校長の部屋

一眼国≪落語≫から(6/19)

 児童の登校が再開して初めての本格的な雨になりました。1年生の昇降口前では、傘を縛るのに手間取る子供たちの姿も見られました。雨の日、あるいは雨が上がった後に傘で遊んでいて思わぬ事故に遭うといったケースが少なくありません。気を付けてほしい一つです。

 さて、今日は落語から!江戸時代の落語には、「大入道」「三本足の女」「首無し」など化け物の噺が盛んに口座で演じられていたといいます。江戸には芝居小屋、見世物小屋、軽業小屋などが立ち並び、大道芸人の活躍の場であったようです。中には、「さぁ、いらっしゃい。世にも珍しい怪物だぁ。目が3つで歯が2本だよ。」という呼び込みに惹かれて入ってみると、下駄が片一方だけ放っぽり出してあったなどという見世物小屋もあったようです。

 こうした見世物小屋を開いている男が、ある旅人から「ここから何百里か行ったところにひとつ目の人間が生活する国がある。その国を『一眼国』というらしい。」と教わります。そこで男は企みます。「ひとつ目の人間を生け捕りにして見世物小屋で出せば大儲け間違いなし」と考えて、その国を探しに出かけます。やっとのことで一眼国を見つけますが、逆に自分が捕まってしまいます。代官所でお白洲に座らされ、顔を上げたとたんにひとつ目の役人が言います。「こいつはふたつ目をしているぞ。調べは後回しだぁ。珍しいから見世物小屋に連れていけ。」と。

 これが、「一眼国」という落語です。落語には物事を多様に見る教えが笑いの中に多く含まれています。この噺からは、自分が当たり前だと思い込んでいることも、立場が変われば違っているかもしれないということを示唆していることに気づきます。

 例えば右利きの人が多いので、サウスポーが特別のように思われがちですが、左利きが多い世界があれば右利きがサウスポー扱いになります。もしかしたら、別の世界では「目が2つ」は当たり前ではないのかも?そういえば、手塚治虫のマンガに「三つ目がとおる」という作品がありました。普段は絆創膏で隠されている、額にある目が現れると、弱弱しかった主人公が特殊な力を発揮するのです。なつかしいなぁ。

 いよいよ来週から給食が始まります。楽しく話をしながら、というわけにはいきませんが。