校長の部屋

2021年3月の記事一覧

191 アクリル板に想う(3/4)

 先日の雨を含んだ畑に、霜柱が立つ寒い朝です。

 職員室にプラスチック板の飛沫防止用の透明パーテンションを置いてみようと考え始めてから随分経つのにまだ踏み切れずにいます。放課後等に、学年で話し合いや会議を行う際に、少しでもリスクを減らさないと、教員が感染してしまった場合の影響は計り知れないものがありますから…。たとえアクリル板で仕切られ、目の前の顔がぼやけたとしても、気持ちは透明感をもって明るく接していける職員です。でも、使用頻度と必要性を考えると…悩みます。

 一方、児童向けには机上にコの字型で設置するタイプもありますが、学習や作業等の妨げになりますし、それより先に学習の形態・方法への配慮が優先だと考えました。

 さて、国会でもアクリル板の設置が当たり前になりましたが、大きな透明ボードを見るたびに水森亜土さんを思い出してしまいます。この名前を聞いてピンとくる方もいらっしゃるでしょう。透明なアクリルボードに、歌いながら両手で同時にイラストを描くパフォーマンスで、50年くらい前にテレビに登場していた方です。イラストは水森亜土さんのLineスタンプだそうです。

  

 昨晩、1歳半の孫が遊びに来ました。何にでも興味を示して手に取るので目が離せません。でも、雛人形には近づきもしません。きっと顔が怖かったのかも。孫を寄せ付けない威圧感があるのでしょうか?私たちも、アクリル板のような仕切りを人との関わりの中で感じさせないように接していきたいと思います。

190 給食もひなまつり~(3/3)

 今日の給食は、菜の花ご飯とすまし汁、桜餅ほかで、ひな祭りにちなんだ献立です。

 では、「ひなまつりの食べ物を挙げなさい」と問われて思いつくものは何でしょう。桜餅、ひし餅、ひなあられ、はまぐり(お吸い物)、白酒(甘酒)、ちらし寿司、てまり寿司といったところでしょうか。

 「ひし餅に使われる3つの色とその意味を答えなさい」と尋ねられたら如何ですか?赤・白・緑で、それぞれ桃の花・生命、雪・大地、木々・芽吹きを意味しています。ひなあられも元々はひし餅を砕いて作ったとされ、3色だったようです。4色の場合は四季を表すとか…。

 ところで、市川小にはひな人形はないのでしょうか?どこかにしまわれて陽の目を見ないということも考えられます。内裏びなを来客用玄関に飾りたいものです。コロナの時代だからこそ、5月の節句なども季節感ある明るい環境で来校される方をお迎えしたいと考えます。

 今日は低学年の教室から、「♪灯りをつけましょ 雪洞に~♪」と聞こえてくるのを楽しみにしながら校内を回ります!

189 あなたにとっての邪気とは?(3/2)

 久しぶりの雨。校庭で子供たちが遊ぶと舞い上がる土埃もしばらくは抑えられそうです。そして明日はひな祭り。2年目に入った新型コロナの影響で、勝浦の「ビッグひな祭り」や御宿の「まちかどつるし雛めぐり」を中止せざるを得なくなりました。それでも映像を配信するなど工夫する姿に熱い想いを感じます。

 我が家のひな人形も30年の年月を経て、髪の乱れや褪色はありますが、まだまだ現役!新田にある人形「たえみ」で購入したものです。2~3年前に、屏風の蝶番を自分で修理し、ぼんぼりは新しいものを厳選しました。

 さて、「五節句」(1/7七草がゆ, 3/3桃の節句, 5/5菖蒲の節句, 7/7星祭, 9/9菊の節句)は中国から伝わったものですが、季節の節目を意味する「節」の頃は、昔から邪気が入りやすいとされていました。だから、日本では「桃の節句」に、紙などで作った人形で自分の体を撫でて穢れを移して川に流す「邪気払い」が行われたといいます。「流し雛」のルーツと言えるでしょう。これがひな祭りの始まりのようです。

 少しずつ暖かくなる季節。気が緩んでしまいがちですが、邪気とコロナに侵されないよう老若男女、改めて気を引き締めて新年度を迎えたいものです。私は、「甘いものを食べたい」という邪気?を追い払うために、桜餅の葉っぱまで食べてみます。好きじゃないのですが…。

188 伝統と創造(3/1)

 あっという間に3月です。忙しい中ですが、植物の芽吹きが楽しな季節になります。

 さて以前、国語の教科書に『附子(ぶす)』という狂言が教材として取り上げられていたことがあります。太郎冠者と次郎冠者が登場し、主人が毒であると言い残して外出したあと、桶の中の毒(実は砂糖)を食べてしまうもの。それを隠すために言い訳する様や掛け合いが独特の言い回しで面白く感じました。「それ、覚えている」という方もいらっしゃると思います。

  

 狂言や能楽は日本の伝統芸能ですが、決して馴染みのあるものではありません。これをドラマにしているのが長瀬智也さん主演の『俺の家の話』です。能楽師でありプロレスラーという面白い設定で毎週目が離せません。

 能楽は、能楽師によって演じられます。能の主役を「シテ」、その相手役を「ワキ」、その他「ツレ」や「アイ」、「地謡(じうたい)」、「囃子」などといい、それぞれ専門の役割を演じます。一方、狂言も主役が「シテ」、相手役が「アド」と言われます。

 読売新聞(2/24付)に、シテ方能楽師の山井綱雄さんがハードロックバンド「聖飢魔Ⅱ」の現役信者だとありました。その音楽は、生きる力の源泉であるとも。そして、デーモン閣下の「能楽を知らない多くの人に向けて広く発信する活動をすべきだ」という声を受け、閣下や津軽三味線奏者と全国公演を続けてきたそうです。

 型は大切にしなければなりませんが、ある時は型を破り、柔軟な発想をすることにより進化(深化)していくこともあります。伝統ある市川小の子供たちには、基礎基本と考え方をきちんと学んだうえで、相手を意識した柔軟で創造的な学習へと発展させてほしいと願ってます。

 リングで舞う能楽師(リングネーム:世阿弥マシーン)がいたっていい!