したとき、ここに火の見櫓があったことを思い出しました。当然のことながらもう使われてはいませんでしたが。上方に半鐘があったのを記憶しています。でも見渡せどそれらしきものが見当たりません。いつ撤去されてしまったのでしょう。市川市では、行徳の旧道周辺に残っているような気がするのですが…。

 この火の見櫓の役割は、火事が近くであることを知らせるもので、天辺にある鐘を続けざまに打ち鳴らして人々の安全を守りました。江戸時代から人々の暮らしを見守ってきた火の見櫓は、町や村のシンボルとして集落ごとに立っていたといわれます。これを中心に、住民は自分たちの手で町や村を守ろうとする郷土愛があったのです。そう考えると、先の火の見櫓もお役御免になったとはいえ、地域の文化遺産が消えてしまったことに一抹の寂しさを感じます。存在するときは何とも思わないのに、無くなってから惜しみ懐かしむことってよくあることです。

 年末が近づいて寒くなると、拍子木を打ちながら「火の用心」の声が冴えて聞こえてくる地域もあります。自治会等の自警団の活動に安心して眠りにつく家庭は少なくないのかもしれません。