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495 あの気持ちを再び(24.10.18)
キンモクセイの甘い香りに淡い思い出が浮かびます。一方、味への感動は忘れて久しいように思います。自分で収入を得るようなると、自然と美味しいものを口にする機会が増えます。あれもこれも美味しいと味わっていくうちに、今なら何でもない味に感動したあの時、あの場面が蘇ります。大学生になったころから、新しく知る味がどんどん増えていきました。母の作る味がスタンダードでしたから、「世の中にこんなに美味しいものがあったんだ」というカルチャーショックはたびたびでした。例えば、大学の食堂で食べたサウザンドアイランドが、アルファルファのサラダ(今でいうスプラウト)を絶品に変身させてしまうような錯覚に陥りました。マヨネーズくらいしか知らない舌が、異世界を味わったような感覚。今思えば、たかがそんなことに?と馬鹿々々しくなりますが…。
ユーチューブで、松山千春が歌う『旅立ち』をたまたま聴くことがあり、カラオケで歌ったことを思い出しました。70年代後半のリリースです。この頃のフォークソングは、自分が歌詞の中の主人公のような錯覚に陥ります。時代背景や生活環境が必ずしも合致しないのに、自分と重ねてしまった若かりし頃。
70年代のヒット曲のリストから好きな曲を選んでもらうというアンケート結果を見ると、『なごり雪』『神田川』『心の旅』『22才の別れ』などフォークソングが上位を独占です。そのほかにも、不思議と別れや別れの予感を歌った曲がとても多いことに気づきます。自分の思いどおりにはならない心苦しさと傷つけあう姿を切々と詞にしています。逆に、人とのかかわりや思いが、歌の中に息づいているとも言えそうです。アンケート48位に見つけた、ハイファイセットの『フィーリング』も好きだなぁ。
歌に自分を重ねて感傷に浸るなんてこともなくなったので、子供たちの歌声を楽しみにする今日は、明日に向けたリハーサル兼相互に見合う発表会です。