校長の部屋

159 件は「人面牛」(1/15)

 何を読んでいた時に目にしたかは定かではありませんが、『件』という文字を『くだん』と読むことがあることを知ったのは最近のことです。普段は、「例の件は解決しました」などのように「事柄」「事件」といった意味で使います。しかし、『くだん』という場合は、「頭が人、体が牛の形をした妖怪」を指すそうです。にんべんに、牛と書いて『件』ですからうなずけます。

  

 この『件』は、江戸時代から記録が残る予言獣といいます。生まれてすぐに予言を行い、数日のうちに死ぬといい、予言内容は豊凶や疫病の流行。そして、厄よけは自らの絵を貼っておくことだそうです。

 明治時代には日露戦争を、太平洋戦争の時には終戦を予言したらしいのです。つまり、世情が不安定になると顔を出す妖怪というわけです。ですから、世の中からすっかり不安が無くなってしまえば、『件』のような妖怪は活躍の場を失って現れなくなるのでしょう。もしかすると、今こうしているときに、どこかで牛のおなかから『件』が産まれ、新型コロナの終息について予言をしてくれるかも。そして、活躍の場を失って現れなくなることを願います。

 アメリカでは犬や猫、ゴリラなども人から感染しているといいます。神頼みではなく、私たちの行動こそが終息への近道なのだと考えた次第です。 《引用・参考》中國新聞デジタル版8/24