校長の部屋

2021年9月の記事一覧

090 親を何て呼ぶ?(9/29)

 先日学校に届いた訃報をみると、故人の年齢が102歳とあります。心の中で合掌。私の父母も93歳と89歳。2週に一度は手紙を持って施設に足を運びますが、面会は叶いません。窓越しに顔を見て、小さな笑顔にホッとして帰ってくることもあります。縁起でもないことですが、この父母がこの先亡くなったとき、私はなんて呼んで涙を流すのだろうと考えてしまいます。若いころから「お父さん、お母さん」「おやじ、おふくろ」などと呼ばず、「おっさん、おばさん」なんて呼んでいたこと、「ねぇねぇ」で済ませてきたことを今更ながらに恥じるとともに悔やんでいます。持参する手紙にも「○○様」なんて他人行儀な書き方しかできないのですから。

 さて、『Koki “公の場”で「お父さん」言葉遣いに、木村拓哉と工藤静香の“躾”が問われる』という見出し。友人同士の会話なら、「お父さん、お母さん」と呼ぶのも致し方がないでしょうが、ビジネスや社会的な立場では「父、母」を使うのが一般的という意見があります。一方、まだまだ社会経験に乏しい10~20代前半の若者を責めるのは酷という声も聞きます。いずれにしろ、使い分けができるように、両親や周りの人が正してあげることが大事かもしれません。

 今日5年生のある学級で、国語「敬語」の授業にゲストとして呼んでもらいました。

089 本の世界を楽しむ(9/28)

 「こんなことがあるもんか。お話の世界だけのことだ。」と思っていたのに、決して現実離れしていないことに気づいたのはいつの頃だったか。

 例えば『オズの魔法使い』。昔読んだとき、家や身の回りのものが竜巻で空に巻き上げられるなんてあり得ないと思わなかったでしょうか。少なくとも日本に生活する者にとって非日常的な現象です。でも、大人になって海外の被害映像や映画の一場面を目にすると、夢物語ではないことがわかってくるのです。

 もう一つ、『仔鹿のバンビ』のお話。山火事で動物たちが逃げ惑う場面がありますが、これも自然発火による森林火災が実際に起こり、消火活動をするニュースを見てしまうと、現実味が増していくのです。

 こう考えると、地震を経験したことのない国では、物語に地震による倒壊や津波という設定はあり得ないのかもしれません。本を読むということは、自分の知らない世界を疑似体験することにもなります。視野を広げたり違った立場の人の思いに触れたりすることもできます。物語の根底にある教訓を感じる人だっているでしょう。

 校長室に時々読書しにやってくる2年生がいます。10月7日から22日まで本校の秋の読書週間ですので、子供達には時間を今まで以上に割いたり、違うジャンルの本を紐解いてみたりしてほしいと思います。その環境を演出するのは大人!決してお仕着せにならないよう、さりげなく…。私も、通勤読書だけでなくスマホ情報を閲覧している時間を読書の時間にします。

088 3年生へのプレゼント(9/27)

 朝方は、掛け布団から肩が出ていると寒く感じるようになってきました。

 さて、昆虫すら怖くて触れなくなったのはいつからでしょう?セミもバッタもカブトムシも手で捕まえていたのに…。少年時代に触れなかったのは蛇と蛙くらい。

 家の柑橘類の葉に紛れて大きくなったアゲハチョウの幼虫を発見しました。次の日には移動していてどこへ行ったか見つけるのに一苦労です。ここまで大きくなられては、お亡くなりになっていただくのは忍びなく、かといってこのままにしてはおけないが触れない。そこで割りばし登場!葉にしがみつくのを無理やり引っぺがし、学校への搬送用ペットボトルにin!また3年生にプレゼントするのが、6cm大に育った幼虫君の幸せのためと判断しました。2匹のうち1匹はすぐにさなぎになったそうです。

 昆虫の保護色・擬態には驚きます。まるで枝になり切った尺取虫。白い壁にはりついた蛾。鳥や小型の動物の餌になるため、「食べられないようにするための擬態」「カムフラージュ」が多いようです。逆に、肉食昆虫では、ハナカマキリのように「食べるための擬態」も見られます。

 植物の世話をしていると、擬態した昆虫に心臓が飛び出るくらいびっくりすることがあります。そんなときの心拍数ってどんだけ~?虫の声に耳を澄ませてみるよい季節になりました。

087 選択肢を増やす(9/24)

 私の県内公立高校受験は、学校格差の均質化を狙った「学校群制度」最後の年。そして大学受験は、共通一次始まって2年目だったでしょうか。こんなことを思い出したのも、だいぶ古い話題ですが、最終回の視聴率20%超だった『ドラゴン桜』を見て、現在の大学入試制度に驚いたからかもしれません。

 今の腹黒さとは無縁の純粋だった高校時代。専ら球拾いと先輩のパシリ専門だった1年生の部活。昼食後に部室に行って、先輩の注文を聞いて、近所の商店へ飲み物やパンを買いに行きます。昼休みは、部室にある牛乳瓶ケースの前に手をついて逆立ち。もう一人が1曲歌い終わるまで耐え抜くというもの。友達を救うために大事なのは選曲。部活が始まる前の時間は、小石がごろごろするグランドの端で、1年生10人位が寝そべる上を越える跳び込み前転をやらされます。こんな慣習は断ち切ることを誓った先輩が引退した夏。1時間に1~2本しか電車がない練習試合の相手校。帰りの電車が不通となって、みんなで線路の上を歩いて帰った映画のワンシーンのような思い出も。

 「もしもあの時、違う道を選んでいたら…」という思いは人それぞれ。過去に戻って人生の選択をやり直すことができる不思議なタクシー。竹野内豊さん主演の『素敵な選TAXI』というドラマです。一方、未来が無限に広がる子供たち、「あの時点に戻ってやり直したい」と後悔することなく、自分の信じた道を歩んでよかったと胸が張れるようであってほしいと願っています。長い人生の分岐点における選択肢を増やすためにも、何をどのように学び、どのように解決していくかを授業の中では大事にしています。

 昨日、映画『マスカレードホテル』を観ました。もしかしたら、私にも「刑事」とか「ホテルマン」という選択をする分岐点があったのかも?「いやいや、あり得ない」という否定の声が聞こえてきます。

086 教室をまわると…(9/22)

 昨日、5年生を対象にした『夢の教室』を実施しました。様々な競技の現役選手・OB・OGなどが「夢先生」として学校へ派遣され、「夢を持つことや、その夢に向かって努力することの大切さ」「仲間と協力することの大切さ」などを伝えてくれるもの。一昨年までは、一緒に活動する「ゲームの時間」で楽しんだ後、「トークの時間」でこれまでの辛かった経験や挫折、歓喜の場面など、人生の先輩として語ってもらいました。将来について考えるきっかけにできればと考えて小学校5年生を対象にします。また、より具体的に将来をイメージする機会にしてほしいという考え方から中学2年生でも実施している企画です。コロナ禍においてはオンライン実施なので、直接「夢先生」とふれあう機会は残念ながらもてません。今回の夢先生は、元女子バスケットボール日本代表の岡里明美さんと元フットサル選手の梅田翼さんでした。

 6年生の教室へ足を運ぶと交換授業をしていました。2クラスずつのペアで、社会科と理科の授業を交換してもう一方の担任が毎回授業をします。社会科は4月に政治単元からスタートするように変わったので、今の時期は貴族のくらしから武士の世の中へ変わっていく時代を学習中です。それぞれの生活の様子や屋敷の違いなどから学習問題づくりにつなげます。

 さらに、2年生の教室では新出漢字の勉強中でした。黒板には「茶」を使った言葉の例に、麦茶・抹茶・緑茶・紅茶・ウーロン茶・ほうじ茶・生茶・十六茶・ジャスミン茶・お茶漬け・茶柱などいっぱい!子供たちの活発な発言が手に取るようにわかります。そういえば、昔ある家で出してくださった椎茸昆布茶、息を止めて飲み干したのを思い出しました。今でも給食室から漂う干し椎茸の戻し汁の匂いは鼻をつまみたくなります。

085 学びを派生させたい!(9/21)

 今日は中秋の名月。一年の中で最も美しいとされる月で、毎年9~10月頃に鑑賞できます。今も昔も、なぜかしら月に魅了され、お月見を楽しんできました。月が昇り始めたあの大きさにワクワクします。今晩はどうでしょう?

  

 さて、「十五夜」というのは、新月の日を1日目としたときの15日目の夜のことですが、この日が満月になるとは限らず、1~2日ずれることの方が多いようです。ただ、今年から3年間は一致するみたいです。満月以外に、三日月、上弦の月、下弦の月を理科で学んだり観察したりしたということを思い出す方もいらっしゃるでしょう。

 サザエさん一家は、お月見団子を作ったりススキを飾ったりするのでしょうか。ちなみに、「秋の七草」はススキのほか、オミナエシ(女郎花)・ナデシコ・クズ・フジバカマ・キキョウ(桔梗)・ハギ(萩)。こうした植物を見たときに、カツオ君は名前まで言えるでしょうか。畑に育つ作物の葉を見て、ワカメちゃんは野菜の名前が言えるでしょうか。タラちゃんなら、「きれいでちゅ~」で終わらせず、「なんという名前でちゅか」「自分で育ててみたいでちゅ」などと興味関心を膨らませていくかもしれません。

 先日、月の満ち欠けを学習した子が、「校長先生の頭は、太陽ですか?月ですか?」と尋ねてきました。関心が向くべき方向がちょっと違うような…?でも、自分で光を発することがないので、「月です」ときっぱり答えたのは言うまでもありません。

084 明々後日は敬老の日(9/17)

 敬老の日が、9月15日から9月の第3月曜日に移ったのは平成15(2003)年からですので、18年も経つようです。元々「敬老の日」は昭和22年に兵庫県のある村長さんが作ったものだといいます。「老人を大切にし、年寄りの知恵を村づくりに生かそう」という考えで、農閑期の気候の良い9月中旬15日を「年寄りの日」と決めたことが始まりです。昭和25年には兵庫県全域に、やがて全国に広がって昭和29年に国民の祝日「老人の日」が制定されたのです。昭和41年に「敬老の日」と名称変更されたわけです。要は、長い人生で年寄りが培ってきたノウハウを上手に取り入れ豊かな社会を作るために役立てようという趣旨があったのです。

 しかし、超高齢化社会となっていく現在、医療費も負担増となっています。お年寄りが幸せに暮らせない国で、若者が幸せに暮らせるはずはありません。ですから、「敬老の日」がお年寄りを敬うだけでなく、大事に愛してくれる人たちから、お年寄りが元気に生きる活力を得る日であってほしいと願います。(参考:漫画『江戸前の旬』)

 さて、5月のゴールデンウィークに対して秋の大型連休を「シルバーウィーク」と呼ぶようになったのは2009年から。敬老の日と秋分の日を含めて5連休になったことがきっかけです。GWと異なり、曜日の並びによって数年に一度しかやってきません。最近の5連休は6年も前に遡り、次はいつになるかはわかりませんが、心軽やかに遊べる状況になるのを心待ちにしています。

 よい連休・時間を子供たち、そしてお年寄りと一緒にお過ごしください。

083 これからも事故ゼロ(9/16)

 日本最高齢のフィットネス・インストラクターのタキミカさん(90歳)が取り上げられている新聞広告をよく目にします。90歳という年齢にもかかわらず、健康で調整の取れた体形を維持し、笑顔で生活できるということは素晴らしいと思う一方で、フィットネススーツ姿での笑顔がどうしても好きになれず、すぐにページをめくってしまいます。

 さて、来週21日から30日まで、秋の全国交通安全運動です。事故に遭わない、事故を起こさない、事故を誘発しない、そういう行動を心がけるようにしたいものです。

 先日、1年生と江戸川の土手に虫捕りに行きました。その際、何かに夢中になると往来する自転車や人、注意の声に目と耳を閉ざしてしまう姿があることを痛感しました。友達と一緒に話しながら歩いていて、前や後ろから来る自転車や車に気づかない、道路の反対側にいる親や友達に気を取られて車道に飛び出したり無理な横断をしたりする、といったことも日常的に散見されます。八街市の小学生を巻き込んだ事故は記憶に新しいと思いますが、ルールを守っていたって事故に遭うケースが多くありますので、注意し過ぎということはありません。「自分(他人)の命を守るのは自分」という意識を、学校でも家庭でも耳タコになるくらい訴えていく必要があると考えています。

 また、暗くなるのが早くなってきます。自転車の無灯火は子供だけの問題ではありません。加害者になる可能性だってあることを改めて認識しなければなりません。服の色や反射板の携行も含めて、ぜひこの機会をとらえて…。90歳でも笑顔でいられるように!

082 ギリシア文字を唱えられる?(9/15)

 ニュースの見出しに、「変異ウイルス『イータ株』『カッパ株』も…」とありました。

 ♪ 線路は続くよ どこまでも ♪ではなく、コロナは続くよ どこまでも~といった感じで先が見通せない不安ともどかしさが募ります。

 変異種が登場するたびに名前がつきます。英国の変異種は「アルファ」、インドの変異種が「デルタ」と。「アルファ」「ベータ」「ガンマ」「デルタ」「エプシロン」「ジータ」「イータ」「シータ」「イオタ」「カッパ」「ラムダ」「ミュー」…とギリシア文字はありますが、なんでコロナ変異種にギリシア文字が使われているのでしょう?

 報道の際、わかりやすくするため、最初に変異株が見つかった国や地域を冠した呼び方をしていたはずです。ただ、最初に見つかったからといって、その国や地域で生まれた変異種であるとは限らないにもかかわらず、あたかも発祥の地であるかのようにとらえられてしまう恐れがあります。つまり、誤解や偏見を生む可能性があります。人種差別にまで発展することだって懸念されるわけです。名付け親のWHOは、そうした悪影響をなくすために、呼びやすいギリシア文字を使ったようです。

 偏見といえば、多くの人に親しまれた昔の大衆車に、カローラやコロナ、サニーなどがあります。「コロナ」という車名が今はありませんが、なくてよかったとトヨタ自動車関係者は胸をなでおろしているかもしれません。モデルチェンジでもしようものなら「新型コロナ」登場!ですから。

081 自信の結実(9/14)

 キンモクセイが開花し始めました。今シーズン初めての甘い香りに周りを見渡しました。見頃といえる開花時期は1週間ほどと短命ですから、見逃さず楽しみたいものです。このキンモクセイは花をたくさんつけますが、実がなっているところを見たことがありません。それは、日本にあるキンモクセイは雄株ばかりで、雌株がないからなんだそうです。

 このように植物には雌雄異株の樹木が存在します。それを意識させる代表的な木が、ヤマモモとイチョウです。ヤマモモの場合、6月中旬頃に木の下に目をやると雌雄がわかります。複数植えられたヤマモモの根元がえんじ色になっていたら雌木です。熟した実が落ちた跡です。採って食べると甘酸っぱくて美味しいのですが、これを知っている子はほとんどいません。教えると、嬉しそうに摘んで食べる子もいます。一方、イチョウはその独特な匂いでわかります。落ちた実の臭いこと臭いこと!でも、これを拾って、腐らせて種の部分だけを取り出して…。炙って食べたら最高です。大きな実を選んで拾っている人を時々見かけますが、ご一緒したくなります。

 ご一緒したくないのは桜の木の下。昨日14号門入ってすぐの所に、黒い粒々がたくさん発見しました。実ではなく、毛虫の糞です!すぐに用務員さんに退治してもらいましたが、難を逃れた輩がいるかもしれませんので、校地内の桜の木には十分ご注意ください。消毒薬散布は後日行う予定です。

 雌雄異株の代表格のイチョウといえば、国府台スポーツセンター陸上競技場の観客席後ろにあった大木が懐かしい。10月の陸上大会では、その近くに応援席が割り当てられた学校はたまったものではありませんでした。そういえば、先日通りかかったスポーツセンター、野球場が跡形もなくなっていました。何ができるのでしょう?

 話は戻りますが、校章になっている月桂樹(ローレル)も雌雄異株のようです。カレーやシチューの香りづけとして葉を使用しますが、キンモクセイ同様、日本にあるものはほとんどが雄株らしく、青紫の実がつくという雌株は見かけません。ですから、市川小に植えられている月桂樹も雄株となります。一方、シンボルツリーのプラタナスがたわわに実をつけていますが、子供たちも男女関係なく「行動」という形の花を咲かせ、「自信」という実を結んでほしいのです。そして、その実を落とさずに少しずつ膨らませていくのです!

 

080 やわらかアタマ(9/13)

 湯船から立ち上がる湯気で風呂場の窓が白く曇るようになったのを見るたびに、季節が変わったことを感じます。休日の夕方、給湯器から「お風呂が沸きました」という音声がします。「以前より音が小さくなった気がする。疲れているんじゃない?」と言うと、「前より耳が聞こえなくなったんじゃないの?」と返されて、なぜか納得してしまうのです。子供と話をする中で、きちんと聞き取れていないが故に変な答えをしたと思う場面があります。その子の表情を見ると一目瞭然!ごめんなさい、適当に返事しました。こうしたことが多いので、家人も心配してこんなことを言います。「聞かれた質問に頓珍漢な返事をするから、人前に出すのが恥ずかしい」と。苦笑いです。

 昨年度、校長室前や2階掲示板に「校長からの挑戦状」と題したクイズを掲示していました。途中でやめてしまったのですが、全22問。校長室前に掲示してあったときは、1週間後にヒントを添え、さらに1週間後に解答を書き加えていましたが、2階に一括掲示してからは放りっぱなしでした。先週、上学年の女児4人が校長室に訪ねてきました。話を聞くと、「クイズの答えを知りたい」と言います。早速、解答集を作るとともに、新しいクイズも貼っておきました。すると、翌日すぐに「ありがとうございました」とお礼を言いに来てくれたのです。トレーニングでやわらか頭を育てようというものですので、ご来校の際はぜひご覧ください。

 最近、モノの名前がすぐに出てこなくなりました。「ほら、あれだよ、あれ!」の連発です。脳を活性化するためにもなぞなぞやクイズなどは効果的かも。掲示用の問題作成は、子供たちのためというより自分のためなのかもしれません。子供も大人も柔軟で明晰な頭脳を目指したと思います。

079 ありがとうをつなぐ(9/10)

 ネット上に見つけた女性の投書。

 スヤスヤ眠る息子を乗せたベビーカーを押し、もう片方の手に買い物袋を持って小さな娘の手を引いていた。駅のホームへ下りる階段の前で迷っていると20代の女性がベビーカーを一緒に持ってくれた。しばらくして、娘がジュースを飲みたいというので自販機で買ったが、疲れのせいかうまく飲めずストローをねだって泣いた。我慢するようになだめながら歩いていると、別の20代の女性がコンビニに入ったかかと思うとすぐに出てきてストローを差し出した。ともに、きちんとお礼を言う間もなく去って行った。

 ありがたいと恩義を感じる場面は多々ありますが、「もらったら返さなければならない」といったプレッシャーを感じる必要はないかもしれません。というのも、ある人の話の中に相手に直接返そうとするよりも、自分がよりよく生きようとすること。そうすれば、きっと誰かが自分から何かを受け取ってくれるという言葉がありました。「恩を受け継ぐ」「感謝の輪廻」にはいろいろな形があってよいのだと思うのです。

 1学期、4年生のあるクラスの靴箱はいつ見ても整っていてきれいでした。「すばらしい!」と担任に伝え、話を伺うと、特定の児童がきれいにしてくれていたようです。でも、クラス全体が褒められたとあれば、他の子たちにまで「友達の靴であっても整っていなければそろえる」という行為が広がっていくかもしれません。さらに、同じ昇降口の靴箱に乱れた靴を見かけたら、クラスや学年に関係なくきれいにする子が現れるかもしれません。そんな連鎖を期待して止みません。

078 後ろ姿を見せて…(9/9)

 今日9月9日は、「重陽の節句」「救急の日」「手巻き寿司の日」「ロールケーキの日」「栗きんとんの日」「カーネルサンダースの誕生日」と賑やかです。昨日、36年前の卒アルの話をしましたが、今日6年生が卒業アルバム用の個人写真を撮影します。どんな表情で写るのか楽しみです。

 さて、5月も下旬になろうかという頃、某社の試乗車を自宅駐車場で車庫入れしている隣人を見た私。15年は乗ったと思われる車をそろそろ新車に替えるのだろうと考え、「今注文しても納車は7月だろう」と勝手に予測。7月中旬に駐車場脇の植栽を伐っている様子を目撃した私は、間もなくだなとなぜかワクワク。でも、いつまで経っても動きがないため、気をもむ変な隣人と化す私。そして7月末、めでたく納車!胸をなでおろした私はやっぱり変?

 夏休み中に屋外で作業をしていると、公園へ虫捕りに出かける親子に出会いました。夕方の散歩をしていれば、家の前で水遊びやシャボン玉を飛ばしている親子を見かけます。顔見知りでなくても、どちらからともなく「こんにちは」と笑顔を添えてあいさつする場面が時々あります。すると、子供も一緒に声を揃えます。ここにこの親子の「子育て」を垣間見られる気がします。親ができないこと、やらないことを子供はやろうとはしません。先生が後ろ姿を見せながら語らなければ、口先だけでは子供たちは行動しません。同じだと思うのです。私自身、お座なりにしてしまったりいい加減で済ませてしまったりしていることはないか、改めて見直さないといけません。

 ちなみに、隣人の息子さんは、顔を合わせると私より先にいい顔であいさつをしてくれます。

077 36年前の卒アル(9/8)

 7月中旬頃から各学校のPTA広報誌が届きます。今年度の第1号なので職員紹介があります。写真を見ると、毎年知らない顔と名前が増えていきます。大量退職で世代交代が凄まじいスピードで進んでいる昨今、さみしい気がする一方で、以前講師として頑張っていた方も正規採用されて頑張る様子が写真から伝わってきます。

 さて、夏休み前半に行った保護者面談の際に、ご自身の卒業アルバムを持ってきてくださった方がおり、担任を通して受け取りました。わざわざ実家から持ってきてくれたといいます。この卒アルは、私が初任だったときに最初に受け持った5年生の子供たち。力不足で6年に持ち上がることは叶わなかったので、手元にはない貴重なものです。写真や名前を見て懐かしさがこみ上げます。他のクラスの子も「いた、いた!」「元気にしているかな?」という感じ。「写真のこの子は、今○○さんのお母さん」ということまで教えてもらいました。

 ページをめくった先の「社会のニュース」欄では、マラドーナ擁するアルゼンチンがW杯優勝とかスーパールーキー清原和博などという文字が並びます。そして一番驚いたのが名簿!なんと教職員と児童の住所・電話番号がすべて載っているではありませんか。この卒アルが売買の対象になっていたようですが、「個人情報」云々と気にしすぎる時代ではなかったのも確かです。

 最後に、教職員の寄せ書きに「頭でっかちよりも、心でっかちな人になってください」という自分の文字を見つけました。36年経って、私自身、心が豊かに膨らんだかどうか、未だ不安です。現在48歳?の116人はどうでしょうか?

076 お気に入り(9/7)

 秋の清々しさを感じる朝です。大きく深呼吸をしたくなります。

 さて、夏休みに入ってすぐ、BICボールペンが廃版になるというニュースを見ました。1961年発売というから同い年です。世界160か国で愛用され、筆記距離は2~3kmあるそうです。コアなファンも多く、惜しむ声が聞かれます。

 一方、腕時計用アルミ製カレンダーを懐かしく思う方もいらっしゃると思います。先のボールペン同様、コアなユーザーに愛され続けますが、職人の腕と機械確保ができ、なんとか生産の見通しが立ったといいます。私自身、お世話になった時もあり、懐かしい限りです。

 この夏、私のお気に入りに加わったものが、BUFF(バフ)。ネックゲイターやフェイスマスクにもなりますし、ヘッドバンドや帽子としても使える代物です。ジリジリと刺すような日差しを頭皮がダイレクトにキャッチするため、じっとしていると焼けるように熱くなります。そこで、私は専ら頭に被ることにして、林間学校での日焼け&汗対策、庭の手入れ・水撒きの際のやぶ蚊対策で、頭皮を守ってくれました。ランニングでは滴る汗を吸い取り襟首を陽射しから守ってくれて、洗濯すればすぐに乾くので帽子よりお手軽。しかも、様々な色模様があるのであっという間に3枚目。その日の気分や恰好で替えています。夏休み中の朝食前の40分程度のランニングにも大活躍。

  

 2歳になった孫は、ミッフィーちゃん→おさるのジョージ→ドキンちゃんと目まぐるしくお気に入りが変わりますが、手放せないのは古びてきたタオルケット。というわけで、皆さんにとって今一番気になっている物、お気に入りってなんでしょう。子供たちは?

075 置いていかれないにように…(9/6)

 ドラえもんの誕生日は2112年9月3日。そこで先週4日(土)に誕生日スペシャルが放映されました。ただよく考えると、91年後の未来に生まれるのに、生まれる前に毎年誕生日を祝うってどうなの?と首をひねってしまうひねくれ者です。

 このひねくれ者の部屋に保管されていた、タブレットの入った何十箱もの段ボールが、ドラえもんの誕生日に各教室へ運ばれて行きました。自席から見える景色が少し変わったような…?教室に旅立ったタブレットは、充電保管庫と呼ばれるホテルに滞在中です。これに並行して、児童一人一人にタブレットを配付して学習で活用したり、欠席した場合の支援等に使ったりするために、教員の研修や児童がセットアップ・練習する準備を進めています。まずは4年生以上に配付、来年度からは3年生以下にも配られる見通しです。

 さて、GIGAスクールに向けたスピード感は半端ではありません。その速度についていくのがやっと!人に聞かないと、スタート地点にすら辿り着きません。スマホのように画面を指でタップしてもよいことだって知らず、パッド部分を指の腹で擦っているうちに遅れが広がる始末。教員も老若男女関係なく得手不得手がありますので、様々なことを校内・市内で共有して誰もが積極的活用ができるように進めていけるようにしなければなりません。教室に居ながら他の学校と、他の市や県と、世界とつながることだってできるようになるのですから…。ただし、期待しすぎてはいけません。機械ですから機嫌を損ねることが度々あることを想定する必要がありますし、間違った解答が提示されることも少なからずあると聞きます。教室での対話式学習の方が効果的な場面もたくさんあるので、上手に併用していくことが求められます。

  

 というわけで、写真正面に見えるのがタブレット用充電保管庫です。そして、左の棚上にあるのがサーキュレーター。先週のような10月下旬の気温でも、感染防止のためにどの教室もフル回転で空気の循環・換気に大忙しでした。

 ドラえもんが生まれた2112年ってどんな世界になっているのでしょう。

074 児童を守る黒子に(9/3)

 オリンピックに出場するブルガリア新体操チームのホストタウンとなった市川市では、代表チーム応援のために1学期後半に各学校で花を植えたプランターやのぼり旗を準備しました。(活動の写真を撮り忘れました!)代表チームは、国府台SCを練習場所として使用し、8月6日に始まった新体操競技。団体総合でブルガリアが見事優勝という結果を見て、なんかうれしくなってしまったのは私だけではないはずです。

 さて、夏休み中に教育委員会を含む市の職員と一緒に通学路合同点検を行いました。危険箇所をチェックするとともに、対策の必要性などを実地調査するものです。国道のガードレールや14号門前歩道の注意喚起ペイントなどを相談しました。また、給食室そばのマンションは秋に入居予定ですので、居住者の車が国道へ向かう動線上に正門があるため、通学路を明示するカラー塗装をお願いしました。市内公立学校それぞれに事情と要望がありますから、優先順位を付けたうえで実現できるものが決まります。今回実現できなくてもアプローチは続けていきます。

 しかしながら、児童昇降口が分散され、管理棟から離れていることによる不審者等の侵入の心配、下校時の14号門からの飛び出しによる事故の心配など課題は残ります。教職員や児童の意識をより高めながらも施設・環境改善は簡単ではありません。そこで協力を訴えたいと思います。ボランティア等で担ってくださると助かります。校内を見て回ってお子さんやお孫さんの姿を見たり多くの子と顔見知りになったり…。児童との交流も取り入れたいところですが、コロナ禍では控えるべきでしょう。いかがですか?これなら早期実現できそうですが。

 最後に、夏休み中に1年生のある保護者の方から声をかけていただきました。「私たちの安全を守ってくれている身の回りのものを探す」という宿題があったそうです。信号機などいくつか書いてある中に“校長先生”という文字があったのですと教えてくださいました。うれしい話を伺い、さらに頑張りたくなっちゃいました!

 

<追記> 夏休みの自由工作作品を、作った子(写真右)が被らせてくれました。素晴らしい出来映えです。これを身に着けて校内を巡回したら、目立ちすぎて黒子ではなくなってしまいます。

073 オリ・パラ観戦を通して(9/2)

 昨日から市川警察の方が、14号門前で朝の見守り活動をしてくださっています。月末まで緊急の事案がない限り交代で立ってくださるようでありがたいです。今日は長文となってしまいます。

 「東京都で五千人超え」「市川市も二百人超え」といった、コロナ感染者数の爆発的な増加に不安を募らせる一方で、オリンピック競技での様々なドラマにもドキドキした夏休みでした。

 メダル候補のメキシコを破り3連勝したサッカー予選と決勝トーナメント。献身的な守備を見せるFWの林大地選手を、イケメンだなぁと画面に映るたびに羨ましく思う私。57年という時を超えて、親子で金メダルを目指したウエイトリフティング三宅宏実選手の最後の挑戦。大坂なおみ選手や桃田賢斗選手への金メダル期待の重圧。パラも見ていると胸が熱くなります。

 レスリングでは、姉妹で金メダルを獲った川井選手。柔道では、兄妹で金メダルの阿部選手ほか、日本柔道の活躍に目覚ましいものがありましたが、完成まで数か月かけて作成したという「モチベーションビデオ」には感動。やる気を掻き立てるメッセージや心躍るようなBGM、そして過去の勝利の喜びを思い起こす試合の映像など、能力を引き出すために選手一人一人に合わせて作成したといいます。こうしたアイディアと裏方の地道な努力があってこその好成績だったのかもしれません。

 新競技スケートボード・女子ストリートで優勝した13歳の西矢椛選手はじめ、表彰台3人の年齢を足すと42歳とは驚異的!パークでも銀メダリストは12歳。一方で、競泳女子では遅咲きともいわれる25歳の大橋悠衣選手の400mと200m個人メドレーでの2冠の背景にある平井監督との信頼関係。選手を信じて、ゆっくりでも一歩ずつ時間をかけて指導と支援を続けてきた成果です。

 アスリートの気持ちを高め、力が最大限に発揮できるようにする何気ないアドバイスは、日々子供たちと接する私たち教職員にも通じるところが多いはずです。開花の早い子、なかなか芽が出ない子、教室はいろいろです。親も教師も、他と比べて心配したり焦ったり…なんてこともあります。でも大事なのは、その子の未来を見つめながら「今、どんな資質や能力を育てることが大事なのか」をはっきりさせて、適切な支援を続けることだと思います。早咲きでも遅咲きでも、子供たちがどんな色の、どんな形の花を咲かせるかを楽しみにしたいと思います。

 もしかすると次回、あるいはその次のオリンピックで活躍する子が700名の中から誕生するかもしれません。ただ、くれぐれも路上や人が集まる公園などでスケートボードの練習をして、事故や迷惑行為に繋がることだけは避けてほしいと願います。スポーツに限らず、努力により笑顔の花が咲く姿がみられるように、2学期も子供たちを応援していきます。

072 私の夏休み(9/1)

 夏休みに入る前の放送朝会を、例によってパワーポイントを使って行いました。我々大人もそうですが、声だけよりも映像や画像があるほうが聞こうとする気持ちが高まる気がします。その最後のシートを隠しシートにして、私の夏休みの目標を入れ込んでおきました。見つけたクラスもあるようですが、「本を4冊以上読みます!」という達成レベルの低いものでした。

 ただ、お盆前後の悪天&涼しさで読書がはかどったのは言うまでもありません。児童書『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』3冊を含む計7冊は読み終わりました。『銭天堂』は校長室にありますので、読みたい人は来客等のないときに「校長室読書」をしていってくれたらいいなぁと思います。

 そして、性懲りもなく今回もP.Pを使った放送朝会です。オリンピッククイズの出題、大谷翔平選手の話をした後、感染症対策における一人一人の意識・行動の大切さを訴えました。

 さて、夏休みに入る前後のタイミングで、NHK朝ドラ『おかえりモネ』を録画して毎回観ています。ちょうど上京してきた場面からですが、朝ドラをきちんと観るのはこの歳にして初!朝夕にテレビで見る天気の解説や屋外でのレポートの裏舞台を見るような気がして面白かったからという理由が一番でしょうか。朝のNHKの天気予報で気象予報士の山神明理さんが、「でかけるン」「かえるン」というパペットと一緒に視聴者に語りかけていたのを思い出しましたし、日テレの木原実さんと「そらジロー」ペアでの天気予報はもう何年になるのでしょう。

 40℃に迫るような猛烈な暑さや線状降水帯による大雨、台風等、不安がいっぱいの日本列島。これからも熱中症予防や豪雨、花粉などの情報などと切り離して生活を送ることはできません。コロナ感染症対策も1学期以上に強化に取り組みます。2学期もどうぞよろしくお願いします。