校長の部屋

143 親知らず(12/20)

 「親知らず」の痛みを経験したことがない私。8番目の奥歯の根っこすらないのでしょう。その理由を「まだ大人になりきれていないからじゃない?」と分析されますが、反論できないことが悲しい。

 先週、日本漢字能力検定協会が発表した、2021年の漢字は「金」でした。27年続く中で4回目の「金」だそうです。コロナ禍で実施したオリンピックやパラリンピックの金メダルは大きな喜びでしたし、二刀流・大谷翔平選手や藤井聡太四冠の活躍は圧巻です。つらい時だからこそヒーローを待ち望むのだと思いますが、私が今年を漢字一文字で表すと何だろうと悩みます。

 一方、週刊誌や著作物の見出しを覗くと、「A級戦犯は誰だ」的な記載をよく見かけます。何かある度に必ず悪者を仕立て上げようとします。そうすることで安定するのかもしれません。視聴率のよいテレビドラマにも悪役というか憎まれ者が存在します。時代劇にも悪代官が登場していましたから、視聴者を引き付け、何とかやっつけてやりたいという団結力にも似た感情を湧きあがらせる気がします。

 保護者や学校は、悪者(弱点)探しをするより、対象をよい方向に高めていくことに力を注ぎたいものです。挑戦する気持ちと行動の過程に価値を見出し、メダルをあげるつもりで…。すると、知らず知らずと、メダルの色が金色に近づいていくかもしれません。それはうれしい親知らず!