学校教育目標:夢の実現に向けて行動する子供の育成
学校教育目標:夢の実現に向けて行動する子供の育成
学習者主体へと導く国語科授業の創造
―学びの文脈を創る「読むこと」単元をデザインする―
1.研究主題「学習者主体へと導く国語科授業の創造」について
令和 6 年 12 月に提示された「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」(中教審諮問)¹では、学習指導要領改訂に向け、いくつかの課題が示された。そこでは、「主体的に学びに向かうことができない子供」が多くなっていること、「自律的に学ぶ自信がある生徒が少ない」ことなどが、課題として挙げられている。本校でもそれに近い実態があるものと考える。本校の児童は、各種調査からも学力的に高いことが明らかである。しかし意欲面は必ずしも高くなく、言わば「取り組み、こなすことはできるが、試行錯誤し、粘り強く取り組んでいるかというとそうではない」という状況にしばしば陥る。
先に取り上げた中教審諮問においては、不確実性が高く、平均寿命が延びるこれからの時代において、「生涯にわたって主体的に学び続け、自らの人生を舵取りする力を身に付けることの重要性」²が増していると述べているのである。
国語科の学習においては先の指摘を具現化し、生涯にわたって主体的に学び続ける力をつけることが重要であると考える。児童は一人ひとり、資質も能力も異なるため、授業者から一律に指示されて学習するのでは不充分であると考える。自分にとってより良い学びを得るために何が適切であるかを考え、選択しながら学ぶことが大切であると考える。児童一人ひとりが考え、自ら学習の方法を選ぶことができるようになって欲しいという願いのもと、研究主題を「学習者主体へと導く国語科授業の創造」とした。
「学習者主体」という言葉からは、授業における児童の様々な姿が想像される。本校では、児童が主体的に学習へ向かう姿の例として、以下の三つを想定した。
【研究主題達成に向けて想定される児童の姿の例】
〇自ら課題を設定し、見通しをもって活動する〈目標設定〉〈動機付け〉
〇課題の解決に向けて、適切な活動、資料、方法などを選択し、実行する(段階に応じ、「方法」の選択肢が広がる)〈学習方略〉
〇課題の解決に向けて、自らの現状を把握し、課題を設定する〈自己省察〉
2.研究主題に関わる論考についての検証
(1)中央教育審議会の議論より
「1」で引用した諮問を受けて、中央教育審議会教育課程企画特別部会では令和 7 年 9 月に「論点整理(素案)」³が示された。そこでは、「①「主体的・対話的で深い学び」の実装(Excellence)」、「②多様性の包摂(Equity)」、「③実現可能性の確保(Feasibility))の三つが示されている。②では「児童の多様な個性や特性、背景を有する子供が多くなっている」という現状を指摘し、ゆえに個に応じた形での「①「主体的・対話的で深い学び」の実装」が目指されているのである。「Excellence」の注には、「「主体的・対話的で深い学び」の実装により実現される質の高い教育を意味する」と記されている。「主体的・対話的で深い学び」を実際に行うことによる質の高い教育を目指すところに「実装」という表現が用いられているのである。そして実現のためには、学習者が主体的であることが不可欠である。
※令和7年9月 25 日 中央教育審議会 教育課程企画特別部会 論点整理 第一章より
(2)主体的な学習を実現するための四つの視点
「主体的に学習に取り組む」ために、私たちは何に注意するべきなのか、樺山敏郎は著書の中で「主体的な調整を実装する「4×6(フォーバイシックス)」という項を設定し、主体的な調整の観点として「動機づけ」「目標設定」「学習方略」「自己省察」の四つを掲げている。⁴学習者が主体的に取り組むために、欠くことのできない内容が盛り込まれている。さらに樺山氏は、その後の箇所で「「学びの文脈」を創るという理念を授業レベルに落とし込むために、ラーニング・マウンテン(LM:学びの山登り)の活用」について言及している。ラーニング・マウンテンの理念を理解し、引き続き活用方法を考える。
3.研究副主題「学びの文脈を創る「読むこと」単元をデザインする」について
本校では令和 4 年度より 3 年間にわたり、「書くこと」の領域に焦点をあてた研究を行い、多くの事柄を明らかにしてきた。特に、書く意欲をもたせるために様々な言語活動を授業者が柔軟な発想で考えられるようになったこと、学習者が抵抗感を持つことなく分量の多い文章を書く力が定着してきたことは大きな成果と言える。
一方、考える力を養うことは容易でなく、学習の中で繰り返し行わなければ衰えていくのではないかと危惧する。令和 7 年度からの 2 年間は、表現活動などを行う際に自らの考えを確実にもつことができるよう、「読むこと」に焦点を当てて研究を行うこととした。
副題には「デザイン」という言葉を盛り込んだ。本校ではこれまでも、授業者が単元全体をデザインする(構想する)力を培っており、方向性を継続していきたいと考えている。単元をデザインする際の工夫の仕方については下記の通りである。
〇学習材に関する工夫(例)
・複数の資料を活用した学習(図書資料や新聞、インターネットの情報など)
※図書資料を活用する場合でも大まかに選書するのではなく、同一作家の作品の中でも目標を達成するために図書をさらに絞り込んだり、調べ学習に最も適した文種の本を選択したりする
〇学習方法に関する工夫(例)
・グループ活動を工夫した学習
同一課題で情報収集している児童によるグループ
異なる課題や内容で情報を収集している児童によるグループ(ジグソー法の活用)
・可視化における工夫(話し合い活動におけるモデル動画の作成など)
・具体物の活用(目標や授業者の願いを元に、戦略的に決定)
副題冒頭の「学び」の主語は、学習者である。子どもたち一人ひとりが主体的に学習をする単元を授業者が構想することを目指し、「学びの文脈を創る「読むこと」単元をデザインする」とした。
「2」「3」で述べた「学習者が主体的であること」、「工夫した単元をデザインすること」は、これまでも多くの授業者によって取り組まれてきた内容である。しかし冒頭に引用したような本校の実態及び今日的状況を踏まえ、本研究主題・副題を設定し取り組むことにした。
4.主題達成に向けた児童の姿について(昨年度の研究より)
本校研究主題「学習者主体へと導く国語科授業の創造」については、令和 7 年度より取り組み、今年度が二年目となる。
一定の成果を実感した一方、課題も見られた。工夫した手立てを講じることができたものの、手立てが学習者の主体的な行動にどのように結びつくのかについては、考察が不充分であったと考える。令和 8 年度の千国研大会では、こうした課題を克服しながら授業を展開したいと考える。
5.ラーニング・マウンテンについて
本校では樺山敏郎氏が提唱する「ラーニング・マウンテン」を活用している。
主体的・対話的で深い学びの実現に向け、個別最適な学びと協働的な学びの一体化を図る授業づくりのために、筆者は"学びの文脈"を子どもとともに創るという理念を提唱しています。この理念を具現化するのが、"ラーニング・マウンテン"(筆者考案)(樺山敏郎氏を指す:引用者註)です。《中略》
単元の導入段階において、学んでいく方向を見通し、各段階での振り返りを大切にすることで主体性や自律心、メタ認知能力を育んでいきます。同時に、課題の解決と目標の達成という頂上(ゴール)を常に意識しながら、最後まで粘り強く、自らの学びを調整していこうとする態度を培っていきます。⁵
児童への提示の仕方などについて、引き続き、検討していく。【資料 1】
参考文献
¹ 文部科学省「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」p.2
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/mext_00003.html(2025/05/27 最終閲覧)
² 同上 p.1
³ 中央教育審議会教育課程企画特別部会「論点整理(素案)」(令和 7 年 9 月 5 日)
https://www.mext.go.jp/content/20250904-mxt-kyoiku-000043994_03.pdf(2026/02/18 最終閲覧)
⁴樺山敏郎編著 「主体的な調整を実装する学びの文脈」明治図書出版 2025年
⁵ 教育出版 HP より https://www.kyoikushuppan.co.jp/textbook/shou/kokugo/document/ducu2/docu209/lm-index.html(2025/04/02 最終閲覧)