校長の部屋

2021年12月の記事一覧

141 炬燵が恋しい(12/16)

 寒い日が続くと、「炬燵(こたつ)が恋しい」「ストーブにあたりたい」と思ってしまう私。家でも学校でもエアコンですが、手がかじかんだ時こそストーブの前にしゃがみこんで揉み手しながら温まりたくなるのです。この「ストーブにあたる」「焚火にあたる」といった「あたる」という言葉、経験がない子供たちも辞書にはないでしょうが、そのぬくぬくとした感覚は知ってほしいと思います。

 また、床暖房が当たり前になった我が家からは、炬燵が姿を消して久しい。炬燵に掛った布団に頬ずりしながら家族みんなでテレビを見たりみかんを食べたり…。夜はこたつに入って寝てしまって、翌日は喉が痛いとか…。もっと懐かしいのが掘りごたつ。熱源は練炭、まさに冬の風物詩でした。

 冬の風物といえば「行火」。夜、寝る前に入れておけば、布団の足元を温めてくれたもの。そう、「あんか」です。子供のころは、湯たんぽや電気あんかではなく、「豆炭あんか」が我が家の主流。火鉢で赤々となった豆炭をあんかに入れれば(写真)最強の暖房器具でした。

 

 さらには、今でこそ使い捨てカイロが当たり前ですが、カイロといえば「白金カイロ」。ベンジンを入れて着火すれば、今の使い捨てカイロより断然長持ちだったようです。断言できないのは、祖母が使う様子を羨ましく見ていただけでしたから。でも、ベンジンの匂いが独特だったのを思い出します。

 年末年始には家族が揃う機会が多くあります。炬燵は無理でも、暖かさに包まれながらたくさん話をして、心もポカポカに。ぜひ楽しい会話やファミリーゲームなどで盛り上がってください。焚火を囲んでもいいなぁ。

 ♪ たきびだたきびだ 落ち葉焚き~ あ~たろうか あたろうよ~♪

140 見えないところにこそ(12/15)

 新聞をめくっていると、見開きに面にわたって黒を基調とした企業広告が現れました。巨大な地下下水道トンネルです。そして、「幻の川 UNDER RIVER」と書かれています。そのすぐ脇にQRコードがあるので覗いてみると、新しい発見があります。原文のまま紹介します。

“ 年々増える集中豪雨。コンクリートに覆われた都市の、行き場のない雨水。

その雨水は、東京の地下30メートルにある巨大な地下トンネルに流れ込む。

その時、幻の川「アンダー・リバー」は現れる。

地下街、地下鉄、地下道路・・・ 街と同じように、複雑な発展を遂げた東京の地下。

(中略)東京の下に広がる幻の川「アンダー・リバー」。それは、都市を守る秘密。”

 近年のゲリラ豪雨などで、都市部の下水処理能力が限界を超えていることがニュースの映像からも伝わります。タワーマンションの地下電気設備が浸水して機能不全に陥った案件が2年前にありましたし、地下街や地下鉄なども。暮らしを支え、安心できるようにするために被害を最小限に抑えることが急務ですから、そういう意味でのこ「アンダー・リバー」の写真は衝撃でした。

 見えないところにも、いや見えない場所だからこそ人間の知恵と努力が詰まっているように感じます。学校における「アンダー・リバー」は何なのか、ゆっくり考えてみることにします。

 そういえば、学校でもこのQRコードを活用し始めています。学校評価にもご協力ください。

139 思い込み(12/14)

 この時期になると、新聞に「エルメス」や「シャネル」などの一面広告が登場します。クリスマス商戦たけなわといったところでしょうか。折り込み広告にも「年末・冬」を感じますが、私が冬を感じるのは、トイレに行く回数の増加。今は好きな時間にトイレタイムをとれますが、担任のときはなかなかトイレにも行けないことがよくありました。担任のそんなことを心配してしまいます。

 さて、ある小学校6年生を対象に行われた出前授業で、「あなたがイメージする『社長の絵』を描こう」という課題があったそうです。どんな絵が描かれたと思いますか?ほとんどが中年より上の世代、しかも男性だったそうです。でも、日本企業の社長さんは、年齢・性別・国籍がみんな違います。にもかかわらず、「年配」「男性」の「日本人」という思い込みがあることがわかります。多様性を尊重するような発言をしながら、大人も子供も「思い込み」や「偏見」を捨てられないでいることに気づきます。

 今年は、武田信玄生誕500周年と知りました。「信玄は天下統一を目指したか」というシンポジウム参加者からの質問に対して、「信玄も含めて、全国統一という発想は当時の戦国武将にはない」と専門家が回答しています。結果としての「天下統一」を、まるで誰もが最初から目指した目標ととらえてしまうことも、少しだけ歴史をかじった私たちの思い込みかもしれません。

 でも、強い思い込みが自分を勇気づけてくれたり背中を押してくれたりすることだってありますから、悪いことばかりじゃないはず!

138 2022年は寅年(12/13)

 先週、計画委員会担当の教員から相談がありました。児童のあいさつ運動を、これまで何回か行ってきたが、子供たち自身が手応えを感じているとのこと。そこで、今後、負担にならない程度で、定期的(毎週水曜日)に実施したいけどよろしいかという内容。児童からの提案です。もろ手を挙げて大賛成!こういう何でもないことが喜びです。

 さて、今年の干支は何ですか?と問われて「丑」と即答できる人はどの位いるでしょう。来年の干支が「寅」だから…と考えてしまいます。妻は寅年。なぜかうれしそうです。「だって、年男・年女って12年に一度でしょ。だから、一年間ずっと自分の年だと思うとラッキーという感じがしない?」と話します。めっちゃポジティブで、羨ましい!

 この「虎」にまつわることわざで、すぐに思い浮かぶのが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とか「虎の威を借る狐」でしょうか。「前門の虎、後門の狼」というのもありますし、「虎の巻」「張り子の虎」「虎視眈々」なんて慣用句も。調べればほかにもたくさん見つかることでしょう。

 中学校だったか高校だったか、国語の教科書にあった『山月記』(中島敦)。詩人になるという夢がかなわず、自分の運命と羞恥心のあまりに人喰い虎になってしまった主人公の変身譚で、印象的だったのを思い出します。

 さて、贈答用の品を探しに「とらや」へ行きました。この屋号の由来は、店主が信仰する毘沙門天にゆかりの深い動物が虎であることだとか。看板や暖簾を見て、「やらと」だと思っていたのはいつのことでしょうか。とらやの羊羹を食べて、来年が(来年も)良い年になるように祈願しようかなぁ。米屋の栗蒸し羊羹もいいなぁ。

137 思いのキャッチボール(12/10)

 1968年の今日、日本犯罪史に名を残す「三億円強奪事件」が発生した日です。(写真の意味は、わかる人にはわかるのですが…)

  

 強奪するわけではなく、思いがけず人からプレゼントをいただく機会、逆にプレゼントする機会があるものです。そうした時の対応・反応は、下手するとその人の人間性の評価にもつながりかねないように思ってしまいます。プレゼントに限らずとも、何かをしてもらったときに、「ありがとう」という言葉が自然と口から出たり表情でお礼をしたりしているでしょう。子供たちの中にも、できる子が意外と少ないことに気づきます。また、大層なことや見返りを期待しているわけでなく、ただ喜んでほしいという思いで出た行為に、そっけない態度で返されると残念ですし、張り合いがなくなりませんか?

 立場上、実習で作ったものを食べさせてもらうこともよくあります。感想を手紙に書いて教室にもっていきますが、喜んでくれているでしょうか。うれしかったから返事をするだけなのですが、何でもない対応やリアクションが次への意欲・動機付けになることもありますし、何より子供自身の自尊感情を高める絶好のチャンスだと思うのです。だからこそ、相手の思いを酌みとって丁寧に返してあげるキャッチボールがとても大切だと考えます。張り合いが出て、張り切って挑戦する子が増えていくことを願います。大人だって同じ!