校長の部屋

188 伝統と創造(3/1)

 あっという間に3月です。忙しい中ですが、植物の芽吹きが楽しな季節になります。

 さて以前、国語の教科書に『附子(ぶす)』という狂言が教材として取り上げられていたことがあります。太郎冠者と次郎冠者が登場し、主人が毒であると言い残して外出したあと、桶の中の毒(実は砂糖)を食べてしまうもの。それを隠すために言い訳する様や掛け合いが独特の言い回しで面白く感じました。「それ、覚えている」という方もいらっしゃると思います。

  

 狂言や能楽は日本の伝統芸能ですが、決して馴染みのあるものではありません。これをドラマにしているのが長瀬智也さん主演の『俺の家の話』です。能楽師でありプロレスラーという面白い設定で毎週目が離せません。

 能楽は、能楽師によって演じられます。能の主役を「シテ」、その相手役を「ワキ」、その他「ツレ」や「アイ」、「地謡(じうたい)」、「囃子」などといい、それぞれ専門の役割を演じます。一方、狂言も主役が「シテ」、相手役が「アド」と言われます。

 読売新聞(2/24付)に、シテ方能楽師の山井綱雄さんがハードロックバンド「聖飢魔Ⅱ」の現役信者だとありました。その音楽は、生きる力の源泉であるとも。そして、デーモン閣下の「能楽を知らない多くの人に向けて広く発信する活動をすべきだ」という声を受け、閣下や津軽三味線奏者と全国公演を続けてきたそうです。

 型は大切にしなければなりませんが、ある時は型を破り、柔軟な発想をすることにより進化(深化)していくこともあります。伝統ある市川小の子供たちには、基礎基本と考え方をきちんと学んだうえで、相手を意識した柔軟で創造的な学習へと発展させてほしいと願ってます。

 リングで舞う能楽師(リングネーム:世阿弥マシーン)がいたっていい!