校長の部屋

2021年9月の記事一覧

090 親を何て呼ぶ?(9/29)

 先日学校に届いた訃報をみると、故人の年齢が102歳とあります。心の中で合掌。私の父母も93歳と89歳。2週に一度は手紙を持って施設に足を運びますが、面会は叶いません。窓越しに顔を見て、小さな笑顔にホッとして帰ってくることもあります。縁起でもないことですが、この父母がこの先亡くなったとき、私はなんて呼んで涙を流すのだろうと考えてしまいます。若いころから「お父さん、お母さん」「おやじ、おふくろ」などと呼ばず、「おっさん、おばさん」なんて呼んでいたこと、「ねぇねぇ」で済ませてきたことを今更ながらに恥じるとともに悔やんでいます。持参する手紙にも「○○様」なんて他人行儀な書き方しかできないのですから。

 さて、『Koki “公の場”で「お父さん」言葉遣いに、木村拓哉と工藤静香の“躾”が問われる』という見出し。友人同士の会話なら、「お父さん、お母さん」と呼ぶのも致し方がないでしょうが、ビジネスや社会的な立場では「父、母」を使うのが一般的という意見があります。一方、まだまだ社会経験に乏しい10~20代前半の若者を責めるのは酷という声も聞きます。いずれにしろ、使い分けができるように、両親や周りの人が正してあげることが大事かもしれません。

 今日5年生のある学級で、国語「敬語」の授業にゲストとして呼んでもらいました。

089 本の世界を楽しむ(9/28)

 「こんなことがあるもんか。お話の世界だけのことだ。」と思っていたのに、決して現実離れしていないことに気づいたのはいつの頃だったか。

 例えば『オズの魔法使い』。昔読んだとき、家や身の回りのものが竜巻で空に巻き上げられるなんてあり得ないと思わなかったでしょうか。少なくとも日本に生活する者にとって非日常的な現象です。でも、大人になって海外の被害映像や映画の一場面を目にすると、夢物語ではないことがわかってくるのです。

 もう一つ、『仔鹿のバンビ』のお話。山火事で動物たちが逃げ惑う場面がありますが、これも自然発火による森林火災が実際に起こり、消火活動をするニュースを見てしまうと、現実味が増していくのです。

 こう考えると、地震を経験したことのない国では、物語に地震による倒壊や津波という設定はあり得ないのかもしれません。本を読むということは、自分の知らない世界を疑似体験することにもなります。視野を広げたり違った立場の人の思いに触れたりすることもできます。物語の根底にある教訓を感じる人だっているでしょう。

 校長室に時々読書しにやってくる2年生がいます。10月7日から22日まで本校の秋の読書週間ですので、子供達には時間を今まで以上に割いたり、違うジャンルの本を紐解いてみたりしてほしいと思います。その環境を演出するのは大人!決してお仕着せにならないよう、さりげなく…。私も、通勤読書だけでなくスマホ情報を閲覧している時間を読書の時間にします。

088 3年生へのプレゼント(9/27)

 朝方は、掛け布団から肩が出ていると寒く感じるようになってきました。

 さて、昆虫すら怖くて触れなくなったのはいつからでしょう?セミもバッタもカブトムシも手で捕まえていたのに…。少年時代に触れなかったのは蛇と蛙くらい。

 家の柑橘類の葉に紛れて大きくなったアゲハチョウの幼虫を発見しました。次の日には移動していてどこへ行ったか見つけるのに一苦労です。ここまで大きくなられては、お亡くなりになっていただくのは忍びなく、かといってこのままにしてはおけないが触れない。そこで割りばし登場!葉にしがみつくのを無理やり引っぺがし、学校への搬送用ペットボトルにin!また3年生にプレゼントするのが、6cm大に育った幼虫君の幸せのためと判断しました。2匹のうち1匹はすぐにさなぎになったそうです。

 昆虫の保護色・擬態には驚きます。まるで枝になり切った尺取虫。白い壁にはりついた蛾。鳥や小型の動物の餌になるため、「食べられないようにするための擬態」「カムフラージュ」が多いようです。逆に、肉食昆虫では、ハナカマキリのように「食べるための擬態」も見られます。

 植物の世話をしていると、擬態した昆虫に心臓が飛び出るくらいびっくりすることがあります。そんなときの心拍数ってどんだけ~?虫の声に耳を澄ませてみるよい季節になりました。

087 選択肢を増やす(9/24)

 私の県内公立高校受験は、学校格差の均質化を狙った「学校群制度」最後の年。そして大学受験は、共通一次始まって2年目だったでしょうか。こんなことを思い出したのも、だいぶ古い話題ですが、最終回の視聴率20%超だった『ドラゴン桜』を見て、現在の大学入試制度に驚いたからかもしれません。

 今の腹黒さとは無縁の純粋だった高校時代。専ら球拾いと先輩のパシリ専門だった1年生の部活。昼食後に部室に行って、先輩の注文を聞いて、近所の商店へ飲み物やパンを買いに行きます。昼休みは、部室にある牛乳瓶ケースの前に手をついて逆立ち。もう一人が1曲歌い終わるまで耐え抜くというもの。友達を救うために大事なのは選曲。部活が始まる前の時間は、小石がごろごろするグランドの端で、1年生10人位が寝そべる上を越える跳び込み前転をやらされます。こんな慣習は断ち切ることを誓った先輩が引退した夏。1時間に1~2本しか電車がない練習試合の相手校。帰りの電車が不通となって、みんなで線路の上を歩いて帰った映画のワンシーンのような思い出も。

 「もしもあの時、違う道を選んでいたら…」という思いは人それぞれ。過去に戻って人生の選択をやり直すことができる不思議なタクシー。竹野内豊さん主演の『素敵な選TAXI』というドラマです。一方、未来が無限に広がる子供たち、「あの時点に戻ってやり直したい」と後悔することなく、自分の信じた道を歩んでよかったと胸が張れるようであってほしいと願っています。長い人生の分岐点における選択肢を増やすためにも、何をどのように学び、どのように解決していくかを授業の中では大事にしています。

 昨日、映画『マスカレードホテル』を観ました。もしかしたら、私にも「刑事」とか「ホテルマン」という選択をする分岐点があったのかも?「いやいや、あり得ない」という否定の声が聞こえてきます。

086 教室をまわると…(9/22)

 昨日、5年生を対象にした『夢の教室』を実施しました。様々な競技の現役選手・OB・OGなどが「夢先生」として学校へ派遣され、「夢を持つことや、その夢に向かって努力することの大切さ」「仲間と協力することの大切さ」などを伝えてくれるもの。一昨年までは、一緒に活動する「ゲームの時間」で楽しんだ後、「トークの時間」でこれまでの辛かった経験や挫折、歓喜の場面など、人生の先輩として語ってもらいました。将来について考えるきっかけにできればと考えて小学校5年生を対象にします。また、より具体的に将来をイメージする機会にしてほしいという考え方から中学2年生でも実施している企画です。コロナ禍においてはオンライン実施なので、直接「夢先生」とふれあう機会は残念ながらもてません。今回の夢先生は、元女子バスケットボール日本代表の岡里明美さんと元フットサル選手の梅田翼さんでした。

 6年生の教室へ足を運ぶと交換授業をしていました。2クラスずつのペアで、社会科と理科の授業を交換してもう一方の担任が毎回授業をします。社会科は4月に政治単元からスタートするように変わったので、今の時期は貴族のくらしから武士の世の中へ変わっていく時代を学習中です。それぞれの生活の様子や屋敷の違いなどから学習問題づくりにつなげます。

 さらに、2年生の教室では新出漢字の勉強中でした。黒板には「茶」を使った言葉の例に、麦茶・抹茶・緑茶・紅茶・ウーロン茶・ほうじ茶・生茶・十六茶・ジャスミン茶・お茶漬け・茶柱などいっぱい!子供たちの活発な発言が手に取るようにわかります。そういえば、昔ある家で出してくださった椎茸昆布茶、息を止めて飲み干したのを思い出しました。今でも給食室から漂う干し椎茸の戻し汁の匂いは鼻をつまみたくなります。